認知症介護日記60 「久しぶりに祖母1人で就寝」

9月6日の晩、祖母は久しぶりに1人で寝ることになった。

本来のプランでは、父と祖母は祖母が施設に入居するまでの期間一緒に寝る予定だった。しかし数日前、就寝中にムカデ(小)が父の左耳たぶを噛んだ結果、耳たぶが大腫れ。そして、昨日の就寝前に再び違うムカデが参上したため、父は従来の就寝場所である2階の自室で寝ることになった。

父が寝ていたのは薄いマットレス1枚の上だった。あくまで仮眠や車中泊に適してそうなサイズ感のマットレスであり、1ヶ月半の間ずっと使い続けるような代物ではない。「このマットレスやと疲れがとれるわけない」とよく嘆いていたのに、マットレスに十分な高さがなくムカデの侵入を許し、噛まれるとなると、あまりにも可哀想すぎる。

父が祖母と一緒の部屋で寝ていた約1ヶ月半の期間、父のおかげで深夜〜早朝に祖母が徘徊することはなかったし、勝手にクーラーを切って熱中症に…ともならずに済んだ。父には心から感謝している。

祖母とムカデの存在からようやく解放され、日々の疲れが取れるであろう自室のマットレスで寝ることにした父だったが、昨夜の祖母は父の思い通りにさせなかった。

深夜12時すぎに祖母が階段を上がり、父の部屋に向かう足音が聞こえた。父の部屋の引き戸を思いっきり開けたかと思えば、大声で父の車のライトが付いているとアピールし始めた。そのアピールが凄まじかったこと、時間が時間だったこともあり、父の逆鱗に触れてしまい、その結果「寝させろ」vs「クルマのライトが着いとる」の戦いが始まった。言い争いの結果父が折れ、急ぎ足で確認することになったのだが、ライトはついていなかった。これが認知症の症状のひとつである幻覚なのか?これまで祖母の介護をしてきた中で、幻覚の症状は無かった。そのためこれが幻覚なのか、違うのかがわからない。

その後話の焦点は、その時間になぜ祖母は父の車のライトが着いていることがわかったのか?に移った。車の駐車地点は玄関前、つまり祖母が玄関ドアを開けない限りは車の状態を知ることが出来ないのだ。

父と祖母が久しぶりに別々に寝ることになった初日に早速徘徊疑惑のある出来物が発生したことについて、父は相当がっかりしたに違いない。

ようやく祖母が寝床のあるリビングに戻ったと思ったが、今度は家の中を数十分歩き続けていた。

おそらく、今夜も父は自室で寝るのだろうか?
もし、昨日と同じことがこれから毎日続くのであれば、僕も父も我慢の限界がすぐに来るだろう…



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