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会社メンバーへのワーケーション推奨。 その明確なメリットとは?

取材: 高野 美穂(ザ・ワーケスタイル ナビゲーター)

ご自身にとっては「本来の自分にチューニングする場所として」、会社のメンバーとは、「自然に囲まれて1つのことをとことん議論する場所」として、ご家族とは「仕事もこなしながらいつもより少し長めに一緒に過ごせる場として」ワーケーションをされているFabeee株式会社代表取締役CEOの 佐々木 淳さん。

ワーケーションの具体的なメリットに関して、お話を伺いました。

Fabeee株式会社 代表取締役 CEO
佐々木 淳


大学卒業後、2004年にシーズクリエイト株式会社に入社。不動産会社の営業部門に配属されたことを機に、まずはトップセールスの道を切り開こうと決意し、営業活動に従事。
同年、新規開拓部門においてトップセールスになり、MVP賞を受賞。

2006年には、営業経験を活かし、株式会社ウィルオブ・ワークにて最年少コンサルタントとしてのポジションを獲得し、数々のプロジェクトを企画・参画する。そこでは、多くの転職希望者支援する事業を展開し、同グループ内においてMVP受賞。

その後、WEB業界に特化した人材紹介の企画・立上げを行う事業を展開し、フォトメの事業の礎を築く。

そこで得た事業スキルを活かし、満を持して2010年に20代で株式会社フォトメ(現:Fabeee株式会社)を創業。同代表取締役に就任(現任)。

Fabeee株式会社

自然を前にすると、本来の自分に戻れる

-- ワーケーションのどういうところにメリットを感じますか?

まずはワーケーションにいくと思考が広がりますよね。自宅だと閉塞感だったり緊張感のようなものがあって、なかなかクリエイティブな発想になりづらい。それが、プールに入ったり、BBQ前後のワクワクしている感じ、そういう自然にリラックスしている状態にいいアイデアが浮かんだりするんですよね。

-- 確かに、ワーケーションをしたことがないという方でも、スキーの帰りや、ビーチで休暇中に閃いたりなんていう経験をしている人は多いと思うんですよね。脳の状態の違いなのか、いつもと違うアクティビティの前後ってとてもいいリラックス状態がやってくることがありますよね。

僕は、ワーケーション先で読書をするのが好きで、海辺のサンセットに足を延ばして本を読むのが最高の時間です。

情報が分散されず、いい集中状態が続きます。積読してあった本の中から、今一番読みたい本を感覚的に手に取っていくんですが、本は出会いだと思っていて、ビジネス書が必然的に多くはなるんですが、実は、よく漫画も持っていくんです。

というのも、日々ずっと仕事のことしか考えていないので、漫画というフィクションで、自分の置かれている状況に置き換えられるようなものを、ワーケーション先で読みたい。「キングダム」「ワンピース」「NARUTO」のような、マネジメントが関係していたり、ベンチャー魂を投影しているようなものを好んで読んでいますね。時々遠くを見つめたりしながら。

目の前にあるものに忙殺されて見えづらくなっている、本質的な自分らしさのようなものを確認したいのかもしれません。

-- 自然のチカラを借りて、本来の姿へチューニングしているようなところがあるのかもしれないですね。

会社メンバーとのワーケーションは「メンバーの本音」が聞ける?!

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自然に囲まれたログハウスが、同社のワーケーションスポット。

-- 会社としても頻繁にワーケーションを行っているようですが、その様子についても教えていただけますか?

長野県に、知人の好意で自由に使えるワーケーション施設が3つありまして、自然とマイナスイオンに囲まれた場所で、おいしい食材、おいしい空気、おいしいお酒と共にみんなで談笑をするというワーケーションをたびたび企画しています。

1度目は幹部合宿、2度目は家族を連れていったのですが、同じ場所でもまったく異なる体験となりました。

-- 仕事関連のグループでいく合宿型ワーケーション、家族帯同で家族孝行をするワーケーション、まさにワーケーションの2大王道を楽しまれたようですが、それぞれについて教えてください。まずは、幹部合宿について。いつもの仲間と、空気を変えて集まって起こったこととは?

最も強く思ったのは、”発言のしやすさ”です。

どういうことかというと、特定のチームでワーケーションをすると、チームのみで48時間とかっていうまとまった時間を一緒に過ごすことになるわけです。そうなると、メンバー全員、「どう思う?」と振られる機会が自然と多くなります。結果、たくさんの人が自分の意見を言う。

-- 会議室で行われる1時間のミーティングであれば、効率を優先したり、個人の謙虚さなどから意見を飲み込んでいたメンバーも、声を出すようになるんですね。

そう。かつてのことを思い出すと、到着してすぐは比較的、会社にいるのと変わらず仕事の話をするんですが、その夜食事に行ったりお酒を飲んだりすると次第にそれぞれの本音が出てきて、真剣になりすぎて涙を流すような仲間もいたし、その翌日には、たとえ内容は仕事に関して話していても、前日よりも質の高い議論ができた感覚がありました。

自社の事業としてもそうしたサーベイを行っているのですが、なにか共通のものを作りあげる際に、自分を知って相手も知るということが非常に重要。それが前提での質の高い仕事だと思っているので、その基盤作りとして、自然の中でのワーケーションは最適です。

時間のない経営者が家族との時間を捻出する、唯一の方法!?

-- ご家族とのワーケーションについても教えてください。

午前中は仕事の時間とし、午後から家族と近所の遊園地へ、夜は温泉に行き、自分は戻ってきて仕事に戻るという一日でしたね。当時子供は2人とも小学生。もちろん喜びました。

施設が広かったのでゆっくりできたと思います。家族が室内で過ごしている時間も自分は中2階で仕事をしていた。自宅にいると子供が走り回る音なんかがどうしても気になってしまったりもするんですが、こうした施設だと、広さや設計の良さもあって、気にならないんですよね。非常に寛容になれます。

-- ワーケーションという方法で、お子さんたちとの時間を捻出できて、安心できたようなところはありますか?

うちの子供たちは、僕がこういう(創業社長という)仕事をしているので、これが当たり前になってしまっていて、かわいそうだと思うこともあって、ワーケーションという方法で一緒に居られる時間が作れるっていうのは、父親としての罪滅ぼしというか、安心感にも繋がります。少し、埋め合わせができた気がします。

-- チームにもワーケーションを推奨しているとのこと、なにか、働き方に関しての信念であったり原体験のようなものがあるのでしょうか?

僕は社員に対して、もっと言うと働く人みんなに対して、自分のやりたいことが容認されて、それが公私ともに活かされている状態を作っていきたい、生活や仕事の全体の満足感を高めて、全体的に幸せになってほしいと思っているんです。多様性が認められて、自分のやりたいことが承認されて、身体的にも感情的にも、満足感があるような、多面的に幸せな状態でいてほしい。

そう思うのは、お察しのとおり創業時の仕事環境にありまして、この世代の経営者によくある通り、5徹をして、寝かけてパソコンに頭をぶつけて、それでも気合いと根性で働き続けるようなありさまでした。当時はそれを楽しんでやってしまいましたが、やっぱり生産性は落ちるんですよね。

思いっきり働いて、思いっきり遊ぶ、思いっきり共感して、笑う、喜ぶ、楽しむ、泣く…という「喜怒哀楽」をきちんと外に解放して出していかないといけないと思った。詰め込みすぎはダメだなと、ある時を境に思うようになりました。

辛そうな社員や、去っていく社員を見ながら、自分の生き方を周囲に強要してはいけないと強く思い、いろいろな考え方、つまり多様性を受け入れる、ダイバーシティインクルージョンのような考えができてきて、今のメンバーとの関係性があるような気がします。

コミュニケーションが苦手な人にほど、ワーケーションを勧めたい!

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メンバーとのBBQの様子。仕事の話をしていても、ここではいつもと少しアングルが変わるのだそう。

-- お写真から見ても、現在、社員さんはとても幸せそうですね。

はい。今月も10人くらい男女混合でワーケーションへ行ったのですが、社員から感謝の言葉がすごかった。密度の濃い時間が過ごせたというエンジニアからのメッセージをたくさんもらいました。

ブログの記事を書いてくれたら、交通費無料で、旅の費用を出すという企画をしたんです。木金土で行ってもらって、土曜に戻っても、その交通費も出しますと。その施設では、BBQがオプションなんですが、これをこっそり僕が全部用意しておいた。これは驚きもあってか、喜ばれましたね。笑

-- ワーケーションが向いている人、ぜひやってほしいと思う人はどんなタイプですか?

まずはマルチタスクが得意な人には向いていますよね。これ、意外とみんなが持っている能力じゃないんですよ。

あとは反対の考え方で、普段ずっと画面とにらめっこしている人はワーケーションをやってほしい。きっとなにか開けるものがあるはずです。それからコミュニケーションが不得意な人こそ是非2人以上でワーケーションをしてほしいですね~。そういう方こそ、”知らない人”と仕事をするのは難しいので、ワーケーションを通じて”知っている人同士”になってから仕事をさせてあげてほしい。

-- その視点は面白いですね。その場合、ワーケーションを準備するのは、会社サイドになるので、労務の問題なども比較的クリアしやすそうな気がします。全国の人材担当の皆さま、お問い合わせをお待ちしております。笑
まだまだワーケーションをする側も変わっていかなくてはならない段階ですが、これから場所を広げてワーケーションをすると宿泊先に求めるものはありますか?

仕事柄どうしても、安定したWi-Fiが必要です。あとはモニターを貸してくれたら嬉しいなぁ。そのほかは、とにかく、おいしいお食事!

-- 「食事」に関しては、キッチンあり、3食つき、簡単ミールキット、などいろいろ考え得ると思いますが、なにを求めますか?

これも選択できるようになるといいですよね。僕はまったく料理はできないから、料理になって出てきてほしい。とはいえ、時間の調整とかもあるからなぁ。

-- 主な家庭内での食事の担い手としては、3食出てきてくれたら、一日2時間くらいを獲得することになります。だから、個人的にこの秋、仕事とオンライン学習でスケジュールが文字通りパンパンになりそうな時がありまして、まさにご飯が出てくるタイプのワーケーションを企画しようと思っています。佐々木さんは、次にThe Workeでどこかへ行くとしたらどこに行きたいですか?気になっている宿泊施設はありますか?

ワーケーションは、低価格で実現できるGoogle式のリフレッシュ

海辺に行きたいです。やっぱり海って人を癒しますよねー。沖縄とか行きたいな。The Workeには結構老舗旅館なんかもありましたよね。7~10泊とかなにしよう?とワクワクします。ただ平日1週間行きたいけれど、今のところ、家族になんて言えばいいんだろうー?ってなりますね。

この山梨県の「かげつ」さんとかめっちゃ行きたいなぁ。

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銘石の宿 かげつ
山梨県石和温泉の高級旅館。プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選に34年連続入選。5000坪の庭園と24時間入浴できる露天風呂が人気

-- 1年間、会社で借りて、代わる代わるメンバーで使うなんていう方法もありますね。

それもありですね!

そう、それで思い出したんですが、Googleの働き方って、仕事中に、遊ぶんですよね。そして、この時間が集中力を高める1つの要素だという調査結果があるんですよね。個人でGoogleほどの広大なオフィスはとてもじゃないけれど準備できないけれど、これをワーケーションで実現できるんですよ!!短期で借りて、低価格でGoogle式の集中力を!笑

-- ワーケーション×働き方感、お仕事感についてとてもよく伝わってきました。最後に改めて、まとめていただけますか?

DXとは(IT整備という狭義でとらえるのではなく)、「失敗できる組織作り」だと考えています。この「失敗できる組織づくり」というのは心理的安全性が担保できていたりとか、社員間の良質なコミュニケーションがとれている状態と定義していて、繰り返しになりますが、多様性とウェルビーイングが実現している状態でこそ叶うものだと思っていて、要は仕事をしながら「幸せだよね」と思える状態を導き出すことを目指しています。こうやって話していると、ワーケーションもその一翼を担うように思いますね。

-- DXの完全導入、完全リモートワークの前に、ワーケーションでしっかりと仲間と知り合うというのも、とても効果的かもしれないし、DXを導入してこそのワーケーション実現に繋がりますものね。これは、御社とワーケーションの関係性は深いかもしれませんね!?
ワーケーションが気になる方は、下記の佐々木社長の会社Webサイトも合わせてチェック!!!

Fabeee株式会社

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ザ・ワーケスタイル ナビゲーター: 高野 美穂
~Traveling or Thinking about Traveling~

20代前半よりワークスタイルに強く関心をもち、働く場所やオンとオフの境目にこだわらない、今でいう「ワーケーション」を体現し続けている。旅チャンネルの構成作家兼リポーター、リクルート社発行「じゃらん」、旅業界ジャーナル「とーりまかし」での編集ライターなど、様々な角度から観光業界について考察を続ける。

2013年より7年間ロンドンで暮らし、在宅/リモートワーク、長めのバケーションが当たり前の人々と日常的に過ごすことで、コロナ禍の到来よりも早く、国民総ワーケーション状態に慣れた存在となる。

現在は、日本最大級のコミュニティーFM「レインボータウンFM」FM88.5MHzにて、2つの番組をもち、コンテンツ制作の傍ら、独自の情報発信を行っている。自治体からの依頼で、ワーケーションアドバイスに出向くことも。日本旅と食を海外に向けて発信するのがライフワーク。

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