宇田川彩

文化人類学・ユダヤ学。 リサーチフェローとしてテルアビブ大学に滞在中。

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マガジン

  • イスラエルのミュージアム

    イスラエルの美術館・博物館をまとめます。

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最近の記事

ベン・グリオンの家(@テルアビブ+キブツ・スデー・ボケル)

あまりにも有名な初代首相、国際空港の名にも冠されるデイヴィッド・ベン・グリオン(1886、ポーランド生-1973)は、イスラエルの二つの場所で暮らし、二軒ともが博物館として保存されています。ちなみにポーランド生まれの彼の元の名はデイヴィッド・グリュン(Grün)。イスラエルに移住した移民の多くがヨーロッパ風の姓名を「ヘブライ化」しました。 ベン・グリオンといえばふわふわに爆発気味の髪の毛。 一軒目はテルアビブの中心部からほんの少し北へ上り、ビーチにも近い場所にあります。け

    • エレツ・イスラエル博物館(@テルアビブ)

      エルサレムにある「イスラエル博物館」とは別物で、「エレツ・イスラエル博物館」はテルアビブ北部にあります。いずれも1950年代のエルサレム・テルアビブの各市長肝いりで作られたものです。 ちなみにエレツ・イスラエル(Land of Israel)はイスラエルと比較して、聖書に記述されるより宗教的な「聖なる地」といったニュアンスを持ちます。1958年の開館時には「ハアレツ(The Land)博物館」という名称でした。 https://www.eretzmuseum.org.il/

      • 旧市庁舎+ビアリクの家(@テルアビブ)

        テルアビブはWhite Cityと呼ばれ、白亜の街並み全体が世界遺産に登録されています。1920年代から30年代にかけて、バウハウス様式に強い影響を受けた曲線的でモダンな建築が典型的。ところが、テルアビブのどの辺を指して「白亜の街並み」というほどのものなのかいまいちピンと来ないんです。建物は今でも使われているので統一感のない看板で覆われているし、そもそも色褪せたり朽ちていて「白亜」という感じでもないし・・  そんな中、噴水のあるビアリク広場を中央に、円形に並ぶ旧市庁舎・ビア

        • パレスチナ美術館(パレスチナ西岸、ビルゼイト大学内)

          The Palestinian Museumは、2016年に開館したパレスチナ随一の美術館です。パレスチナ西岸最大都市であるラマッラーから2,30分、ビルゼイト大学キャンパス内にあります。(HP、英語表記もあり)  ラマッラーはたしかに大きな都市ですが、それにしてもなぜ?と不思議になるほど立派な建物。Taawonというパレスチナの社会福祉団体によるフラグメントシップ・プロジェクトということです。1990年代の創案ではパレスチナの「ナクバ(大災厄=イスラエル建国に伴い、パレス

        ベン・グリオンの家(@テルアビブ+キブツ・スデー・ボケル)

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        記事

          自然史博物館(@テルアビブ)

          ☑ 自然史博物館(The Steinhardt Museum of Natural History) テルアビブ大学キャンパス内には、自然史博物館とディアスポラ博物館、二館の博物館があります。 こちらは2018年9月に開館したばかりの新しい自然史博物館です。 外観はノアの箱舟にしか見えないし、地球上のそして特にイスラエルの豊かな自然の中で育まれる生物の多様性を表しながらまずはイスラエルに乾杯!さらに、この聖地がいかに地球の自然上で素晴らしい歴史を刻んできたかを、地質学、

          自然史博物館(@テルアビブ)

          ホロコースト博物館(Yad Vashem)@エルサレムーpart.1

          エルサレムを訪れる世界の観光客の多くが足を運ぶ「ホロコースト博物館」。ヘブライ語ではYad Vashemという名前で知られています。聖書イザヤ書の一節に由来し、「記念(Yad)と(va)名(shem)」という意味があります。(HPはこちら↓) ヘルツルの丘とYad Vashemエルサレムのライトレール(路面電車)の終着駅 "Mt. Hetzl" を降りると、丘の連なる美しい光景が開けます。一般的な立ち寄り先にはならないところですが、Yad Vashemと合わせて「ヘルツルの

          ホロコースト博物館(Yad Vashem)@エルサレムーpart.1

          レヒ博物館(@テルアビブ・フロレンティン地区)

          1985年創設のLehi Museum。フロレンティン地区に立ち並ぶありふれた建物の中、通り過ぎてしまいそうな小さな歴史博物館です。 レヒは、(1948年のイスラエル建国以前)英国統治下のパレスチナにおけるユダヤ系地下武装組織でした。対英・対アラブ強硬派として数々のテロ行為を行いました。建国後はIDFに参入しています。 展示は、レヒのリーダーであるAvraham Yair Sternの英雄譚が中心に展開されます。古き時代の策士は往々にして詩人であったり文学者であったりする

          レヒ博物館(@テルアビブ・フロレンティン地区)

          テルアビブ美術館

          ついにテルアビブ美術館の年間パスをゲットしました(ひびきがおしゃれ!)。図書館が使い放題、作業に飽きたらギャラリーを観に行けますよ~。ぜいたく。 少々テルアビブ中心部からは離れ、近くには裁判所や軍施設のある、割合広々とした界隈です。隣接するパフォーマンスセンターと並んで、テルアビブの文化センターの趣き。 1971年にメイン棟が開館、その後2011年に倍の広さに増築し、今の姿になったそうです。美術館の中に小型ギャラリーが集約していて、いくつも並行して企画展とコレクションを出

          テルアビブ美術館

          アガム美術館(@リション・レ・ツィオン)

          Yaacov Agam(1928年生、御年91才)は「キネティック・アート」の第一人者といわれ、世界的なアーティストとして知られています。観客の立つ位置により作品の色や形が変化する、色とりどりの作品です。立って見上げるサイズの大きな作品も多く、パブリックアートとしてテルアビブ(Dan Hotelなど)だけでなく世界の街中でもいくつか観られるようです。 生まれ故郷Rishon LeTzionに彼の作品を集めた美術館ができたのは、2018年。ヘブライ語・英語のツアーが頻繁に行わ

          アガム美術館(@リション・レ・ツィオン)