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海の産業の守り方(SDGs14.7 その10~海の豊かさの守り方7-3)

DXやAIなどの先端技術の進化により、養殖業も身近で手軽にできる産業になっていきそうですし、観光業についても各国の地域らしさを世界中の人々が求めており、そういった地域らしさというポテンシャルはすでに持っているのです。養殖業にしろ観光業にしろ、海の産業で十分な経済効果を出すにはあとヒトオシってところまで来ています。そのヒトオシこそ、客数です。必要になるのはどれだけお客さんがその商品やサービスを欲しいと思って買ってくれるかです。それをマーケティングと言います。

どんなに情報を発信してもお客さんに届いてくれるとは限りません。届いたとしてもそれに興味を持ってくれるとは限りませんし、興味を持ったからと言ってもその商品を手にしたいかというも別の話です。売上は客数×価格という単純なものではありません。1つの目的を達成するためには様々な要素が複雑に絡んでいるのです。この1つ1つの要素をKPI(Key Performance Indicator)と言って、そのKPIを体系的に書いたものをKPIツリーと言います。

例としての海の産業KPIツリー

重要なKPIの中でも成功のカギを握っている項目をKSF(Key Success Factor)と言います。前回の「海が好きな理由」で話した海の魅力を発信していくことが最も客数を増やすKSFになるのではないかと私は思っています。でも、このKPIツリーが正しいわけではありません。それぞれKPIについては商品やサービス、環境によってさまざまに変わっていくものです。ハワイだってバリ島だって何かの軌跡で世界に名だたるリゾート地になったわけではありません。映画で楽園というイメージがついてしまったハワイはその楽園のイメージを活かしてリゾート開発をすすめたし、第2次大戦の日本の賠償金でバリ・ビーチ・ホテルに建てたバリ島は、観光ビジネスの可能性を見つけて観光に乗り出したのです。つまり、偶然リゾートとして注目されたわけではなくて、必ず何かの要因があって、戦略を練って一大リゾート地になったのです。

この考え方はマーケティングの1つの手法です。それ以外にもまだまだいろんな手法があります。例えば、MVVとかAIDMAとか4P分析といったものです。でもここでいいたいのはどのKPIが重要だとか経済分析がどうのこうのということではありません。経済を発展させる手段は1つではないということです。マーケティングとは「お客さんが抱えている課題を浮き彫りにして、その課題を解決へと導くための考え方」と言い換えてもいいかもしれません。小島嶼開発途上国や後発開発途上国は救いの手を差し伸べない限りどうしようもない国なわけではなく、まだまだ経済を発展させる伸び代がある国だということです。まずはどんな国にしていきたいかを明確に決めて発信することがファーストステップになるのです。そして違うと思ったら都度修正してまた道を探していけばいいだけです。できないことなんてないということです。

最後に1つ気になることがあります。それは「幸せとは経済を発展させること」という認識が本当にあっているのかということです。今回の14.7のターゲットを調べていくうちに面白い数値に出会いました。それがGNH。国民総幸福量のことで通称、幸福度ランキングのことです。(※1)

幸福度ランキング(GDP,GNI,EEZ面積,人口,面積の上位10までの国と小島嶼開発途上国および後発発展途上国。青枠は島国、グレーその他対象国)参考:GROBAL NOTE及びロイターグラフィック
https://graphics.reuters.com/LIFE-CAREER-LJA/0100B0CQ0S3/index.html


GNHでいうと日本は62位、中国は94位です。この順位よりも高いランキングに入っている小島嶼開発途上国や後発発展途上国があります。しかもほとんどはランキングされてはいないのですが、他の国を見る限りそこまで低い位置につけていないように感じます。そこで1つの仮説が思い浮かびました。このような小さな国は本当に経済発展を望んでいるのかということです。周りの国と比較すれば経済発展していないのかもしれませんが、周りの国と比較しなければ十分幸せと感じているのかもしれません。そして今も十分幸せと感じているのかもしれません。南国が楽園と言われるゆえんは、何もしなくても生活できる食材が手に入り、不自由なく生活できるからとも言われています。人が幸せに暮らすには本当に必要なものはお金じゃないのかもしれません。

以上で14.7「海のビジネスを世界へ」というターゲットを終えようと思うのですが、実は1つ説明を省いています。それは「漁業のビジネス」についてです。天然の魚を獲って生計を立てる漁業については低収入が蔓延化しており、世界的にも問題となっています。これについては14.b「儲かる漁業へ」に預けることにします。もう少々お待ちください。

to be continued…

※1、国民総幸福量、通称世界幸福度ランキングは7つの要素から幸福度を数値化したもので①国民一人あたりのGDP②社会的サポート③健康寿命④人生選択の自由⑤気前のよさ⑥汚職や腐敗の認知⑦世界最低の国の平均値(2.43)と3年間の調査で出た各国の残余値となっている。
やまとごころ 世界幸福度ランキング フィンランドが4年連続1位、日本は56位と出遅れ。コロナ禍での人との繋がり気薄化が幸福感に影響
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/42715/


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