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男子校クロニクル
数年前、実家に帰省した時に高校時代の文集を見つけた。
各クラスの紹介と部活の部長達が文章を寄稿したもので
一応軽音部の部長だった僕は
どんなことを書いたんだっけな、と思いペラペラとページをめくった。
すると美術部の文章を見つけて、「美術部なんてあったのかよ!」ということに驚いた。
そもそも美術の授業もなく、いつも無人の美術室を勝手に自習室として使っていたからである。
そして部長が同じクラスだったO君ということに更に驚いた。
僕が通っていたど田舎の底辺進学男子校(パーパーの星野ディスコさんの母校だぜ)は
イケイケ1軍グループとオタクグループで大きく二極化し、僕はどちらにもなれず漂っている中間層グループの感じだった。
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※O君は少し似ていた
イケイケな感じに憧れはありつつも、趣味が合わなかったり、「あいつらとはちげー」という謎の尖りもあった。肌に合わないな、という諦めもあった。
かと言ってオタク的な趣味があるかというとそうでもない。
O君はオタクグループの方であまり話したことはなく、一軍優勢のクラスではオタクグループは正直少し煙たがられていたのである。
気になってO君の書いた文章を読んだが
「3年生になると受験であまり絵を描くことができなかった」
そんな感じの内容で、決して上手な文書ではなかった。
けれど「大学に進学して東京に出たら、色々な街に旅をして絵を描きたい」という一文がやけに刺さった。
僕が東京でバンドをやりたいと思っていたように、O君も東京への憧れのようなものを持っていたのか、と思った。
全く接点もないし、話したこともほとんどないし、正直全く興味もなかったけれど
なんだか同じような微熱を今更感じられたような気がした。
好きな画家とかいたのかな。
どんな絵を描いていたのかな。
もう少し話して、そんなことを知っていたら
少しは仲良くなれたのかな〜とふと思った。
別にそんな必要はなかったかもしれないけど
何か新しいものを知ることができたのかも。
自分の趣味とか好きなものとか、それが合う人と出会うのは奇跡的で、その後の人間関係が何よりも楽である。話が早い。でもそれに流されて、色々な人と仲良くなる機会を失ってきたのかなぁとも思う。
実際大学生になって出来た学部の友達も、サークルやバンドをきっかけに出来た友達を優先してどんどんと疎遠になってしまった。
今更誰かと無理して仲良くなろうなんて思わないけど
その人のことを知ったその先を見てみたいな〜と思う。きっと知らないだけで面白い一面がたくさんある気がする。
O君は今どこで何をしてるのだろうか。
ちなみに僕が部長を務めた軽音部の文章はどこにも見つからず、何故だ?と思い巡らせていたが
書かない内に締め切りを過ぎて載らなかったことを思い出した。怠惰な人間はそう変わらないぜ!
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