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【一口法話】人生は砂時計のようなもの。お盆に寄せて

8月盆の地域では、もうすぐお盆がやってきますね。

お盆は、先立って往かれた方を思う季節として、日本では昔から大切にされてきました。

また、先立った方を通して、私たちのいのちの有限性にも思いをはせ、一日一日を大切に生きるご縁ともなることでしょう。

▼こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

◆ヴィクトール・フランクル

先日、NHKの「こころの時代」という番組で、ヴィクトール・フランクルが取り上げられていました。(解説:勝田茅生(かつたかやお)氏)

皆様、ヴィクトール・フランクルという方をご存知でしょうか。

ナチスの強制収容所での体験を書いた『夜と霧』という本の著者としても知られています。

フランクルは、ナチスによるホロコースト(大量虐殺)を経験し、2年半にわたる強制収容所の日々から生還した方です。

ホロコーストは、数百万人ものユダヤの人が虐殺をされた出来事です。

ヴィクトール・フランクルもまた、敬愛する母や愛する妻、知人などをホロコーストで亡くしました。

フランクルは、そうした悲しみや苦しみを経験する中で、死生観を深めていったと言います。

◆人生という砂時計

フランクルは、人生を「砂時計」に例えているそうです。

砂時計の上の部分には、これから起こる未来があり、下の部分には、すでに起きた過去があると考えます。

そして、真ん中の狭くなっている部分が現在です。

砂粒は、上の未来から、真ん中の現在を通過して、下の過去へと落ちていきます。

さらにフランクルは、過去は永遠に保存されると考えました。

過去が保存されるとは、例えば、私たちが過去に経験をしたことや、これまで自分がしてきたこと、一緒に過ごした人との時間なども保存されていくということです。

それら過去の一つひとつが保存され、永遠に残っていくとフランクルは考えました。

だからこそ今、どんな砂粒を落とすのかが大事だと言うのですね。

つまり、自分はどんなことを大切にし、日々をどのように過ごしていくのか。また、人と接する時にどのような態度で接するのか。

そういうことを意識して、一日一日を大切に生きていくこと重要さを、フランクルの話から感じます。

皆様は、どのように感じられるでしょうか。

どの学校へ行き、どんな職業を選択するのか。日々の仕事でどんなことをするのか。

家族や知人と接する時に、どのような言葉をかけ、どのような態度で接するのか。

一日をどのように過ごすのか。

もちろん、全てのことを自分で決められるわけではありませんが、こうした一日一日の積み重ねが、私という人間を形成していくことは理解できます。

仏教の徳という考え方にも近いものを感じます。

このように、フランクルは、人生を砂時計に例えています。

◆日めくりカレンダー

一日一日を大切に生きる。

フランクルは、そういう姿勢を「日めくりカレンダー」にも例えています。

一日一日を大切に生きるとは、日めくりカレンダーから切り取った紙を、前の日付の紙の上に丁寧に重ねていくようなものだと、フランクルは説明しています。

そして、切り取った紙の裏には、例えば今日はどんなことがあったのかや、どんなことを思ったのかなど、日記のようなメモを書いて積み重ねていくそうです。

これらは例えですが、日めくりカレンダーを丁寧に重ねていくように、私たちは一日一日を大切にして生きることができるとどうでしょうか。

今を生きている実感や、これまで生かされてきたことへの喜びや感謝も深まっていくように思われます。

カレンダーをビリッと破って捨てるような生き方ではなく、今日をどのように過ごすのかと考えて、丁寧にカレンダーを積み重ねるように生きること。

そうした生き方が、一日一日を大切に生きるということかもしれません。

◆お盆

お盆は、先立って往かれた方を思う季節として、日本では昔から大切にされてきました。

それは、先立って往った方が、自分にしてくれたこと、残したくれたものなどに思いをはせる季節と言っても良いでしょう。

そうしたことに思いをはせながら、自分はどのように生きていくのが良いのかと考え、一日一日を大切に生きるご縁ともなることでしょう。

◇参考文献
▼『ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある』/勝田茅生

▼『夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録』/V.E.フランクル


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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