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『和ろうそくは、つなぐ』職人のしごとの持続可能性

愛知県岡崎市の松井本和蝋燭工房三代目和蝋燭職人松井規有(のりあき)さんを写真家・映画監督の大西暢夫さんが主人公にご制作の写真絵本『和ろうそくは、つなぐ』(アリス館、2022年2月28日初版発行)が『別冊太陽 絵本で学ぶSDGs』(平凡社、2022年9月25日初版第1刷発行、絵本でSDGs推進協会編)と『おすすめ!日本の子どもの本 2023』(一般社団法人 日本国際児童図書評議会(JBBY)、2023年6月20日第1刷)に選ばれました。

本の表紙と松井さんの和ろうそく
『和ろうそくは、つなぐ』の紹介ページと松井さんの和ろうそく
左:JBBY、右:別冊太陽

上2冊の『和ろうそくは、つなぐ』書評の「和ろうそく」について言及している部分をご紹介します。
「和ろうそくは、電気のない時代の暮らしの灯りだった。/今でも昔から続く技で、1本ずつ手作業で作られている。/和ろうそくの優しい炎が心に残る。」(菅 弥和乃/絵本専門士・学校司書)『別冊太陽 絵本で学ぶSDGs』
「和ろうそくは、職人が昔から続く技術で一本一本ていねいに手作りする。その材料のろうはハゼの木の実をしぼって作る。/ろうそくを作るときに切り落とした余分なろうも溶かして、また使う。/職人の技と知恵、ものを大切にする文化と豊かさを知ることができる。」(汐崎)『おすすめ!日本の子どもの本 2023』

松井本和蝋燭工房さんの和蝋燭とオリジナル鉄和燭台
『和ろうそくは、つなぐ』
『和ろうそくは、つなぐ』裏表紙と
松井さんの和ろうそく
イカリ型20匁、棒型小ロー(ころー:2匁以下)、棒型10匁、イカリ型4匁
松井さんの和ろうそく

「捨てるものがない、モノづくりの循環」と別冊太陽にありますが、松井本和蝋燭工房さんでは染料で朱く染めた和蝋燭の切り落とした蝋も溶かして再利用されます。残蝋(再生蝋)でご製作の和蝋燭は「再生朱蝋燭(商標登録)」として販売されています。「職人の技と知恵、ものを大切にする文化」とJBBY汐崎さんがおっしゃっるとおり、SDGsという言葉のまだない規有さんの先代さん(お父さま)のころからのお取り組みだそうです。松井さんも『和ろうそくは、つなぐ』(47ページ)で「ここで捨てるものはひとつもないんです。昔の人は本当によく考えていますね」とおっしゃっています。松井さんは手作業で和ろうそくづくりを60年続けてみえる熟練職人さんで、松井本和蝋燭工房さんは家内手工業で営まれている和ろうそく業者さんです。

朱蝋燭の芯出し(上部切り)のご様子:温めた包丁で切り落とす
地元産の黒七輪と炭をご使用
切り落とした残蝋:このあと溶かして再生蝋になる

練る前の再生蝋:やわらかくなった再生蝋を蝋鉢で細かく砕いているご様子
再生蝋を木の棒で練っているご様子
再生蝋を塗っているご様子
初版の帯つき『和ろうそくは、つなぐ』と朱蝋燭

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