マガジンのカバー画像

英文法の小径

140
毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
運営しているクリエイター

#CAN

【英文法の小径】命令・指示〈助動詞〉

命令や指示を表す文でも、must や have to などに加えて、will や can が用いられることがあります。 Will you be quiet! You will do as I say [as you are told].'Will you …?' は依頼や勧誘の他に、文脈/状況によっては、命令を表すことがある。このときは、will にアクセント(=ストレス)が置かれる。「静かにしなさい」 また 'You will …' で、命令を表すこともある。これは、聞

【英文法の小径】申し出・勧誘〈助動詞〉

申し出や勧誘を表す文でも、依頼・要請の場合と同じように、助動詞の will や can がよく用いられます。 a.  I’ll give you a lift to the station. b.  Can I do some shopping for you? will を用いた文(a.)では、相手のためになるような行為をする意志をはっきり示すことによって、can を用いた文(b.)では、自分にはそのような行為をすることが可能であることをそれとなく知らせることによって、

【英文法の小径】依頼・要請〈助動詞〉

人に何かをしてもらいたいとき、もちろん程度の差はあるけれど、誰でも遠慮を示しながら頼むもの。それは英語でも日本語でも変わらない。問題は、どうやって遠慮を表現するのかということ。 Will/Would you give me a hand with this?一つには、相手の意志の有無を確認する方法がある。意志を表す助動詞 will の出番だ。 丁寧さを増したければ、will の代わりに would を使う。一般的に、would, could, might といった過去形助

【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

I must have been a bore.例えば、共同生活の解消を提案された話し手のつぶやき。may/might/could ではなく must に[have + 過去分詞]を続けた[must have + 過去分詞]は、過去の事柄について確信的な推量(推断)を表す。相手にとって「きっと退屈な人間だったのだろう」と自分を省みている。 That must have been fun.先月、ヨーロッパ周遊ツアーに参加してきたという相手への一言。‘That must be

【英文法の小径】can〈助動詞〉その二

前回に続き、可能性を表す can の話です。 これは、例えば may を用いた文のように、ここの冬の寒さについて可能性を推測して述べている文なのだろうか? そうではありません。この話し手は自分の経験から、あるいは知識として知っていることを述べているのです。すなわち、当地では冬になると、(いつもというわけではないが)場合によってはかなり寒くなることがある、と。 このように使われる can は一般的な可能性を表すと説明されることがあります。さらには、少なくとも話し手がそうで

【英文法の小径】can〈助動詞〉その一

I’m not sure. He may/might/could be in his office. 例えばジョンの居場所を聞かれて答えている場面。’I’m not sure’ とあるように、話し手には確信がなく、可能性を推測している。こういう場合には may/might/could を用いること、そして can を用いないことは前に確認した(may/might/could・その一)。それでは、可能性について述べるときに can を用いるのはどんな場合なのだろう? It

【英文法の小径】can/could/may/might〈助動詞〉その三

I could stay up late as a child.子供の頃、夜遅くまで起きていることが「できた」といっても、この「できた」が能力を表すものではないことは明らか。そうする自由を親に認められていたということだから、この文は過去における許可について述べている。 ただし、許可を求めるとか、許可を与えるといった場面での一文ではありません。これは許可や決まりごとを話題にしているのです。こういう場合はふつう、may/might ではなく can/could を用います。

【英文法の小径】can/could/may/might〈助動詞〉その二

You can [may] borrow my car.今回は許可を与える場合。'You can …' と 'You may …' のちがいは、許可を求めるときと同じ。may を用いた方は形式ばった/改まった言い方で、打ち解けた/くだけた場面ではふつう can を用いる。 ところで、お気づきのように、許可を求めるときに登場していた could がない!そう、許可を与えるときには could を用いないのです(相手への敬意を示すことになる could は、許可を与えるときより

【英文法の小径】can/could/may/might〈助動詞〉その一

Can [Could/May] I try them on?試着の許可を求めている場面。'Can I …?' と 'May I …?' のちがいはなんだろう?'May I …?' は形式ばった/堅苦しい言い方で、日常会話では 'Can I …?' ほどは使わない(逆に、公式の場では ‘May I …?’ を用いるのがふつう)。そういうちがい。 それでは、'Can I …?' と 'Could I …?' のちがいは何だろう?could は can の過去を表す形として用いら

【英文法の小径】can/could〈助動詞〉その四

何かをするのに都合のいい状況があっても、その機会を利用しないことは誰にでもある。例えば … ロンドンには叔父が住んでいるから、かの地を訪れたときに、叔父の家に泊まることもできたのに、(親戚の家では何かと気を使うことも多くて気が休まらないので)ホテルに宿泊した You could have stayed with George.こういう場面で登場するのが ‘could have stayed’、つまり[could have + 過去分詞]という形。ある行動をとることが可能だ

【英文法の小径】can/could〈助動詞〉その三

I could smell something burning.話し手は、嗅覚によって(=能力を発揮して)ある異変に気づいた。これは、過去の特定の場面で「できた」ことを表している。このような場合はcould ではなく[was/were able to]を用いるのではなかったか? 実は、smell のような知覚を表す動詞については、特定の場面で「できた」ことを述べるのに[was/were able to]ではなく could を用いるほうが自然です。ただし、この場合「できた」

【英文法の小径】can/could〈助動詞〉その二

Fortunately we were able to rescue her.例えば、川に落ちた女の子を救出「できた」と言っているのはわかる。’were able to rescue’ とあるのは[be able to]の過去形だ。では、代わりに can の過去形を用いた ’we could rescue her’ でもいいのだろうか。 I could [was able to] swim when I was four.確かに、could は「できる」を意味する can

【英文法の小径】can/could〈助動詞〉その一

I’ll be able to speak better if I practice more.何かをすることが「できる」こと、すなわち、そうする能力があることや、そうすることが可能な状況にあることを述べるときに、助動詞の can を用いることは広く知られている。 ただし、「できる」ことが未来のことである場合に will can とは言えないので、代わりに[be able to]を用いて 'will be able to' と言うことになる。「もっと練習したら、もっと上手に

【英文法の小径】現在形〈時制〉その六

I (can) see the moon.夜空に浮かぶ月を見て一言。まさに今、つまり話し手が話をしている時点で、月が見えている。〈現在進行形〉を用いなくていいのだろうか。 see という動詞は視覚の意味で用いるとき、対象に目を向けるという動作ではなく、対象が目に入ってくるという状態を表します。つまり、「見る」ではなく「見える」ということ。 そして、この意味の see のような動詞は、〈現在形〉のままで今の状態を表すことができるのです。動作を表す動詞とはちがい、今、生じてい