「あなたにとってお墓とは?」お墓参りの意味を考える(勉強会レポート)
こんにちは。僧侶の神崎修生です。
私は、福岡県糟屋郡にある信行寺(浄土真宗本願寺派)というお寺の副住職をしています。
先日、「お墓」をテーマにした勉強会を開催しましたので、今回は、勉強会で感じたことをレポートさせていただきます。
▼同じ内容を音声でもお聞きいただけます
私は、2019年1月から寺院関係者向けのオンラインサロン「bラーニング」を数名の僧侶と運営をしておりまして、定期的にオンラインでの勉強会を開催しています。
勉強会の内容は、寺院の先行事例の紹介や、異業種での勉強会もおこなっております。
今回は、「お墓」をテーマにした異業種の勉強会でした。
参加者は、寺院関係者と石材店の方を中心に、石材問屋の方、葬祭ディレクターの方など、様々な業種の方にご参加いただきました。
講師は、静岡県にある沼津石材 富士支店の店長でお墓デザイナーの榊原亮(さかきばらりょう)さんにお勤めいただきました。
「bラーニング」のメンバーである、僧侶の松村妙仁さんのご紹介とご提案により、今回の勉強会が実現しました。
あなたにとってお墓とは?
勉強会を全体を貫くテーマは、「あなたにとってお墓とは?」でした。
「お墓とは?」と問われると、皆さまいかがでしょうか?
はっきりと答えられる方は少ないかもしれませんね。
それほど、お墓参りは当然のものとして行かれている方も多いでしょうし、シンプルに「大切な方へ挨拶する場所」であったり、「ご先祖を敬うための場所」という方も多いことと思います。
理由を明確に応えられなくても必要性を感じたり、行くべきとか、行かないと心地が悪いといった感覚をもつことは、すごいことだと思います。
つまり、お墓やお墓参りは「文化」や「人間的な営み」だとも言えるものだと思います。
ご葬儀やご法事、お墓参りは、人間以外の生物はおこなわないと言われています。(違ったら教えてください)
ですから、「文化」や「人間的な営み」だと思うのですね。
さて、「あなたにとってお墓とは?」というテーマ設定ですが、異業種の勉強会ということもあり、良かったと思います。
異業種の勉強会は、それぞれ立場が違うので、あえて本質的で、抽象度の高いテーマ設定が必要だろうと、講師の亮さんと妙仁さんとお話しをして決めました。
ご参加者それぞれにとっての「お墓とは?」を考えることにもなりますし、それぞれの立場における「お墓とは?」を見直す機会にもなるからです。
私もそうですが、特定の立場にいると、ついその視点から物事見てしまい、見解が偏ってしまうことがありますよね。
私であれば、僧侶やお寺からの立場から「お墓とは?」と考えてしまいがちですし、宗派によっても考え方がまちまちです。
異業種の勉強会の良いところは、多様な考え方に触れる中で、自分の立場からの見解を見直し多面的に考えられることです。
多様な考え方に触れることで、前提としていた答えや、用意された答えをいったん置いて、本質的に問い直すことになると思います。
また今回、講師の亮さんは、自分が講師をするくらいだから、しっかりと自分の言葉と経験から語れないといけないということで、真摯にその問いに向き合われていたことが素晴らしいと感じました。
ご自身の思いと経験から出る言葉なので、よく伝わってきます。
ちなみに私神崎にとってのお墓とは、「会いに往く場所」であり、「自分のルーツや大切なことを気付かされる場所」だと感じています。(いったん宗派の見解は置いておきます)
そして、俯瞰してみると、先程いったように「文化」であり、「人間的な営み」であるとも思います。
ちなみに、お墓やご葬儀に関して、全てが仏教では説明がつきません。
日本古来のものや、地域性など、民俗的要素が多分に混じっていて、仏教だけではどうしても説明がつかないのですね。
そして、それはそれでいいというか、こうしなければならないと教義で断定してしまうのではなく、人間らしさとして大切にすべきだと個人的に思います。
私は大学院の時に、「ご遺族にとって良い葬儀とはどんなものだろう?」と疑問に思い、葬儀の研究をしていました。
そして、仏教や宗派の教義だけでは説明ができないことが分かり、民俗学を随分調べました。
今回の勉強会で、改めて「お墓」がそうした「文化」や「人間的な営み」であるという本質的なことに気付かせていただき、大変勉強になりました。
▼榊原亮さんとの対談動画もあります
勉強会の内容
今回の勉強会は有料でしたので、詳細は記しませんが、一部メモ書きを載せておきます。
◆お墓とは
・お墓が自分と向き合う場所になる(フォースプレイスとしてのお墓)
・心の依りどころであり、心が整う場所としてのお墓
・思いはカタチをもとめ、カタチは思いをすすめる
◆お墓を通しての弔い
・ご遺族と一緒にお墓をつくる。お墓づくりがグリーフ(別れの喪失感)のサポートとなる
・お墓づくりの事例紹介
・お墓参りがグリーフのワークにもなる
・供養をリデザインする。モノからコトへ(触(ふ)れるお墓)
◆日本の民俗的考え
・祖霊信仰、先祖崇拝
・お墓とは何?なぜ石なのか?
◆死から考える生
・永遠の別れがあることを意識できると、人は優しくなれる
・親が死へのカウントダウンをしている(仏壇、お墓)
・親子で死について語る工夫
・親子の理解が深まる、ギャップが埋まる
◆お寺×石屋
・サポートではなくパートナーへ
・思いやビジョンを中心にすえたパートナーの輪
・お寺が企業ママの仕事場に(サポート事例)
今後も「bラーニング」では、寺院関係者向けの勉強会や、異業種の勉強会を開催していきます。
ご関心がある方は、是非ご参加ください。
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合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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