象の草子

先日借りてきた本の読後メモ。
一冊目、象の草子。
御伽草子を現代版に直してみた、という本。
現代調で書きました訳しましたというのとは違う、改変ともリアレンジとも訳とも違う、なんというか、何といえばいいのだろう?っていうのが筆が冴えている感じ。匠の一本の味。落語、そう、落語をどう話すか遊ぶかの感じと似てる。変わらないところ変えないところ、変えてるところ、膨らますところ、装飾、全体的にどう落とし込めるか、とか。基本的には一つの物語が流れているのだけど。御伽草子のことを何も調べていないけど、昔の御伽草子は目的も担わされているとするなら、この度の象の草子はそこから解き放たれてより伸びやかになっているような。
 本のページ一枚一枚もちょっと凝っていて、絵の配置とかも予想外なので、面食らう。面食らう感じが、物語が土に繋がれたところから離れて浮かび上がる手助けをしてくれる。
 華やかで楽しげなイラストは柔らかな眼差しで、雲の向こうに見るもののようだ。
 ボリュームとしては絵本を読んだくらいの、眠る前の幾つかのお話みたいに軽いものだけど、つまってるものは沢山あって、とっても面白い本だった。この本が若い家族の小さな本棚に一冊あったら、その家は楽しそうだな、そんな気がする。
象の編みぐるみを編んでみたくなる、そんな気がする。


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