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子どもや若者に居場所を


チキンライス
ダウンタウン松本さんが作詞、槇原敬之さんが作曲、浜田さんが歌いました。当時はあまり深く考えることはなかったけど、貧しい幼少期を過ごした松本さんの、子どもながらに「気をつかう」心理が透けて見える。

好きなものを食べていいと言われ、迷って頼んだのがチキンライス。高すぎず、安すぎず。せっかくだからと高価なメニューに目を向けてもがまん。「高すぎて二度と来れなくなるかも」という不安もあったのかもしれません。いずれにしても幼いながらにして「家庭の事情」を察していた松本さん。

貧しい家庭で暮らす子どもは、「自分が貧しい」ことを知っています。マクドナルドで一緒に食べておしゃべりしたり、おしゃれな洋服を買ってもらったり。修学旅行に行きたくても行けないのは自分だけ、他の子と一緒のことができないことでいじめられることだってあります。貧困は心の問題を引き起こします。

自尊感情。自分自身を価値ある者だと感じる感覚です。子どもが自立して生きる上で欠かせない感覚にダメージを与えられると、成人して、自立して働くにあたって影響が出る可能性が示唆されています。

人は、人とのつながりの中で生きています。つながりが途切れ、誰からも必要とされなくなったり、忘れられたりしたとき、人は生きる意味を見失います。社会から孤立して、居場所を必要とする若者がいま増えているといいます。「ひきこもり」も将来の貧困化につながる可能性が高く、子どもの貧困と並んで社会問題化している。

「甘い」といって切り捨てるのは簡単。ですがひきこもる若者のバックグラウンドにどんな壮絶な人生が描かれているか、それを知らずにして適当なことは言えません。子どもだけではなく若者に対しても、日ごろから話しかけ、一緒に遊び、ご飯をたべて、励まし続けることによって自信が芽生え、前を向いて生きる原動力になるんだと思う。

恵まれてて、元気な人からしたら理解できないことも多い。言葉で「がんばれ!」って言っても全然がんばれない人もいます。だからこそ一緒にいてあげて、悲しんだり喜んだりして、明日も一緒にがんばろうって励まし続けなきゃいけない。自己肯定感が生まれるまで並走して、支える。

子どもや若者が集まれる居場所づくり。たくさんの大人に囲まれて生きていく、育っていくためのコミュニティです。成長に寄り添って、成長を急がず、意欲をじっくり待って、意欲の芽が少しでも垣間見えたら逃さず拾い上げて。意欲や希望を持てる場所づくりが必要だと思う。

貧乏って何って考える
笑いで満たすしかなかったあのころ

でもあれだけ貧乏だったんだ
せめて自慢ぐらいさせてくれ

最後は笑いに変えるから

今日はクリスマス
町はにぎやかお祭り騒ぎ
七面鳥はやっぱり照れる
俺はまだまだチキンライスでいいや

心に傷を負った子どもや若者に対して、ちょっとだけかもしれませんが「満たして」あげられる何か。

多くの人のモノサシとなった「大きな物語」は高度成長期を終えて、バブル崩壊、失われた30年を経て喪失しました。自由を与えられたからこそ「相対化」が顕著に。

自分ではなく他人を見て比較して、傷つくのは貧しい人ばかりではありません。生きてい行く上でなんら支障のない人生を送っていても、日常的に得体のしれないストレスに悩まされる。その正体は「自由がもたらす不安」に他なりません。成熟した社会に欠かせないものとはいったい何でしょうか?

認め合い、支え合い、応援し合う。人と人とのつながりによって私たちは生きる力を手にして、道なき道を力強く歩いていけます。心の隙間を埋めるもの、満たしてあげられるコンテンツとしてスポーツが果たす役割はいままで以上に大きくなるでしょう。スポーツは心に効くコンテンツ。

現実をしっかりと見つめて。自分なりにできることを考えて、行動していこうと思う。

久保大輔




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