うちの夫とマグロは泳ぎ続けないと窒息してしまうの
今日は、久しぶりに夫の仕事が休みだった。
(ほんとは音楽とか書き物だけでやっていきたいんだけれど、いかんせんまだ家計を支えるほどの収入にはなっていないため、私たち夫婦は同じ職場で互いにちょっと違う業務に就きながらお金を稼いでいる)。
そんな、久方ぶりの休日をほぼ一日費やして、夫はこの動画の為に一生懸命ギターを弾いていた。
己龍―皆さま、ご存じだろうか?めちゃくちゃかっこいいV系バンドです。
うちの夫は私と一緒にThickFogというヘヴィーメタルのバンドをやっていて、彼はギタリストだ。二人きりのバンドなのでベースも弾いてくれているけれど、本業はギタリスト。ちなみに私はボーカルとか、動画の編集とかそんな感じ。
で、音楽業界もまた、どこの業界とも同じで、利権とかそういうのでぬるぬるのぐっちゃぐちゃだもんで、どんなにいい曲を量産しているバンドでも、そうそう易々と売れない。メタルというごくごく狭い世界ですら、だ。
そういう中で「弾いてみた」とかやってみた系のタグを付けた動画をUPすることは、いろんな人に見てもらえるきっかけを作るにはもってこいの方法なのだ。
弾いてみたとは、ニコニコ動画の演奏してみたカテゴリ内に多く見られるタグである。 主に弦楽器(ギター・ベース・ヴァイオリン等)と鍵盤楽器(ピアノ・エレクトーン・シンセサイザー)の演奏動画に付けられる。— ニコニコ大百科より引用
というわけで我々も、知名度UPを図ってちょくちょく「弾いてみた」動画を作っている。
それにしても、画面を分割した動画を作ることすら本当に、素人には大儀なことだ。私はShotcutという無料のソフトで動画を作っているのだけれど、画面分割のやり方は見知らぬ方のYoutubeの動画で勉強させていただきました…が、奇跡的にできただけで、正直、今でも全然理解できていない。難しいよShotcut…。
まあ、動画制作というのは高校時代から憧れていた分野だったので、大人になったイマ、こうして携われるのはすごく嬉しいんだけどね。
さてさて、うちの夫は見た目がV系っぽい感じなので、仕事で伺っている会社のバンギャ事務員さんにいきなり「お兄さん、バンドやってるんですか⁉」…なんて声を掛けられてたりする。靴もニューロックとかごっついやつをたくさん持っていて、うちに修理に来た水道屋さんに「そういう靴、どこに売ってるんですか?」と聞かれたりもしていた。どうもその水道屋さん、「そういう靴」が欲しかったらしい。
おたがいもういい歳だけれど、一時期バンド活動を辞めていた頃の夫が、ものすごーく「人生つまんねえ」って感じの毎日を送っていたことを、私は一生忘れないと思う。
だから「この人はマグロと一緒で、ずっと音楽活動やってないと、窒息しちゃうんだろうなあ」と夫に対して思っている私は、音楽が生計を立てるためのメインになる日が一日も早く訪れるよう、日々、四苦八苦している。
ちなみに夫は、ブラックメタルという分野ではそこそこ有名な日本のバンドに加入が決まっていたのに、バイクで事故ってその話がおじゃんになってしまったことがあるらしい。
最近になっていきなり「あ、〇〇ってバンドだったわ」とそのバンド名を思い出したらしく、私が興味本位で検索してみたら、割と最近にも音源を発表してディスクユニオンとかで売られていたバンドだった。「日本のブラックメタルなんて〇〇と△△しか知らない」的なことを言っている人すらTwitterで見かけて、ちょっとびっくりした。
もしも夫がその当時事故らずに、〇〇に加入していたら—きっと私は、この人とは出逢っていなかったんじゃあないかと思う。
でも「事故らなかった」とか「〇〇に加入していた」とか、そういう未来はそもそも無かったのかも知れないとも思う。
夫があすこで事故って、〇〇には加入できなくて、そして今に至って私とバンドをやっている―というところまでが、はなから用意されていたストーリーなのかも知れない、そう思うのだ。…誰に?神様かなあ、敢えて言うなら。
〇〇のギタリストとしてではなく、ThickFogのギタリストとして、夫の才能が生かされた人生を送らしてあげたいものですね。「そうしなさいよ、」と神様に言われてる気がする。窒息させるわけにはいかないしね。
ということで、我々ThickFogの楽曲はサブスクなんかでも聴けますので、良かったら聴いてみてくださいまし。メタルといえども、世の大半の方の想像するメタルとは、けっこう違う感じだと思っています。お試しあれ。
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