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アガム美術館(@リション・レ・ツィオン)

Yaacov Agam(1928年生、御年91才)は「キネティック・アート」の第一人者といわれ、世界的なアーティストとして知られています。観客の立つ位置により作品の色や形が変化する、色とりどりの作品です。立って見上げるサイズの大きな作品も多く、パブリックアートとしてテルアビブ(Dan Hotelなど)だけでなく世界の街中でもいくつか観られるようです。

生まれ故郷Rishon LeTzionに彼の作品を集めた美術館ができたのは、2018年。ヘブライ語・英語のツアーが頻繁に行われていて、作品を見るおすすめ地点、注目ポイントを教えてくれます。夏休み中でもあり、子連れのお客さんも楽しんでいたようです。

アガムの作品には、多くユダヤ的なテーマが現れます。〈ヤコブのはしご〉は、ヤコブの夢に現れた天に通じるはしごのモチーフ。彫刻やビデオ作品を除き、ほとんどの作品が彩られる「虹」色も、天との契約のしるしとして意識されているそうです。

今回私がアガム美術館に出かけたのは、アルゼンチンで見たことのあるアガム作品がどう位置づけられるのか、という興味からでした。イスラエル外の作品の一つとして、ブエノスアイレスで1994年に起きた「AMIA爆破テロ」の85名の犠牲者を追悼するための作品があります。

ブエノスアイレスのAMIA(ユダヤ相互扶助協会)の中庭にあり、一般公開されていません(見学ツアーがあるかも)。アルゼンチン作家でもないアガムの、テロの犠牲者をほとんど想起させることのない作品は、共同体による追悼の「失敗」と捉えられていたように思います。アガム作品が置かれるに至った経緯は、次回アルゼンチンに行った時に調べてみるつもりです。

美術館周辺は開発されたばかりの新興住宅街と、庶民的な団地のようなスタイルの住宅街の入り混じるところ。全体的にイスラエルのアジア料理はまったくイケていませんが、こんな穴場のタイレストラン、Sakon Nakhonがおいしかったです。

店のおじさんによるとアガムの兄弟一家がすぐ近くに住んでおり、よく食べにくるそうです。本人も2回食べに来て、「何か光に透かすときれいに見えるおみやげくれたんだ」と喜んでました。アガムおじさん、いい人そう。

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