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確固たるシステムと、システムを逸脱する創造性のバランスがダイナミズムを生む


ビジネスの出発点は
いつも

経営者の熱狂的な想い」、
そして「揺るぎない意志

それは、今までにない
あたらしい価値であって、

認識されづらかった
人々がかかえる課題の発見(創造)

でもあります。

経営者の、
さまざまな経験や深い思考の積み重ね

をベースとした、
ロジカルで深層的なビジョンは、

日々直面する具体的事例を
深く観察し、

「それってつまりどういうこと?」

として抽象度をあげて言語化し、
他の具体例に照らし合わせて

整合性があるかどうかを確認、
矛盾があれば微調整を図るなど、

長年現場で働くことによって培われた、
具体と抽象の往復運動

によって表出した結晶です。

■第一領域と第二領域

サッカークラブのスタッフは、

毎日クラブハウスに出勤して、
もしくは最近だと在宅にて業務をこなします。

朝礼があったり、
一日の予定を共有したり、
経費精算をしたり。

いわゆる第一領域
(緊急かつ重要なこと)に

多くの時間をとられるわけですが、
一方で

第二領域
(緊急ではないけど重要)に、

意図的に時間をつくって
取り組んでいます。

営業先にメールを送ったり、
会員向けにメルマガを配信したり、

練習見学に訪れるサポーターに
話しかけたり、質問を受けたり。

お客さんが喜んでもらえるように、
いただいた意見はすぐ、

改善に反映させるなど、
こまめな対応の積み重ねが

「売上」という結果に結びつく。

お客さんの「喜び」は、
「売上」という形で可視化される

ということがわかっているスタッフは、

第二領域の時間を意識的に長くして、
モチベーション高く仕事をしています。

■センスある人がやっていること

ところが、

Aさんの意見と、Bさんの意見と、
Cさんの意見を全部聞き入れて、

あれもこれもと改善しようとすると
必ず齟齬がうまれます。

Aさんにとって心地いいものが、
Bさんにとって納得のいかないことだったり、

Bさんにとってうれしいことが、
Cさんにとっては逆に怒りをかうことになったり。

すべての人をハッピーにすることは
不可能であるという原則

に気づいていない場合、

お客さんを喜ばせるどころか、
クレームになってしまうことがあるから難しい。

でもこういった
回り道のような経験や失敗を糧にして、

考え抜いて最適解を見つけ出すことが
仕事の醍醐味でもあります。

経験はいちいち、

うまくいってもうまくいかなくても、
ロジカルに整理するクセをつけること。

ロジックの引き出しを増やしていくと、

今まで経験したことのないような場面
(に見えても)

「構造」は同じである
と見抜くことができて、

適切な対処方法を選択、
対処することができるものです。

たくさんの問題を
誰よりもすばやく処理できる人は、

ロジックの引き出しを意識して
うまく活用している。

センスがあるとは、
こういうことを言うんだと思います。

■深い悩みと思考の末に

マーケティングのことや、
顧客データのことなど、

サッカークラブにいれば
さまざまな知識を吸収することができます。

もちろん本人の意識次第、
という前提ですが、

Jリーグ主催の研修や、
他クラブのスタッフとの交流、

ネットを開けばたくさんの事例
に触れることができます。

感覚で取り組んできた仕事を、

正確に描写して秩序立てて
考えることができれば、

上述したロジックの引き出しは
どんどん増やしていけるでしょう。

数値的な結果も目に見えて向上し、
クラブ内の評価があがって、

責任の範囲が増えていく。

そして幅広い業務と経験ができ、
充実した日々を送れるように、、、

なったと思った段階で一般的には
あらたな課題に直面することになります。


ロジックでは説明がつかない、
ロジックで対応しきれないような、

感覚的な問題。

言葉にすることも難しくて、
長い苦悩の時期を迎えるわけですが、

この深い思考の積み重ね、

そしてアンテナをはっていると
必ず出会う「助言」

さらにはその助言を強化してくれる
「書籍」との出会いによって

「あぁ、こういうことなのかなぁ」

というぼんやりとした「理想」
少しずつ形成されていく。


理想は「信念」となり、
他所とはまったく異なる「価値観」となり、

唯一無二の「ビジョン」
に昇華されるのです。

■無用な争いを避けてオンリーワンに

ビジョンは

ロジックに基づく思考で物事をとらえ、
感性や直観によって捕捉され、完成する。

論理力の土台があり、
その上に自身の感性がのっかって

価値あるアウトプットになる。

直観力、創造力、感性を
フル稼働させて、

蓄積してきたロジックと
融合させることによって、

今までにないあたらしい価値観
がうまれます。

ロジックだけ、感性だけでは、
オリジナリティのあるビジョンは得られません。


喩えて言うなら、

与えられたシステムに従って、
決められたルール通りにプレーする。

もしくは自由を与えて、
好きなようにプレーさせる。

そんな、
いずれかに偏ったサッカーではなく、

確固たるシステムの中で、
ときにシステムを逸脱して創造的にプレーする。

といった感じでしょうか?

ロジックとセンスを融合したサッカーは、
多くの人々を魅了する強者として

頂点に立ち続けているのは
偶然ではなく必然。


インターネットによって
地域性や物理的な距離という枠を超え

ファンを奪い合う戦場にいる
たくさんのサッカークラブを横目に、

立ち位置をたくみにずらし
生存競争を避け、

独自の価値観で多くのサポーターを獲得
戦いのない平和な市場で

ゆっくりと、そして着実に
成長していくサッカークラブ。

その礎となるビジョンは
かようにして形成され、土台となり、軸となって

長期にわたってクラブを支え
目的地にいざなうコンパスとなるのです。


※本稿は以下文献を参考にしました。
ビジネスの限界はアートで超えろ!
(増村岳史)



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