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非常識な行動を肯定し、部下を成功に導くリーダー

昨日は、

顧客体験の一貫性をデザインして
ブランディングする

という内容で投稿しました。

ターゲット顧客に「こう思われたい」
という価値を決めたら、

そのような印象が残るよう
すべての顧客体験に一貫性を持たせる。


商品やサービス、広告や販促チラシ、
クラブハウスや試合会場の色、デザイン、

スタッフの外観、人柄、接客、
社長の発言、公式サイトの言語など

すべての顧客体験を
マネジメントすることで

こういうときは、●●だよね

という消費者の識別記号
形作っていきます。

そして今日は、
そんな顧客体験のひとつである

スタッフの思考や行動を
具体例を交えて解説したいと思います。

■クラブにとってサポーターとは

サッカークラブになくてはならない存在である

「サポーター」

この対個人顧客への姿勢、
向き合い方は非常に重要で、

クラブがもっとも重要視すべき
ステークホルダー、

それが「サポーター」です。


さらに、

サポーターというヘビーユーザー
のまわりには、

コアユーザーである「ファン」
そして「お客さん」というライトユーザーがいますが、

クラブの時間的リソースの
多くを費やすべきなのは圧倒的に

ヘビーユーザーであるところの
サポーターです。

サポーターにどれだけ信頼されているかが、
クラブ経営の成否を左右する

といっても過言ではありません。

収入規模でいえば、
企業との向き合い方が優先されそうですが、

サポーターが作り出す
スタジアムの雰囲気やその絶対数によって

広告価値が換算される
そんな傾向が強い日本の広告事情を考えれば、

広告収入を生み出す源泉は

サポーターであり、
サポーターとのポジティブな関係性

であると言えますので、
その限りではなさそうです。


そもそも、対企業だとしても、
決定権者は「個人」であり、

そうであるならば
企業の社長をサポーターにしてしまうぐらいの、

クラブ、もしくはクラブトップの
情熱や覚悟と、

「クラブを通して何を実現したいのか」

というミッションとの核融合的魅力
がなければ、

現代における広告の価値は
低く見積もられてしまいます。

したがって何を差し置いても、
個人顧客のマネジメントは必要不可欠。

要は人と人との信頼関係
という話です。

個人顧客に対するアプローチと
その方法については

深く議論すべき課題だと感じています。


■人と人とのコミュニケーションが「信頼」をつくる


ちなみに私が
京都でマーケティングを担当しているとき、

「サポーターに会う」

ことに業務時間の大半
を費やしていました。

電話やメールでコンタクト、アポ取り、
そして直接お会いして、話しを聞く(メモを取る)ことが日課。

今だったら(当時もそうでしたが)、

サポーター(と思われる)のツイッターを
ハッシュタグなどで検索すれば

簡単に手に入る彼らの「声」を、

わざわざ対面で取得していたのには
実は理由があります。

それは人間対人間という
リアルなコミュニケーションが

「信頼関係」

の構築に寄与すると考えたからです。


相手の表情、しぐさ、間合い。
そんな温度感も含めてすべてが貴重な情報です。

直接会って心を通わせて、
ときに涙を流しながら(!)

サンガ愛について語り合うことで醸成される
信頼関係。

少し図々しいお願い
(そもそも会う時間をいただくこともなかなか図々しい)

をしたこともありましたが
臆せず接触を繰り返しました。


クラブに一番厳しい意見をいってくださる方々に
毎日のように会い続けることで、

営業における心構えだけではなく、
人間的成長という側面においても

相当鍛えていただいたと
今でもめちゃくちゃ感謝しています。

そしてそんな活動を通じて
「信頼」が醸成されたからこそ、

ファンクラブ会員数の増加、
チケットやグッズの売上増

につながったのは間違いありません。
※以下関連記事。


■非常識が未来の「正解」をつくる

しかしながらこの活動については
クラブ内で賛否あり、

今までにない新しい取り組みであることや、
投下労力に対する成果(売上)

までの時間的ギャップに苦言
を呈されることもゼロではありませんでした。

しかしながらこういった施策は、

私が師事する「センスある方」の教え
に従うものであり、

箸にも棒にも掛からなかった
私の仕事のあり方にパラダイムシフトを与え、

私自身が心の底から
必ず結果につながると信じていたので

半ば強引に、ゲリラ的に進めた活動
でもありました。

みんなが「右」だと言っているときに、

反して「左」に行くことに
躊躇しなかったわけではありませんが、

「おもしろそう」という期待感や、

結果が出るかどうかは分からないにしても、
ワクワクしながら仕事に向かう気持ち

に抗うことはできませんでした。


従来型の、
前任者がやっていたマーケティング施策

を踏襲していれば、
安心感もあるし、考える必要がないし、
(うまくいかなかったときの)言い訳にもなります。

でも予定調和はつまらないし、

最初から見本があって、そのとおりにやって
できた成果に達成感があるかどうか。

しかも当時は、

クラブのリーグ成績が下降し、
ファンの数が減少傾向。

今までのやり方を引き継いで
ファンの数を劇的に増やせるかどうかに、

可能性を見出せませんでした。
(クラブの成績に依存するしかなかった)


だからこそ危機感を抱いて
「センスある人」の門をたたき、教えを請い、

誰も考えたことがない、
誰もやったことがないものに挑戦して、

それが成果につながったときの喜びは
計り知れないと。

そして実際に、

サポーターの数はJ2にいながらにして、
J1時代を超えるまでに拡大していったのです。


■「情熱」は貴重な情報収集を可能に

一端のマーケティング担当
がやったことにすぎません。

その小さな成果が
クラブをポジティブにドライブするきっかけ
とはなりませんでしたが、

そのとき学んだのは、

全体構想を見渡すセンス、
それがなければセンスある人に学ぶことと、

「情熱」を捧げられるかどうか。

毎日サポーターに会って、
ときに罵倒され、悔し涙を流しつつも、

オフィスに帰って文章化して、
翌日のメルマガ配信予約をする。

土日関係なく動き、
アウェイゲームに足を運んで、

サポーターの様子を観察したり、
実際に話したり、一緒に応援したり。

あふれるような「情熱」がなければ、
「成功させたい」と強く思って仕事に向き合えなければ

そう簡単には務まらない
身体的、精神的過酷さがありました。

「なんとなく」とか
「仕事をこなす」といった姿勢では

絶対に続かなかったと思います。


情熱をもって
サポーターの感情や言葉の変化をくみとり、
それがメルマガとなってサポーターに配信される。

臨場感あふれる文章が書けたのは、
現場主義を貫いたから。

デジタルを通してはつかみとりにくい
艶やかで瑞々しい感情が言語化できたと思っています。


■非常識を肯定できる大局観

また、

サポーターと一緒に
クラブをよくしていきたい

という思いが、
自分の仕事とどう関係しているのか。

さまざまな仕事をした先に
どういうゴールがあるのか。

その完成図を描くセンスが
クラブのリーダーにあれば、

仕事に取り組む姿勢が変わってくる
と思います。


突貫工事でも、
「やってみろ」と背中を押してくれたり、

うまくいかないことが続いても、
「大丈夫」といって安心させる言葉を投げかけたり。

「自分は何を求められているのか」
「自分はどう、クラブのミッションに役立てるのか」

そこがちゃんとわかっていれば、
スタッフの意識は変わるはずです。

スタッフ一人一人の仕事が積み上がると
いったいどんな完成品になるのか。

局所的ではなく「綜合の視点

みんなが「右」といっているときに
「左」という人がいて、

それが完成品にどう貢献するのかを
見通すことができれば

「左」にいくという非常識な提案を
サポートできるのです。

どこを変えて、どこを変えないのか、
そういった大局観がなければ、

目先のコストカットだけで
仕事をした気になってしまう。

そういう人間ばかり評価されるようになると、

クラブにとって大事な幹
を細くする
ことにつながりかねません。


※本稿は以下文献を参考にしました。
「週刊文春」編集長の仕事術
(新谷学)




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