囚われの身の想像力と解放されたアナクロニズム──イメージ論の問題圏(一)
1 アメリカの世界貿易センターのツイン・タワーが崩れ落ちて十年、ニューヨークでは二〇一一年九月一一日から、まさに『セプテンバー・イレブン』と題された現代美術展が開かれた(MoMA PS1、二〇一二年一月九日まで)。とはいえ、ピーター・イーリーのキュレーションによるこの展覧会には、その率直なタイトルとは裏腹に、九・一一を直接に主題とした作品は一点を除いてまったく展示されなかったという。クリスト《赤い梱包》(一九六八)やサラ・チャールズワース《身元不明の女性、ホテル・コロナ・デ・