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「不安」な気持ちは使いよう

脳の可塑性、という言葉があります。

脳を構成する神経とそのネットワークは固定したものではなく、脳には自分とその周辺の状況に応じて変化する能力があること。

コトバンクにはこう定義されています。脳は筋トレと同じく、鍛えれば強化されることが近年の研究で示唆され、カナダの心理学者、ドナルド・ヘッブが提唱した法則が特に有名です。

皆さんも不安になることはよくあると思います。人間なので当然といえば当然。いうまでもなく私も例外ではありません。「不安脳」なんて単語もあるくらい。ネガティブなことに対して大きく心が揺れ、ポジティブなことには反応しづらくなる現象を指します。

ところが最近の研究では、脳をつかい、記憶力を鍛えることで不安脳への耐性を強化できることがわかってきました。脳にはネガティブな感情を処理する背外側前頭前野という場所があります。適切なトレーニングによってその部分が活性化し、良いことに対しては素直に喜び、悪いことに対しては冷静に対処できるようになることが報告されています。

逆に、脳に負荷をかけることを怠れば、筋トレをサボると筋力が低下するのと同様、不安に弱くなるということ。そもそも、不安というのは、しっかり準備をしたり、注意を払ったりするために備わった機能でもあります。つまり不安になることは「必要なことだ」と思えるだけで、不安がモチベーションの種になり得ます。

人間誰しも、「この人はどうも合わない」という他人と出会うことは避けられません。うまく立ち回り、どんな人に対しても何事もなくコミュニケーションを取れる人は確かにいますが、それと「この人とはうまくいかない」と感じることは別問題。ストレスを感じながらも対処できるだけであって、ストレスを受けていないわけではありません。

そんな人の多くは「ストレスを力に変える」という意識を持って苦手な人間に対峙しています。ストレスや不安から逃げることなく、その環境をモチベーションに変えて、がんばれる。それは意識の問題であり、意識は後天的に変化させることができます。

脳は簡単に変わる。

これは科学的に説明されている真実で、結局、私たちの性格や人格は変えることができるということです。不安がゼロになることはありませんし、ゼロにする必要もありませんが、意識と行動は変えられます。

不安をモチベーションに、そして失敗を恐れなくなれば、チャレンジする回数も自然に増えてきます。失敗を楽しめるメンタルは「失敗してもいい」「失敗は失敗ではなく経験」といった前向きな意識によって育まれます。失敗したとして、その失敗から何を学べるか?を常に問う感覚が不安脳を解消します。

よく「根拠のない自信」を揶揄する人を見かけますが、根拠は「過去の経験」がベースであり、変化の激しい先行きのわからない現代社会において、過去の経験に依存した自信は逆にリスクが高いともいえます。

根拠なき自信を持って行動し、とにかく行動し続けることで「何が当たるか」を探す姿勢が、先行き不透明な時代に即した心構え。次第に、根拠のある圧倒的な自信に育っていくはずです。自戒を込めて。

久保大輔




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