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【幸せを育む時間】嘘と事実を見極める【参考:マルクス・ガブリエル氏】

私は「幸せを育む時間」ということで、人生や幸せについて考えるご縁となるようなお話をさせていただいております。

今回は、「嘘と事実を見極める」というテーマでお話させていただこうと思います。参考にさせていただくのは、哲学者マルクス・ガブリエルさんのインタビュー本、『世界史の針が巻き戻るとき』です。

マルクス・ガブリエルさんは、ドイツの若き天才哲学者ともよばれている方で、前回も彼の本から紹介させていただきました。

ただ、今回お話する内容は、本の要約ではなくて、本を読んでここが面白いなと思ったポイントを私なりに解釈したものですので、必ずしもマルクスさんの発言ではなかったり、文脈に添っていない部分もあるかもしれません。その点ご了承いただければと思います。

▼この内容は動画でもご覧いただけます


◆その情報は事実か

さて、今は情報化社会で、多くの情報に触れるような時代になりました。分からないことをすぐに調べることができる一方で、情報が多すぎてどれが正しいかが分からないということもありますよね。

新型コロナウイルスの件でも、様々な情報があふれていて、何が本当か分からないという声も聞きます。ワクチンを打っても大丈夫なのか。ウイルスによる死者数の数え方は合っているのか。様々な意見があり、非常に分かりづらいです。

ですから、情報の正しさを自分で見極める力や、信頼できる情報を発信しているメディアや人を探すことが重要になっています。

ニュースやネットの書き込みなど、その情報は発信者のバイアスが多少なりかかっています。マルクス・ガブリエルさんは、インタビューの中でイメージ(みせかけ)と表現されています。

誰かが意図をもって、イメージをつくり発信することがあります。それが本当でなくても、発信されたイメージを本当のことだと思ってしまう。そういうことはよくあります。

例えば、著名人に関するニュースは、本当のこと、そうでないことが入り混じっていることもありますよね。面白おかしく書くほうが、雑誌が売れたり、閲覧数が稼げるからですね。

他にも身近にありそうな例でいえば、誰かが私のことを性格が悪い人だと言っていたとします。実際にはそんなことはないかもしれないのに、そのイメージがつくとそのように見えてしまうこともあります。

このように、誰かに何らかの意図があって、イメージをつくって発信する。そして、それを本当のことだと思ってしまう。そうしたことは往々にしてあります。

テレビのニュース、ワイドショー、ネットニュース、新聞、週刊誌など、それらの多くは、視聴率や閲覧数に基づいた評価をされているでしょう。人が関心を持ちやすいような情報や書き方をしないと、閲覧されないので利益になりません。ニュースや情報には、こうしたカラクリがあるわけですよね。

情報が事実かどうかを見極めるポイントの一つは、情報とは誰かがイメージをつくって発信している可能性があると思っておくこと。そして、そのことに注意して、この情報は事実なのだろうかと考えながら見ることではないでしょうか。

つまり、発信者の立場や考えを想像しながら情報に触れることが大切だと思います。必ずしも情報を鵜呑みにしない。マルクスさんの話からそうしたことを私は感じました。


◆正しい価値観に基づいているか

情報が事実かどうかを見極めるもう一つのポイントは、発信者の言動が、人として正しい価値観に基づいてなされているかということです。マルクスさんは、「普遍的な道徳的価値観」という言葉で表現されています。

情報を発信する人、イメージづくりをおこなっている人がどういう価値観をもち、それは人として正しいものか。そうしたこと見ていく中で、その人が発信する情報が事実であるかを見極める判断材料になるはずです。

例えば、企業であれば企業理念や取り組み、個人であればその人の日頃の言動などを、人として正しいものに基づいているかという視点で見ると参考になるでしょう。

要は、この相手は信頼に足るのかどうか。そして、人として正しいことをおこなっているのか。そうした視点をもって情報発信者を見てみることで、情報が事実であるかを見極める材料となるでしょう。

相手が信頼できるかどうかを見ることは当たり前のように聞こえますが、ネットの書き込みや口コミを参考にするということは、我々は必ずしも相手が信頼できるかどうかに関わらず情報に触れているのかもしれません。その発信者について知らないのに、その人の情報を鵜呑みにするというのも考えてみるとおかしいかもしれませんね。

また、情報に触れる時に、発信者が人として正しいことをおこなっているかという判断軸としてもっておくのは、興味深いポイントかと思います。

つい損得とか、都合とか、感情とか、そういう部分で情報を見てしまいがちですが、本当に人として正しいことなのか。そういうことを問う視点を自分の中に持っておくことで、情報に触れた時に違って見えてくるでしょう。

ただし、人として正しいことが何かということは、とても難しいことでしょう。しかし、マルクスさんがおっしゃるには、人類共通の「普遍的な道徳的価値観」はあるはずであり、それについて対話して考え続けていくことが大事だと述べておられます。

赤ちゃんを窓から投げようとしている人を見てだめだというような価値観。立場や文化に関わらず、人類が共通でもつ普遍的な道徳的価値観とは何か。そうしたものを対話していく中で見つけていくことが大切だということです。


◆人類は自滅の道を進んでいる

イメージや情報が事実かどうかを見極めることについてお話してきましたが、これはマルクスさんの話に出てくる、近代の産業化や資本主義の消費社会のあり方が、人類を自滅に導いているという話につながります。

近代の産業化や技術の進歩によって、先進国の人々の生活環境は整備され、とても便利になりました。しかしマルクスさんは、グローバルなレベルで近代化が進んだこの200年の間、産業化と共に人類は自滅と同然のシナリオが進んでいると言います。

例えば、世界的な人口増加や、原子爆弾、気候変動による自然災害など、どれをとっても、人類は実のところ自らを滅ぼすような道を歩んでいるとマルクスさんは言います。産業化の歴史は、地球上で生きる人間の生命の存続可能性が破壊されていく歴史であり、こういうストーリーを我々は伝えなければならないとおっしゃっています。

一見すると、科学技術や医療技術の発達により、我々は、手に入れたいものを手に入れやすくなったり、寿命も延び、人々の生活は豊かになったように感じます。

しかし一方で、近代化の歴史をみると、産業化によって、戦争での死者数や被害者数は激増しました。日本でも、他国に攻め入ることもありましたし、また広島、長崎と二度の原爆投下を経験しました。

また、産業化を進めた結果、昨今の地球温暖化による自然災害や日常生活への影響は明らかです。日本では人口減少に入っていますが、世界的には人口増加をしており、人口増加と自然災害による食糧難が重なった時に、人類の食糧を確保できるのかといった問題もあります。資本主義経済の中で、格差も広がるばかりです。

我々は利便性を享受していますが、今のことだけでなく、子どもや孫の世代、その先のことを考えると、人として本当に正しい方向に進んでいるのでしょうか。人類は自滅の道を進んでいるというマルクスさんの主張について、いかが思われるでしょうか。

産業化や資本主義の消費社会のあり方は、人として正しい価値観に基づいていたのでしょうか。それらを進める上で発信されてきた情報やイメージは正しいものだったのでしょうか。マルクスさんの著書を通して、そうしたメッセージを感じます。


いかがだったでしょうか?現代の日本は平和に感じますが、地球温暖化や核の問題、格差のことなど、まったなしの問題を抱えながら、我々は生きています。そうした状況になったのはなぜか。私自身、本を読みながらそのようなことを考えさせられました。

本日は、マルクス・ガブリエルさんのインタビュー本、『世界史の針が巻き戻るとき』を参考に、「嘘と事実を見極める」というテーマでお話させていただきました。

そして、今回の問いです。

「子や孫の世代には、どういう社会になっていてほしいですか?」

皆様、いかが思われるでしょうか。

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◇参考文献
▼世界史の針が巻き戻るとき
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