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本を読んでいるだけでは得られない「ことば」──Think Out!014レポート:ファシリテーター編

TOIメンバーのタニナカです!
みなさま、こんにちは。こんばんは。
今回9月開催の哲学対話プログラム『Think Out! 014:ことば』では、TOIに入って初めてメインのファシリテーターを務めました。これまで自分の経験や経歴、心情を紹介しつつ、『ことば』から得られた発見やThink Out!などの感想をお伝えできればと思っております。

「『ことば』は自分や他人と深くつながるためのものではないか」という問い

『ことば』というと、すごく平凡で当たり前のもののように思います。
普段の生活でも、必ず使っていたり、聞いていたりと、日常やパーソナリティと切っても切れない関係です。
そもそも、「哲学対話」自体も『ことば』を媒介にしたキャッチボールです。

しかし、「なぜ、この人はこんな言葉を使うのだろう?」「この言葉はどんな意味だろう?」といつもの生活の中でも「なぜ」は無限に湧いてくると思います。

そして、SNSを中心に『ことば』の使い方が間違っている人が、いかに多いことか!
今年の5月には誹謗中傷による、尊い命が散った事件が話題にもなってしまいました。
本当に本当に、残念でなりません。

だからこそ、
『ことば』は本来どんな目的を持っていたのか?
『ことば』の魅力とは?
そんな問いが頭から離れませんでした。

私自身、普段は出版社で編集者として働き、数多くの『ことば』を取り扱っていますが、書籍を編集するたびに「『ことば』は自分とも他人とも深く繋がれる、なんて素晴らしい手段なんだ!」と『ことば』が持つ力や魅力をいつもまざまざと実感させられています。

そのため、改めて『ことば』とは何か、ということを自分も含め、みんなにもぜひ問い直していただきたいと考え、このテーマに決定いたしました。

誰かの問いが、あなたの視点を変える

開催当日、1人、また1人と参加者の方がZoomに入室してきました。
初めてお会いする方、何度も参加してくださっている方、色々な人。

このとき、私は非常に緊張していました。
「こんな多くの人との対話をうまくファシリテーションできるか」
「論旨を間違えたら、問いが止まってしまう…」
といったことが頭の中を、ぐるぐると、回っていました。

しかし、「哲学対話」がはじまっていくと、そんなことを考える余裕なんて、どこにもありません。
参加者の方からはたくさんの「問い」を出していただき、それについて、いろいろな方向に話が広がり、そして、深まっていきます。

特に印象的だったのは、
「『ことば』は『信頼関係』が成立していないと相手を傷つける可能性を内包しているのではないか」
という『ことば』を取り巻く構図(人間関係)の話まで広がっていったことです。

私は、高校生の時から哲学が好きで、大学も哲学科に進学していましたが、そのせいでどうしても「概念」にこだわってしまう傾向がありました。
そういう意味では、実用的な「場面」での問い出しは非常に新鮮で、視野が広がった感覚を覚えています。

「哲学対話」の良い点は、ここに集約されているように思います。
誰かの視点や経験を追体験しながら、自分にはない視点で自分に問いを投げかけてくれるのです。
それは、言ってしまえば、文学やビジネス書、映画、音楽で全く未知の世界に出会った時の、感動に近いと思っています。
だって、私もあなたも、普段は絶対に思いつかない「疑問」を得られて、それを自分だけでなく、その場のいる人たちと一緒に深めることができるんですから。
本当にすごいことです。本を読んでいるだけでは、絶対に得られない体験です。(本は、一方通行ですよね。言うだけ言って、おしまい。それもまた一興ですが)

「Think Out!」はあなたにとっても新たな気づきの場になるかもしれない

TOIの「Think Out!」の特徴は、前回のみばさんの記事で書かれているので、私から何か言及することはありません。

ただ1つ、みなさんにお伝えするなら、TOIの運営スタッフは様々なバックグラウンドを持って、それぞれの課題感や問いから、この活動をしています。

だからこそ、あなたに新たな視点を提供できることができるかもしれません。
そして、参加してくださった方から、私たちは新たな視点を得ることもあります。

「相互補完」ではないですが、1人では深めきれなかったり、整理できない考えがあったりするのであれば、一緒に考えてみませんか?
答えは出ないかもしれませんが、問い出しをはじめた瞬間から、私たちの「理想」や「理念」に1歩近づいていると思います。

テーマから、自分はどんなことを思ったのか?
他の人はどんな考えをするのか?

そういったことを、普段出会わない人たちと語らう時間は、非常に貴重で、贅沢な時間だと思います。

みなさんの参加を心からお待ちしております。

それでは、最後にこれを読んでくださっている方に、『ことば』の問いを投げさせていただきます。

あなたの周りには、どんな『ことば』が溢れていますか?
『ことば』にどんなイメージが湧きますか? ポジティブ? ネガティブ?
『ことば』はどんなふうに扱うのが正解だと思いますか?
『ことば』の魅力ってなんでしょうか?
そして、あなたにとって『ことば』とは、つまりなんでしょうか?

読んでくださっている方に、素敵な新しい問いが生まれますように。

TOI運営局 タニナカ

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