認知症介護日記46 「外出の理由」

7月23日日曜日、この日僕は1日中自室にこもっていた。
最近の僕は介護うつ気味なのだろうか、いくら寝ても疲れが取れない。
夜にたくさん寝たはずなのに、起きたら起きたで気力がなく、マットレスに横たわると気づいたら寝てしまっている。それを何度か繰り返すうちに外は暗くなっていた。

夜になっても気力は湧かなかったのだが、我が家での僕は祖母の見守り担当兼専業主夫のような存在。どれほど自分の気力が湧かなくても、僕自身と仕事を頑張っている父のために晩御飯を作らないといけない。しかし晩御飯をつくろうにも前日の土曜日に2日分の買い物をしてなかったため冷蔵庫に食材がないことを思い出し、父が帰宅した後に一緒にスーパーに行こうとラインで伝えた後すぐに祖母が僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。

一瞬シカトすることも考えたが、シカトし続けた結果2階に上がって僕の部屋をノックする姿が想像できたので1階に降りると、そこにはお出かけ用のリュックを背負った祖母がいた。

「私は今から出るからね」

と、祖母は言ったが、辺りは真っ暗なのに懐中電灯すら持っていない。
当然ながら、この時間に外には出ることはできないのだが、いつも通りなぜ外に出るのか確認することにした。

すると祖母は一言、

「わからん」

と、言ったのだ。
過去に何十回もあったこのやりとりだが、これまでは「行きつけの喫茶店に行く」などの本人なりに考えた理由があった。側から見ると明らかに徘徊するために後付けした理由だということはわかっていたが、ついにその理由さえも考えなくなるとは…


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