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時間管理と「親切」の意外な相関性


私たちの時間感覚はズレている昨日はそんな考察をしてみました。自分は長く働いていると思い込んだり、そのおかげで「やりたいことができない」と思い悩んだり。でも冷静に毎日を振り返り、いつ、何に時間を使っているのかを調べれば、余白の時間はある程度ねん出できそうです。

ではそもそも、なぜ私たちの時間感覚はズレているのでしょうか。主な理由は「不安と焦り」 常にどこかに焦りがあるから時間が不足しているように感じてしまう現象は、近年の研究でも明らかにされてきました。たとえば「運動したいけど仕事が忙しい」という葛藤があったとします。欲望や目標がぶつかり合うと、私たちは焦りの心理状態に。これが時間感覚に影響を及ぼすようです。

不安や焦りの正体。それを問われてもすぐに答えられません。私に限って言えば、なぜ不安なのか、なぜ焦っているのか、どんな葛藤があるのか?についてうまく認識できていないことが分かりました。不安、焦り、恐怖の正体がよくわからないとき、人はより負の感情を増幅させます。おばけ屋敷が怖いのは、薄暗くてぼんやりしてて、おばけの輪郭がはっきり見えないから。逆に解像度高くおばけの正体を明かしてくれれば、逆に滑稽に思えてきて、恐怖の感覚は薄れていきます。

ですのでまず私が取り組まなければならないのは、不安や焦りの正体を暴くこと。たとえば私には目標がいくつもありますが、それらを書きだし、目標達成までの「障害」を明らかにしてみるといいかもしれません。障害は「体脂肪が増えるとわかっていてチョコレートを食べてしまう」という葛藤か。それとも「英語をマスターするには外国人と話すしかない」という思い込みか。はたまた、「本を読みたいけど集中できる環境がない」といったものか。

焦りを生む原因の輪郭がおぼろげながら見えてきたところで、「他人になりきって」自分自身にアドバイスしてみるといいかもしれません。セルフ・ディスタンシングという手法。皆さんの周りにひどく落ち込んだ友だちがいたとします。そのとき、「だからダメなんだよ!」と傷に塩を塗るような言葉は決してかけないはず。寄り添って、やさしく声をかけ、何があったかを傾聴して、とくにアドバイスすることなくただひたすら共感する。そんなコンパッション(思いやり、慈悲)を抱くはずです。

それを自分自身にむけてあげるとより正確で冷静な解決策に近づくことができると言われています。ソロモンのパラドックスよろしく、「他人のことはよくわかるが、自分のことはよくわからない」というアレです。自分の身に起こった問題では判断が鈍るのに対し、友だちに起こったと想定すると判断力が上がると言われています。

ちょっと話がそれてしまいましたが、こうやって丁寧に不安や焦りの正体を明かしていくと、時間感覚のずれを取り戻すことができます。時間は知らない間に汚染されているので、定期的にチェックして汚染を除去したほうがよさそうです。あと、もうひとつ。時間感覚を取り戻すのに有効なのが「親切」を心がけることです。

他人のために時間を割いたほうが自分の時間を有効に使える。そんな研究結果があります。他人から感謝されたことでモチベーションが上がり、仕事、勉強、家事などに前向きになれる。心理学では自己効力感といいますが、他人を助けるという行為が、他人に貢献したという自己効力感を生み、時間不足のストレスを軽減するというロジックです。

親切もやりすぎると逆効果。一日5分の親切でも時間感覚に対して十分効果があるようです。家族に電話したり、ごみを拾ったり、友人や恋人の話を熱心に聞いてあげたり。小さな親切を心がけるだけで、時間感覚を取り戻せるはずです。自戒を込めて。明日からより一層意識していこうと思います。

久保大輔




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