恋の毒

かつて恋愛に生きていた私ですが、今はもうその賢者タイムというか、賢者になってしまって二度と恋愛なんてできないんじゃないかというところまできています。

浮気に気付いていながら涙を隠し気付かないフリをしたり、口約束が果たされないことを知りながら約束を信じ希望に縋り笑っていたり、別れを告げられた時は嘔吐し、殴って壁に穴を開けたり、新しく相手に恋人ができたときは2週間眠ることも忘れ、ベッドの中で泣き続け体重を5キロほど落としたり。

今では考えられないですね。熱量というか余力がない。他人に興味を持てないし、期待するのは野暮だなんて思ってしまいます。

だから、同級生が恋愛に脳味噌を支配されて支離滅裂な言動を繰り返しているのを見ると、かわいいなぁ。なんて思います。同時にちょっと羨ましくも思います。

恋愛ドラマを見ていると、よくわからないなぁと、思います。最近は、愛人の報われない哀しみと罪悪感との葛藤みたいな、そういう物語の方がだいぶ優しい気持ちで見れますね。

今の私には好きも嫌いもほとんどなくて、殆どが無関心です。好きの反対は無関心といいますが、そんなことはないと思います。

みんなほんのり好きで、ほんのり嫌いです。いい事を思い出せば話したいし、悪い事を思い出せば話したくないな、と思います。

でもってそもそもあまり人のことを思い出さないので、一年に一回とか、半年に一回とか、三ヶ月に一回とか、一ヶ月に一回とか。それは人それぞれなんですけど。自分の中で一番好きかなって思う人はだいたい一ヶ月に一回くらいの頻度で思い出して「あ、話したいな」となります。

一番で月一です。世間で言う「一番好き」と私の言う「一番好き」はだいぶ差があるのは簡単に予想できます。

かつて恋愛に生きていた頃は学校で毎日顔を合わせるのに毎週休日も遊んでました。週6で会うので、月に4回しか休みがありません。いかれているのでしょうか、いいえ、のめりこんでいるのでしょう。

独占欲は人一倍あると思います。それは今も昔もです。でも自分の人生も思い通りにならなくて滅茶苦茶なのに、どうして他人様を思い通りにできましょう。

他人は他人です。私が好きなあの人が私のことを好きになるなんてことは確率でいったら滅茶苦茶に低いわけです。

だから葛藤したり、嫉妬に苦しむんですけど、その感情自体が恋だなぁ、と思います。そんな恋の毒に悶え、苦しんで、私は「ああ、もうこれ以上は致死量なんだな」って気付きます。だから少し距離を置きます。

そして、凝りもせずに一ヶ月後思い出しては毒を飲み、苦しみます。

私の中で、恋するとはそういうことです。

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