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オンライン哲学対話で語る「愛とはなにか」──Think Out!008レポート

哲学対話ユニットTOIを主宰するタガイと申します。普段は吉祥寺にあるバツ4ビルで哲学対話プログラム『Think Out!』を開催しているのですが、昨今の新型コロナウイルスの影響を受けて、予定していたイベントの延期を決定、オンラインでの哲学対話を初めて開催しました。

初めてのオンライン開催で得た気づきを、ここまで
①イベント延期決定→②オンライン開催
とお届けしてきましたが、第3回の今回は感想編

実際に哲学対話をオンラインで開催してみてどうだったのか。参加者と運営者両方の目線でお届けします。

(前回のオンライン開催編をご覧になってない方はこちらからどうぞ↓)

哲学対話に参加したことがある人もそうでない人も、「対面とオンラインでの対話は何が違うのか」を考えるヒントになれば幸いです。

毎回テーマを変えて開催しているThink Out!、今回は過去に参加された方からリクエストが多かった『愛』について対話しました。

『愛』についての問いは実に多様

対話の最初に参加者7名それぞれが考えた自分の経験に基づく『愛』についての問いを共有したのですが、実に様々な観点から問いが出ました。

↓こちらが実際に出た問いです。

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これらの問いにある視点を私なりに解釈すると、愛の構成要素、愛の感じ方、愛の必要性、愛の効用、愛の発生条件などがあるなと思いました。

愛は求めるものか湧き上がるものか

ここからはいち参加者としての私の感想になるのですが、対話の中で特に印象に残ったのは愛は求めるものか、それとも自分の内から湧き上がるものか、という話でした。これは、ある参加者の方が「恋愛関係においてどうしても相手から見返りを求めてしまう」という話をされたことに端を発して盛り上がったと記憶しています。

他の方からは「子どもに対しては見返りを求めることはない」、「ペットもそうだ」、「『愛されるよりも〜♪ 愛したいマジで〜♪」っていう歌があったね」などといろんな考えが出てきました。たしかに同じ『愛』といっても、恋愛、家族愛、動物への愛など、愛の対象が何かによっても見返りを求めるかどうかは変わるかもしれないと思いました。

この話に対して私が感じたのは恋愛においても必ずしも見返りは必要ないということ。例えば「プレゼントをあげる」という行為について、仮にあげたことに対する見返りがなかったとしても、そもそも「あげる相手がいるだけで幸せだ」と年齢を重ねるうちに思うようになったと考えました。ただし、毎回あげてばかりで見返りのない状態がずっと続くのもつらいと思うので、程度によるのかもしれません(笑)。

参加者目線の感想:オンラインはいつもより緊張した

オンラインで哲学対話をしてみて感じたのは「いつもより少し緊張する」ということ。これはもしかすると慣れてないだけなのかもしれませんが、私の場合同居人がいるためにその生活音が時々気になってしまいました。これは、普段の「いまここに集中できる」オフラインの空間とは異なり、オンラインでどの参加者にとっても等しく同じ空間を作ることは難しいかもしれないと思いました。

その他の参加者の方のアンケートをみると、このような意見がありました。

相手の反応がわかりづらいため、対話がしづらい
会場まで移動しなくていいというのは大きなメリットでした。
ただ、他の参加者がどう感じているか、反応しているかなどがわかりにくく、オフラインの方がいい点もあり、なかなか比較がしにくいです。
雨の中、家でできるのも良い。オンラインで遠い部分があると傾聴する気持ちになる。

画面越しの対話ゆえ、相手の反応がわかりづらいという意見があった一方で、遠隔からの参加で天候に左右されないことをメリットとしてあげている方もいました。確かに、過去には千葉県から吉祥寺までお越しいただいた方もあったため、遠方からの参加はオンラインで容易になると思いました。

運営者目線の感想:オンライン哲学対話は“できる”

オンライン開催で運営者として一番課題に感じたのは、参加者が発言しやすい環境のつくり方。普段のイベントでは対話がはじまると運営の私たちがファシリテーションをほぼしなくても参加者どうしで対話が弾むのですが、今回は参加者の方が自分が話しはじめるタイミングを掴むのに苦労していたように見受けられました。

大前提、私たちの哲学対話では「発言せず、ただ聞いているだけでもいい」ので口数が少なくなること自体は問題ないのですが、話したいのに話せなかったという方が出ないように、よりファシリテーションを慎重にしたいと思いました。

その他には、特に大きな問題もなく、オンライン哲学対話を意外にも簡単にできたという印象でした。かかる手間やコストだけを考えると、会場を準備したりする必要のあるオフラインの開催よりも簡単にできるとさえ思いました。

自分でも哲学対話をはじめてみたい、という方がいらっしゃいましたら、この機会にはじめてみてはいかがでしょうか。

次回もテーマ『愛』 Think Out! Online Vol.002

title_アートボード 1

日時|2020年4月25日(土)10:00-12:30(9:50入室開始)
場所|オンライン(zoomを使用します)
定員|15名
参加費|投げ銭制
お申込https://www.kokuchpro.com/event/thinkout010/

次回も人気テーマ『愛』について実施します。今回の初開催の経験を踏まえて運営面でも改善をしていきますので、ご興味ある方はぜひお申し込みください。

※4月17日現在10名の方にお申込みいただいています。

よろしければサポートいただけますと幸いです。いただいたサポートは哲学対話を広げるために使わせていただきます。