採用の進化と挑戦の軌跡
おかげ様で、株式会社シンカも今年の1月で創立10周年を迎え、創業当初から描いていた上場を無事に果たすことができ、大変嬉しく思います。この10年間を振り返ると本当にいろいろなことがありました。こういった節目でもないと、なかなか振り返ることもないので、良い機会と思い、シンカの10年を思い返しながら、また未来を作っていきければと思っております。
今回は、「採用」にフォーカスしてみました。
この10年で、採用プロセスは大きく変化し、進化してきました。特にカルチャーフィットを重視した採用へのシフトは、会社の成長において非常に重要な要素となりました。ここでは、その変遷を具体的に振り返りたいと思います。
万年人手不足のベンチャー
創業時のベンチャーに飛び込んで来てくれる人は、なかなかいません…。この頃は、リファラル採用(紹介)が主軸です。社長である私自身が採用活動の中心となり、基準も明確ではなく、「とにかく人手が欲しい」という状況でした。
その結果、時には候補者の本質を見抜けず、適性のない人材を採用してしまうこともありました。採用の経験が少ないこともあり、どのようなスキルや特性が会社に必要かを見極めるのが難しかったのです。
人事部の設立と採用プロセスの体系化
社員が20名、30名と増え、会社が成長するにつれて、採用の重要性が高まりました。そこで、専任の人事グループを設立し、採用プロセスの体系化に取り組みました。まず、2段階の面接プロセスを導入しました。最初に部長が候補者を面接し、次に社長である私が最終面接を行うという形です。このプロセスにより、採用の質を向上させることができました。
さらに人事部では、採用基準の明確化と標準化に取り組みました。業務・職務経歴書を基にスキルチェックを行い、面接で何を評価すべきかの基準をつくる、ということですね。チェック項目を設定し、面接の質を向上させるためのトレーニングも実施しました。
カルチャーフィットの重要性
ただ、採用は本当に難しく、多くの試行錯誤も失敗も経験しました。前職の経歴や、スキルばかりに目がいってしまい、本質を見抜けず、多くの社員が短期間で辞めてしまった時期もありました。この時期は本当にいろいろなことが重なったタイミングでもありましたが、その話は、また追ってお伝えできたらと思います。
スキルがある社員が増えたら、会社が良くなると信じていたのですが、それよりももっと大事なことがあると試行錯誤の中で見えてきたものがありました。
それが「カルチャーフィット」です。
うまくいってるベンチャーを見てみると、やっぱり独特の文化を持っていて、そこにフィットしている社員がいる。嬉しそうに会社のことを語っている姿があります。尖った文化を持つことが成功の鍵であり、その文化にフィットする人材確保こそが、ベンチャー企業としてのシンカの成長に貢献してくれると確信しました。
振り返ってみれば、この10年、カルチャーに合わない人材はすぐ辞めてしまったり、思うように成果を出せなかったりします。シンカでは、カルチャーフィットが8割、スキルが2割。というバランスが最適だと感じるようになりました。
カルチャーフィットの重要性を再認識し、採用プロセスに組み込むことにしました。
具体的には、社長である私と人事担当者との1on1を通じて、私の考えやビジョンを共有し、それを理解し共感できる人材を見極めるプロセスを確立。これにより、社長の代弁者となる人事担当者が候補者のカルチャーフィットをしっかりと評価できるようになってきたと思っています。
現在の採用戦略
現在では、カルチャーフィット、スキル、ポテンシャルの三つの要素をバランスよく評価する採用プロセスを確立しています。特にカルチャーフィットは最重要視されており、先ほども述べたように、これがなければ長続きしないことが経験から分かっています。
カルチャーフィットの観点では、会社への貢献度が高く、共に会社を作っていける人材を採用することを重視しています。スキルやポテンシャルも重要ですが、それ以上に会社の文化にフィットし、共にビジョンを追求できるかどうか、が鍵となります。
私たちの経験から、カルチャーフィットが高い人材は逆境に強く、困難な時期でも共に乗り越えてくれる傾向があります。こうした人材は、会社の成長において非常に貴重な存在です。もちろん、採用だけではなく、入社後のカルチャー教育も重要だと考えていますので、次回はそのあたりをお話しさせていただきます。
おわりに
私は、10年前、ひとりでこのシンカという会社をはじめました。少しずつ社員が増え、いまでは50人を越えています。辞めた社員も含めれば、述べ100人以上を採用したことになると思います。あらためて「採用」という観点から「ひと」「組織」を振り返る良い機会になりました。
シンカはどれだけ大きくなっていったとしても、ベンチャースピリットを忘れずにいたいと思っています。だからこそ、カルチャーフィットの重要性を採用だけではなく、社員の教育にも活かし、これからも独自の文化を大切にし、共に成長していける仲間を迎え入れることで、更なる飛躍を目指していきます。