60年分とそれから#4
「カートvsコウタロー」 何をいうか身構えていると、カートは何も言わずに顔を戻しテーブルに向かったまま動かなくなった。微動だにしない。感情を読み取らせまいとしているのか、あえて無表情を貫くその状態は白さや美しさも相まって石膏で作られた彫像を想像させる。先ほどまで力強く何かを捉えていた瞳はまるで光を失い何かに耐えているようだ。あるいは時が経つのをただ待っているようにも窺えた。俺は思わず感動してしまった。まるで子供とは思えない佇まいだ。姿形は年相応に幼いのに、彼が醸し出す颯然とし