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世界中で住んでいる人が住めなくなる街が激増!その理由は?

アメリカでもカナダでも、イギリスでもヨーロッパでも、オーストラリアでもニュージーランドでも、欧米諸国のさまざまな都市で同じ現象が起こっています。
 
「住んでいる人が住めなくなる」という現象です。
「住んでいる人が住みづらい」街ではなく、実質、「住めない」街になってしまっているという由々しき事態です。
 
その理由は、とてもシンプルです。
生きていく上で最低限必要な住む場所と食料が給料では賄えないためです。
 
では、なぜ、家賃や食費がそれほどまでに高騰してしまうのかと言えば、すべては「投資」経済、「Rentier Economy」「Rentier Capitalism」のために起こることです。
 
「世界中から大金持ちの投資を募ること」と「『Gentrification』と呼ばれる街開発」のために、今まで住んでいた人が経済的に余裕がなくなり住めなくなってしまうのです。
 

不動産の投資


カナダのバンクーバーは世界一、二を争うほどの投資マーケットで有名です。世界中から大金持ちが投資をするため、不動産の価格は急上昇し続けています。そのため「住んでいる人が住めない街」現象が最も顕著な都市のひとつです。
 
最低賃金で働く人たちが家賃と食費を賄えず、地方へ移り住んでしまったため、ウェイトレスのような職種で人手不足に陥ることもありました。
「医者ですら家を買えない街」また「コンドは空室だらけ」だと、久しく社会問題にもなっています。
 
建ったばかりの真新しいハイライズマンションは住んでいる人よりも空室が目立つと言います。空室というのは、すべて投資目的で買われた物件です。

投資の為にマンションを購入した人は住む必要はありません。
人に貸して家賃収入を得るのもひとつの方法ですが、空室のまま置いておくだけで、数年後には値が確実に、しかも大幅に上がるので、寧ろ、空室のまま置いておく方が楽でいいというわけです。その上、お金を増やすだけが目的ならば、増えた時点で売り、そのお金で更に大金を稼げそうな物件を買いたいと考えます。でも、賃貸にして、そこに住んでいる人がいれば、簡単に追い出すことが出来ません。売りたい時にさっと売るためには、空室のまま置いておく方が寧ろ都合がいいのです。つまり、マンションはマネーゲーム化してしまっているのです。
 
あまりの不動産の高騰に、「余っているお金があるのなら銀行に預けるよりも不動産投資した方が断然、儲かる」と誰もが考えるのは当然のことです。お金が余っていなくたって、モーゲージ(ローン)を組んで無理をしてでも買える不動産を買っておくのが得策です。だって、たったの数年の間に不動産の値は確実に、しかも、ちょっとやそっとではなく爆発的に上がるのだから、銀行なんかにお金を預けておくなんてもったいないと誰もが思うことでしょう。不動産という初期投資の金額が大きいものは、たとえ1%だって値が上がれば大金です。それに比べたら銀行の利息なんて鼻くそみたいなものです。
と言っても、日本のようにそもそも貯金を持っている人はあまりいませんから、モーゲージ(ローン)を組んで、物件の購入を目指すのです。
 
こんな宝くじのような投資話だったら、誰だって目が眩むでしょう。
そこへ、外国人だって不動産を購入することが出来るとなれば、世界中から「短期間に楽してお金を増やしたい人たち」が放っておくわけはありません。
大手投資会社と大手不動産開発業社はこぞって世界中の大金持ちたちに投資を呼びかけます。
 
不動産の価格が上がれば、当然、家賃も上がります。家賃で苦しむのは一般の住人だけではありません。家賃を払って商売をしているあらゆるお店も経営が苦しくなります。だから、商品の価格を上げざるを得ません。そうすると物価が上がっていきます。たとえ家賃に苦しんでいなくても、店や企業は市場に合わせて便乗値上げをしていきます。
そして、物価が上がるから、払わなくちゃいけない消費税も更に増え、支払い総額は大きくなっていきます。
 
家やマンションを購入したから大丈夫だと思っても、安心してはいられません。モーゲージの支払いが終わっていなければ同じです。モーゲージだってそれに伴って上がっていくからです。
 
そして、一旦、家賃やモーゲージが払えなくなったら最後。住んでいる家を追い出され、あっという間にホームレスです。もう二度と、家を借りることも買うことも出来なくなってしまいます。不動産が高騰し続けているため、今まで払っていた家賃ではもうどこにも部屋を借りることが出来ず、以前購入した家と同じ程度の物件はもう何も残っていないからです。
 
給料が上がる以上に家賃や物価が上がっていけば、住めなくなるのは当然です。
 
マネーゲームが加速するあまり、突然、貪欲なアパートのオーナーが「建物全体をリノベーションします」と全住民に退去通知を出し、全世帯を追い出すこともあります。そして、表面だけのリノベーションを施し、今までの家賃を一気に吊り上げた家賃設定で、新規入居者を募るのです。そうすれば、毎年ちまちまと家賃を上げるよりも、格段に家賃収入が増えます。突然、追い出された人たちは、今まで払っていた家賃ではもう同じ場所に戻って来ることは出来ません。
 
古いローライズのアパートは常に大手不動産開発業社から狙われています。建て壊してハイライズの新しいマンションにすれば、一棟の戸数も増え、家賃のスタート価格を一気に三倍に吊り上げられます。
しかし、追い出された人たちは美しくモダンに再建されたマンションに住む経済的な余裕はありません。更に、もうどこにも部屋を借りられない事実を目の当たりにさせられます。

欧米諸国では強制的に立ち退かせる「eviction」が増え、問題になっています。退去命令を受けた住人たちとビルのオーナーとの裁判沙汰話もよく耳にします。
住人たちは水道や電気を遮断されたり、頻繁にドアベルを鳴らされたり、嫌がらせを受けながらも法律にしがみつきます。立ち退いたら最後、同じ程度の金額では、もうどこにも借りる場所は見つからず、ホームレスになってしまうからです。
アメリカでは、家賃を滞納しただけで、銃を持った警官が押し入って来て、あっという間に住んでいた家を追い出されます。
 
また、大手不動産開発業社は周辺の土地をまとめて買い取ろうとします。
時々、好立地な街中で荒れ果てた空地や奇妙な空き家を見ることがありますが、お金になりそうな大きなマンションや商業施設を建てる為、周辺住人がすべて立ち退くのを待っている状態です。
 

「Gentrification」


周辺一帯を改修し、街全体を美しくモダンに蘇らせ、住人の階層を上げることを「Gentrification」と言いますが、これによって、追い出された人たちは行き場を失い、結果、お金持ちのためだけの街が出来上がってしまいます。
一帯が「Gentrification」されれば、当然、不動産価格は上がります。家賃も周辺のレストランやカフェでの食事もスーパーマーケットでの商品の単価もすべて値上がりしていきます。
街は新しく美しくなっても、元々住んでいた住人たちの生活費は増し、住み続けることが出来なくなってしまいます。
 
信じられないような話ですが、金儲けだけに目が眩んだ世界中の大手不動産開発業社たちは「まとめ買いのチャンス」とばかり、災害に遭った地域を狙って買い漁ることもあります。
2023年8月8日、ハワイのマウイ島、ラハイナで起こった大火災の後、住人たちはさまざまな不動産開発業社から「土地を売ってくれ」と言われたことを明かしています。ハワイの不動産業者だけでなく、世界中の不動産開発業者が、チャンスとばかりに一気に飛びつきました。ラハイナの住人から土地を手に入れることさえ出来れば、大手不動産開発業者に高値で転売することが出来るからです。ラハイナの海辺は長い間、大手不動産開発業社が狙っていた場所です。
でも、こういった大企業に土地を売ってしまえば、もう住人は二度とラハイナの地へは戻ることが出来なくなります。
 

不動産の高騰とその理由


不動産が高騰している都市の巷では、高騰の理由について「お金持ちの中国人が買い漁るからだ」だとか「都市に住む人が増えて物件数が不足しているからだ」と囁かれているため、そう信じ込んでいる人がたくさんいます。
でも、根本の問題は全くそうではありません。
 
世界中の大手投資会社による投資、そして、大手不動産開発業社たちと市などの行政機関による「Gentrification」のせいです。
自分たちが非難の標的になることを避けるために、「中国人のせいだ」と矛先を転じているだけです。

欧米諸国では中流階級がいなくなり、大金持ちか貧乏人かに分かれつつある一方で、中国では中流階級が急速に増えています。不動産投資できる大金持ちがたまたま中国に多かっただけのことです。そんなことよりも、そもそも、世界中の大金持ちをターゲットに投資経済を進めている大手投資会社と大手不動産開発業社たちが根本悪です。
 
もちろん、大金持ちの中国人の中には、とりわけ、不正をして溜め込んだお金を海外に持ち出した人が多くいたのは事実です。これまで世界中の富裕層や大企業がタックスヘイブンの国々にお金を移してきたのと同じように、それが不動産に向かっているだけです。
いずれにせよ、中国政府は取り締まりを強化し、不正が出来てしまうようなシステムの誤りを正していますが、不正金だと知った上で持ち込みを許し、利用しているカナダ政府にも責任があります。
 
「不動産物件数が足りていないから」という理由も必ずしも当てはまりません。実際、Covid-19 のパンデミックの最中は、会社に通わず自宅で仕事をする人が増えたため、地方の不動産が急騰したことは事実です。会社に通わないでいいのなら、家賃も物価も高い都市部よりも安い地域へ引っ越そうと、地方へ移り住む人が増えました。都市部のマンションを売れば、そのお金で地方では大きな家が買えると、マイホームを夢見た人たちがこぞって地方に移住しました。そのお陰で、物件数の少なかった地方で、不動産物件が不足しました。キャピタリストカントリーでは、需要と供給の差が開けば、もちろん価格は上がってしまいます。結果、地方にまで不動産急高騰の波が波及しました。不動産高騰の波が押し寄せれば、必ず、投資目的も急増します。短期間のうちに転売し、差額を儲けた人もたくさんいます。ただでさえ、不動産物件が少ないところへ、住みもしないくせに投資のために購入する人が増える度に、需要と供給の差が拡大していき、競争率が激しくなればなるほど、価格は急騰してしまいます。
これも、政府が住みもしないくせに不動産を購入する人を取り締まり、必要な戸数だけ建築すれば解決することです。
 
不動産価格が高騰するのは、中国人のせいでも、戸数が足りないせいでもありません。
ひとえに政府が大手投資会社、大手不動産開発業者などの大企業をコントロールしないために起こるのです。政府は住人の不満を政府へ向けさせないために、中国人のせいにしたり、戸数不足のせいにするのです。
外国人が住みもしないくせに不動産を購入すること、外国人でなくても、たとえその土地の住人であっても、住まないくせに不動産を購入することを政府が止めさせなくては、誰もその動きを止められません。バンクーバーのように、「ハイライズは空室だらけ」になってしまいます。
大企業に不動産を投資目的で売らせないようコントロールできるのは政府だけです。私たちには大企業を止めることはできません。政府が大企業をコントロールしないから、不動産が投資の目的になってしまうのです。
 
2021年、中国住宅都市農村建設省のトップは中国の不動産開発大手の恒大集団の破綻危機に際して、こう言いました。
「不動産は住むものであって、投機をするものではない」と。
 
これがコミュニズムとキャピタリズムの大きな違いのひとつです。
住む場所を最低限必要な「人権」だと考え、一般大衆を守るのがコミュニズムのアイディアです。
コミュニズムのアイディアの元では、一世帯がいくつも家を持つことはできません。人に貸して、人から家賃を取ることもできません。それは人が人から搾取していることになるからです。
 

キャピタリズムとコミュニズム


キャピタリストカントリーが大企業をコントロールしないのは、
キャピタリズムとは一握りの大金持ちによる「Dictatorship(独裁政)」だからです。
 
逆にコミュニズムとは大衆による「Dictatorship(独裁政)」です。
だから、世界中のキャピタリストたちはコミュニズムのことを「Dictatorship(独裁政)」だと言うのですが、それはあくまでも「一部の大金持ちたちにとって」の話です。
反対に、キャピタリズムが「大金持ちによるDictatorship(独裁政)」だったなんて、私たちには教えられません。
 
世界中のキャピタリストカントリーの政府は大企業側です。一部の大金持ちと大企業、その株主たちのための政治をしています。国民の基本的な「人権」までビジネスにすることを許し続けてきたため、世界中の一握りの億万長者たちが都市の一等地を買い漁り、買い占めるという事態に陥っているのです。
 
それだけではありません。
世界中の一握りの億万長者たちによる買い漁りは都市に限った話ではありません。
グローバルサウスの海辺では、美しいオーシャンビューのリゾートホテルがたくさん建てられています。これらは、特に世界中の大金持ちをターゲットにしたものなので、目の前の海はもちろんプライベートビーチ。海はリゾートホテルのものです。
そのお陰で、地元の漁師たちは海へアクセスできなくなり、漁に出られないため、生活が出来なくなってしまっています。海はその土地の人々の暮らしと直結しています。世界の一握りの大金持ちのバカンスのためだけにプライベート化していいはずありません。
 
都市でも田舎でも、世界中の大手開発業社に狙われた場所はどこも同じです。
もはや、地元の人たちが暮らすための街ではなくなり、世界中の富裕層、大金持ちのための投資目的の地、または世界中の富裕層、大金持ちのためのリゾートや観光地へと姿を変えつつあります。
 
今、あらゆるビジネスが、ターゲットを社会の大半を占める一般庶民から大金持ちへとシフトさせています。
観光地では地元住人のニーズよりも、大金持ちの観光客をターゲットにしているものが目立ちます。
一般庶民がお金を持っていないのですから、当然と言えば当然です。
中流階級が消えつつあり、高騰している家賃を支払うだけで精一杯な地元住人には余計なものを買う余裕がありません。だから、商売をするために、お金を使ってくれる層にターゲットを絞るのはよく分かります。
でも、そのために、住人はもうレストランへ行く楽しみさえ無くなってしまいます。お土産屋さんばかりできても、地元の人が必要なものは何も売っていない、なんてことにもなりかねません。
 
欧米諸国の街中では「F●●K Air B&B」といういたずら書きを見ることが増えました。
家賃が払えず、住人が住んでいたアパートを追い出されると、どこからか大金持ちが投資に現れ、あっという間にそのアパートがAir B&Bへと変身するのだそうです。
住んでいた住人は追い出され、代わりにAir B&Bになる。街は住人のための街ではなく、観光客の夢の街へと変わっていくのです。
 
街の一等地や観光地に近い好立地な物件が Air B&B になれば、世界中からお金を持った観光客をもっと呼び寄せられることができるかもしれません。お金持ちの観光客は喜んでお金を使うので、周辺レストランやショップは更に値を吊り上げても強気で商売が出来ます。周辺住人には手が出なくても、観光客がお金を落として行ってくれればそれでいいのです。
 
すべてはお金儲けのため。
お金を持っている人たちのための社会へと、いろいろなものが変わって来てしまっています。
貧乏人は置き去りにされていく社会。これがキャピタリズムの行き着く果てです。
 
世界中のお金を持った人だけが世界中のあらゆるものを買い漁る。
大金持ちは更に大金持ちへ、中流階級は貧乏へ、貧乏人は更に貧乏へ。
今の行き過ぎたキャピタリズムの現状です。
 
東京ももう既にその波に飲まれてしまっています。
 
キャピタリズムは明らかに終焉を迎えています。
これからの時代はコミュニズムです。
 
コミュニズムはそのアイディアが生まれた時点から世界中のキャピタリストたちの「絶対悪」でした。
ですから、キャピタリストカントリーで生まれ育った人たちはコミュニズムのアイディアを正しく知りません。自国の大金持ちキャピタリストたちから「コミュニズムは悪だ」という教育を受け続けて来たからです。
 
今、その洗脳から目覚め、「コミュニズム」のアイディアを正しく学ぶ時です。
「コミュニズム」のアイディアは大金持ちキャピタリストにとっては「絶対悪」ですが、国民のほとんどの一般庶民にとっては「神」思想です。埋もれさせたままではもったいないアイディアです。

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