発売直後の入手困難

2回目です。
前回はたくさんの反響をありがとうございました。
カウンターで記事をもらったりして自分もとても勉強になりました。高島さんのご指摘はとてもごもっともで、自分の記事は正確さを求めるよりも（おもに業界じゃない人たちに向けての）伝えたい事のわかりやすさを重視しています。そこ勘案して読んで頂けると助かります。

さてさて、もう少しゆるゆると書いていこうと思います。

前回は時間がたつと本が見つからなくなる理由について書きました。
でも、そうじゃなくて発売日直後でも全然本が見つからない時ってあると思います。
その理由ついて書いてみたいかと。ここのところが昨今の出版業界の本質的な問題点を象徴している気がしてならないのです自分。

発売日直後の本が手に入らないのはなぜですか？

まず一般的なのは重版出来待ちという状態です。
前回は初版止まりの本について書きましたが、今回は重版のかかるケースですね。

5000部刷った本がおかげさまで売れ行き好調となったとします。1週間で1300冊弱、全体の25％も売れました。
これは大変速いペースです…って感じるかどうかはみなさんそれぞれかと思います。本の売れ行きってたぶんみなさんが思ってるよりゆっくりです。このペース我々から見ると充分すぎるほど速いのです！

まあとにもかくにもこれは速いペースなので書店さんも積極的に補充してくれます。1500部あった初期在庫はあっという間に溶けてしまいますので、おそらく多くの出版社で重版という判断になると思います。部数は出版社によって判断が分かれるところですが1500〜3000部ではないでしょうか。竹書房なら3000部じゃないかなあ。

このときの状態としては3000部が店頭に並んでいて、ネット書店にはゼロ、版元の手持ちもほぼない。はやく重版があがってくれよ、とやきもきしている状態です。やきもきしても出来日はかわらないのですが。（この段階でも1回目の記事に書いたとおり客注を本屋さんに入れると届くこともあったりなかったり）

どれくらいかかるかというとだいたい印刷所に依頼をしてから2週間後くらいです。そこから取次に送ってさらに書店さんに送られるというルートを通るのでプラス3〜4日かかります。20日弱くらいお待たせすることになるのです。

ところで、なんで2週間もかかるんですか？

3000部を印刷して製本するのって1日もあれば充分です。あとの10日以上は何に使っているのか。気になりませんか。

答えは簡単で、待ってるんですね印刷所の枠があくのを。基本的に工場はいっぱいいっぱいで稼働させているので次にあいてる枠ができるのがだいたい2週間後ぐらいになってると。
ので、たとえば自分たちで印刷工場を持って完全にコントロールできれば次の日には重版を出来させたりが可能です。いまカドカワさんが目指しているのはこの方向なんじゃないですかね。いや何を知っているわけではないんですけど。

発売日20日後〜30日後が狙い目

まあそんなわけで発売日から1週間後に重版を決めた場合だいたい発売日から1ヶ月弱のころがふたたび手に入りやすくなるタイミングです。ただ、人気の本がお待たせした上で入荷するのでこれもすぐなくなる可能性が高いです。おはやめにお買い求めいただけると幸いですがまあここから先は買いやすいと思いますので良き時に買って頂ければ。
発売日重版とか発売日前重版とか言ってものすごいはやいタイミングで重版をかけたときで最速の入荷がだから発売日の20日後くらいですねだいたい。これらはネット書店も同じタイミングです。

こうなると業界的に売れている本として認識される感じで、あとは多くの書店さんで随時補充入荷されていきますのでたまたま書店さんになかったとしても何日後かにいけば補充されている可能性が高いです。

どうしても本を追加生産しているあいだは皆さんをお待たせしてしまうことになるのですが、これはいろんなものでもそうだと思いますのでご理解頂ければ助かります。

ですがこんな状態になっているのに重版がかからないときがあるんです。本が補充されないから当然見つかりづらい状態にどんどん輪がかかる。

それぐらい品不足になっているのに重版をためらう理由…
当然なにかあります。

それはまた次回…だけでは明らかにならないのであと2回お付き合いを！