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【今日の言葉】いのちの循環と遺ってゆくもの

皆様、こんにちは。僧侶の神崎修生です。
本日は、「今日の言葉」をお届けします。

▼音声でもお聞きいただけます

【今日の言葉】
雨が川から海に流れ、雲となりまた雨となるように、このいのちもまた循環してゆく。
しかし、ただ消え去ってゆくのではなく、我々の思いや言動は、人の心の中に生きた証となり遺ってゆく。

さて、信行寺のある福岡県宇美町では、毎日のように秋晴れの日が続いています。

朝、お寺の境内に出て門を開け、掃除をし、本堂でお経をとなえていると、とても心豊かな気持ちになります。

真っ青な青空と、少し肌寒い空気がとても心地良く、生きていて良かったとさえ思います。

何があるわけでもなく、特別なことをしているわけでもありませんが、身体も心も満たされていきます。


そんな中、一日雨が降った日がありました。

秋の雨の日も、それを味わおうとすれば風流なものです。

いつものようにお寺の門を開け、本堂の窓を開けて、少し湿った新鮮な空気をお堂に取り込みつつ、お経をおとなえしていました。

シトシトシト。ちゅんちゅんちゅん。シトシトシト。ちゅんちゅんちゅん。

軒先から垂れる雨音と、挨拶を交わす鳥の声に、意識を添わせながらお経をおとなえします。


その時、雨が循環する様が脳裏に浮かびました。

雲から降ってくる雨が地表を濡らし、溝から川へ流れ、海へと旅をし、蒸気となって雲となり、また雨として大地を潤す。

その雨が循環する様が、パッと頭に浮かんだのです。


それはきっと、突然亡くなられた方のご葬儀やご法事をお勤めすることが最近多かったからだと思います。

40代で脳梗塞で亡くなられた方の一周忌では、「一年たって更に悲しみが深くなってきました」というご遺族の思いを伺いました。

突然の別れの直後は、時に実感がなく、涙を流しながらも現実とは認識できない(したくない)浮遊した感覚になります。

しかし時間がたち、徐々に実感がわき、地に足がついてくる中で、失った存在の大きさに悲嘆が深くなることがあります。


また先日、末期の癌であっという間に亡くなられた方の枕元でおつとめをさせていただきました。

ご親族やご近所の方がその方のご自宅へと寄ってこられ、次々に亡くなられた方へ声をかけていかれます。

「目を覚まして。ねえ、目を覚まして。なんでこんなに冷たくなってるの。独りでいかないで」


人は、いつかは別れていくことを誰しもが知っていますが、その時はいつも突然で、断絶された思いになります。

これまで感じたことのないような顔や手の冷たさに、別れたことの現実を突きつけられます。


大切な方であればあるほど、別れが突然であればあるほど、その悲嘆は深く、立ち直るまでに時間を要します。

もう一度会いたい。声が聞きたい。触れたい。

その悲嘆が癒されるには時間がかかります。

ただし、その寂しさ、苦しさ、悲しさの中にも、亡くなられた方との思い出や、そこから感じられる温もりは消えないものです。

我々を支え続け、励まし続け、希望を与えてくれるものであり続けます。


昔へと思いを向けてみれば、大切な方との別れを、人類は古より繰り返しています。

多くの涙と、多くの喜びを抱え、人類は生きてきました。

そして、別れていくいのちもあれば、また生まれてくるいのちもあります。

いのちは循環している。

大地を潤す雨のように。


人生とは、儚くも美しく、不思議なものですね。

私もいつか別れて往きます。


しかし、その時にきっと、自分が日々発した言葉や、人のためになした行動は、親しい人の中に生きた証として遺ってゆくことでしょう。

大切な方が遺してくれた思い出や教訓のように。

【今日の言葉】
雨が川から海に流れ、雲となりまた雨となるように、このいのちもまた循環してゆく。
しかし、ただ消え去ってゆくのではなく、我々の思いや言動は、人の心の中に生きた証となり遺ってゆく。

最後までご覧いただきありがとうございます。

合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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