2024年の海事分野はこうなる!令和6年度海事局概算要求発表
令和5年度予算も前年から4%ダウンの84億円でスタートした海事局。今年も盛に盛って111億円の予算を要求した様子。知床遊覧船事故の影響もあり、メイントピックとして小型旅客船の安全確保を謳った令和5年でしたが、令和6年としてはその全額を2024年物流問題にぶつけるようです。そのほかにも造船業のDXやカーボンニュートラル(LNG、バイオ)の推進など、少し具体的に的を絞るかたちでいよいよ海事分野の新たな時代に向けて日本が本格始動していくようです。
注)あくまで筆者の個人としての見解です。
1,2024年問題に対応!内航船の強化に本腰!
海事産業強化法を踏まえた国際競争力強化・生産性向上(本気度:A+ 概算要求額:30億円(R5年4億))
海事DXや自動運航船などは本年度と同様頑張りましょうって感じですが、今回のキーワードは内航船の強化。2024年4月からトラックドライバーの残業上限が下げられる、いわゆる「2024年問題(物流)」に絡んで、モーダルシフトが進んでいます。それに国交省も本格始動。船による国内輸送(内航船)に本腰を入れようとしているようです。そのためにも造船業の強化をしていくようで、特にエンジン関係(エンジンやクランクシャフト、プロペラの国産強化)をしていくようです。小型遊覧船安全対策に費やした予算をマルっとここにあてていきます(27億円)。海事DXとしては造船業のデジタル化を強化。生産工程の効率化をDXで解決していく様子。あらたに追加された項目としては官公庁船の強化。緊迫する台湾問題に備えて保安庁の船などすごい船を作るらしい。
2,脱炭素で世界をリードする?注目はグリーンメタノール
海事分野のカーボンニュートラル推進(本気度:B- 概算要求額:1.3億円(R5年0.9億))
2023年7月に行われた海洋環境保護委員会(MEPC 80)で、脱炭素関連の2050年までの目標が、カーボンニュートラルからGHGガス排出ゼロに変更されました。簡単に言えば、二酸化炭素を出したとしてもその分二酸化炭素を減らしてプラマイゼロにすればOK(カーボンニュートラル)ということから二酸化炭素を出すこと自体OUTということになったというわけです。これに向けてロードマップが引かれて、そこで注目されるのがグリーンメタノール。最終的にはアンモニアとか水素に移行しようと思ってるんですが、そのつなぎ役としてLNGやバイオ燃料を使おうとしています。とはいえ、LNGは船自体を大幅改造しなくてはいけなく、バイオ燃料もまだまだ不安定。より改造も少なくエネルギーとして補給も簡単なメタノールがつなぎ役として主役になりそうです。そしてこの次世代燃料の国際規格に日本が主導権を握ろうと加速していくようです。とはいえ、最終的には2050年までの宿題。少し先送りしそうな雰囲気です。
参考記事
関連記事:MEPC80
3,がんばれ海事人材!造船業にテコ入れ
海事人材の確保・育成(本気度: 概算要求額:79億円(R5年67億))
基本的にはあまり内容は変わらない毎年の固定費的な予算です。とはいえ、日本のお家芸の造船が特にピンチ。どんどん後継者が少なくなってきています。この状況に歯止めをかける施策を打ち出していくようです。
4,安全な海に向けて!自由で開かれたインド太平洋を目指す
総合的な海上安全対策等の推進(本気度:C 概算要求額:4.7億円)
ここも固定費的な予算。とはいえ、「自由で開かれたインド太平洋」が注目されて、今後重要になっていくポジションになるかもです。
まとめ
という感じです。2024年問題(物流)に向けて国内の海上輸送(内航船)が注目されていくようです。内航船業界は”脆弱”な企業ばかり。もっと注目されていくようPR活動も活発になっていくようです。内航船業界の方には追い風が吹く2024年になりそうです。そのためにもいっぱい船を作らねばということで造船業も支援がやってきそうです。特にDXなどのスタートアップの力がいよいよ海事分野で必要とされるかもしれません。
引用元
https://www.mlit.go.jp/page/content/001625459.pdf