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テイラー・スウィフト新作「The Tortured Poets Department 」、率直なところ、どうよ?

どうも。

いや~、もう世界の音楽はこれ一色ですよね。

はい。テイラー・スウィフトのニュー・アルバム「The Tortured Poets Department」。もうね、これ、今、世界での聞かれ方がものすごいんですよ。

これ、ストリーム史上、リリース数日で歴史上世界でもっとも聞かれたアルバムです。たった4日のことではあるんですけど、まあ、僕の予想ですけど、短期間であるならばしばらくは「」リリース○○日の間に歴史上もっとも聞かれたアルバム」の記録をつkって行くことにはなるでしょう。

だって、リリース4日目のアメリカのSpotifyのチャート、異常ですもん。1位から10位までテイラー独占。しかも4日連続。他の曲が、なんかまるでキャンセル待ちでもしているかのように、ランキング落ちてくるのを待っている状態です。しかもテイのリスナーってしばらくリピートして聞き続けるから、他の子のテの独占するタイプのアーティストの中でも落ちてくるの遅いんですよ。これ、他のアルバムでも体験済みです。

が!

しかしですね、このアルバム、評判は正直な話、あんまりよくないんです。

グラミー賞の最優秀アルバムを4度も受賞しているような人です。いつもたいがいレビューは良いはずなんですけど

レビュー総合サイト、AOTYのスコアがあまりよくないんですよね。

批評媒体のレビュー総合が71点。80点あれば好評と見なされる中、これはあんまり良い点ではありません。

しかし、それ以上によくないのはユーザー・スコア。一般の音楽ファンによる採点の合計がこれ、100点満点中47点しかない!テイラーでこんなに低いの初めてみました。

しかもこれ、AOTYだけじゃなくてですね

同じレビュー総合サイトRate Your Musicによるユーザー・スコア、過去のアルバムの採点と比べても今回、かなり低いんですよ。良いときのアルバムと比べて5点満点中、1点以上低いわけですからね。いずれの総合サイトでも自己最低のユーザー評価となっています。

これがどういうことなのか、説明する前に僕の見方を言っておきましょう。

僕ですが、今回のアルバムTTPD、こういう略称が目立つんですけど、これに関してですね

サウンドそのものは嫌いじゃありません。むしろ好きな方です。

今回も前作「Midnights 」に引き続いて、インディ・ガールズの売れっ子請負人の人気プロデューサー、ジャック・アントノフのプロデュースで、サウンド・スタイルはシンセポップがメイン。これも変わりません。

というか、シンセポップに彼女が寄ったこと自体は10年前ですよね。2014年の「1989」の時にはそのアプローチやってました。ただ、その時のやり方はいかにもポップスターな感じですインディっぽいやり方ではなかったんですよね。で、パンデミックの「Folklore」二部作でフォークに行ってしばらくやってなくて「Midnights」でそのアプローチに戻ったら、今度はちょっとインディ寄りに聴こえるようになって。今作はそれがさらに進んでですね、もうかなり本格的なインディ・ポップ・アーティスト的なシンセポップになってます。アントノフはこういうサウンド、たとえばセイント・ヴィンセントにもLordeにもやってますけど、割と人を選んで合うようなアレンジしてたアントノフがポップをそこまで意識しないで大胆にアレンジしてるような気がしました。

それがあったので、僕、今回、音的には嫌いじゃないです。

ただ!

そうなったらそうなったで、「本格的なエレクトロな女性シンガーソングライター」のサウンドと比較したくもなったんですよね。で、そうなってしまうと、今度は逆に彼女の弱点も見えてしまったんですよね。

テイラーの場合、もとがフォーク、カントリー系だからなのか、リズムに乗るの、あんまりうまくないんですよね。シンセポップって、やっぱ根本がダンス・ミュージックじゃないですか。僕、「Midnights」のとき、そこが気になってしかたなかったんですけど、サウンドはカッコよくなったもののダンス乗りの悪さまでは解消できてないんですよね。

彼女の場合、まずチャーリーXCXみたいなプロフェッショナルなダンス・アーティストにはなる気もないはずでさが、エレガントな感じでエレクトロを操ってる、たとえばキャロライン・ポラチェックだったりWeyse Bloodといったアーティストみたいにはなれない、もっと言うなら、こういうサウンドならカーリー・レイ・ジェプセンとかの方がダンスビート乗りが良いので映えるんですよ。そこが彼女には不足してるんですよねえ。

僕、ここ数日で本場のスウィフティーズと主にThreadsで会話してるんですけど、なぜ今回のテイラーの評判が悪いか、それを「ちょっとサウンドが難しくなって子供がついていけてない」ということをまず指摘してましたね。甘ったるくないから、全曲同じように聴こえてしまうという意見もあるようです。あと「前作と変わってないじゃないか」という意見もあります。これ、シンセポップの部分だけじゃなくて、さらに共通点があったりするんですけど、それは後回しにしましょう。

僕はこのサウンド面において、「なんでもっと早くウィークポイントに気がつかれずにもてはやされるのかな」と疑問だったんですよ。あのときはメディアが主に誉めてたからは気がつきにくかったか。ユーザー評価、実は今作ほどではないですが、実は前作もあまりよくなかったんですよ。ある意味、反発を食いやすい伏線はサウンドではあった、といえるかもしれません。

あと、今回、もうひとつ考えられるのは、毎度お馴染み、テイラーの恋の物語の内容が、今回のは人気なかった、というのもあると思います。

今回は、この、真ん中の元カレ、俳優のジョー・アルウィンのあとに、あのThe1975のマティ・ヒーリーと付き合うという展開。で、結局マティとも早期に別れた。マティはドラッグや発言などでのトラブルメーカーで、テイのファンにはかねてからアンチがお送り、「別れろ別れろ」のコールが殺到してたんですよね。で、別れた。なのでスウィフティーズとしては、いつも彼女がやるようにマティをケチョンケチョンにしてほしかった。

が!

マティが悪者にされず、成就しなかった恋愛をむしろ残念がる感じに描かれていたんですよね。

で、逆に、6年に及ぶ交際からふぁんになじみになっていたジョーは人気があった。でも、今回描かれているジョーは浮気野郎っぽい感じであまり良い印象じゃない。そこも不満だったんじゃないかな。

だとしたら、「他人の恋愛、ファンがコントロールしてどうすんだ」という感じなんですけど、今回のアルバム、まさにそんな彼女の愚痴も少し聞けたりする内容なんですよね。少し疲れて来たところがあるかもしれません。

マティに関しては悪い評判が流れてくるのを知ってはいて、でもそれでも彼を愛してる、彼を私が直すことが出きるのではないかとまで考えてたことがうかがえるんですよね。結構ガチだったようです。

僕自身もマティの騒動は、日本巻き込んだあのPodcastの件も含めてやや過剰だと思ってました。Ice Spiceに関しては「まあ、そんな感じ」と言って、会話相手のレイシスト、セクシスト発言を容認してしまった、あれはダメですけど直接の話者だったわけではなく、日本人のエロに関しては、「・・でも、それ、違うの?」と僕も正直なところ思っていることでもあり。そういうこともあり、ドラッグや酒の問題でもあるとはいえ、気の毒なところもあったなと思ってます。テイも見解、近かったりしてね。結局、テイのイメージに傷が付かないよう自ら身を引いた印象も持たれてたりします。

 不評なところはこうしたとこじゃないかな。

ただ、僕はこれ以外に、今のテイラーにすごく不満なところもあります。それは

これ、嫌なんですよね。当初16曲の予定が、配信一時間後に15曲追加になったんですよ。これはごめんなさい。頭に来ましたね。だって

チャートの上位、30曲も独占するってなんですか??

そんなことしたら、よほどのファンでもない限り、独り勝ちしすぎてチャートがすごくつまんなくなりますよ。それだけじゃない。今、ただでさえ、ストリーミング・サービスでのアーティストによる格差が非常に問題になってるのに、独りだけ暴利をむさぼるように儲けてるわけでしょ?

このアルバム、数日で10億ストリームは行ってると思うんですけど、そういう人と、一曲聞いてもらうのにも四苦八苦してる人たちの一曲の単価が同じだとしたら、ちょっとそれはないんじゃないかと思いますけどねえ。

しかも彼女、2作連続でそれをやってるんですよね。、しかも2作とも、本編がジャック・アントノフ主体、ボーナスが「Folklore」を手掛けたザ・ナショナルのアーロン・デスナーのプロデュース。なんですか、このやり方は。なんかまるで、本編が気に入らなかったときのための保険みたいなもんじゃないですか。そんなのアルバムの制作としてはずるいし、曲がある分、金儲けも可能なわけでしょ?これがフィジカルの時代だったら盤の制作費もかかるし買う人も負担がかかるからできなかったと思うんですけど、ストリーム時代を狙った商売ですよね。なんかそういうの、アルバムという形式を軽視しているみたいで僕はすきになれないですけどね。彼女の所属しているユニバーサル系列は追加でデラックス盤出しまくってるところですけど、彼女だけでなくレコード会社も含めた業界の問題のような気がします。

もっともツアーにも出ずっぱりなのに、短期でもりもり曲を書いて恋愛までしてしまう生活のタフぶりが可能にすることではあるとは思うのですが、今回のようなことを仮に次に続けたりしたら、そのときはちょっと気をつけないといけないかもしれませんね。


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