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予測は「力技」で当てるもの


最近の新入社員はビジョンを語りますね。3年後、5年後、10年後を見据えて。明確な目標を語り、そのためにいつまでに何をして、今何をすべきか、聞かれたら割とよどみなく話すことができます。彼らの刺激を受けたわけではありませんが、100歳まで生きることや定年後も働くことを想定して、私も今さらながら目標やビジョンを考えるように。若い世代に負けず劣らず、毎日テンション高めです。

ところが「予測」は当たらない、という研究結果があることをご存知でしょうか。学者や評論家、ジャーナリストに対する実験では、5年後の未来予想の精度がコイン投げと変わらないことが明らかになりました。未来予想は複雑多岐にわたる。優秀な専門家ですら予測の正答率は50%にとどまります。

こんなことを書いちゃうと失望しちゃうかもしれませんが、これが現実。新入社員や私の、自身の未来予想も推して知るべしです。じゃあビジョンや目標を立てることにまったく意味がないかというとそうでもありません。コインの裏か表か、どちらかに張って(予測して)それが当たるように力技で持っていく。そんな理屈を以下まとめてみました。

大前提として目標やビジョンがなければ逆算もできないし、ライバルもわからないからライバルの分析もできません。自分の強みがどこでどう生きるかも、相手や市場が定まっていなければ考えようがない。アメリカに行くのか韓国なのか、千葉県なのか。「行き先(目標)」がなければ、飛行機を使うのか船なのか、電車なのかといった移動手段を決めることができません。

「強引にでも結果を出す変態に仕事は集まる」

とは、ベストセラーを連発する編集者・箕輪厚介さんの言葉。「あいつならなんだかんだカタチにするだろうという信頼感」が継続的な仕事のオファーを生み出す源泉です。つまり、「売れる」と豪語して、力技で実現するということ。売れるかどうかの予測は、上述のとおりよくて5割の正答率です。残り5割は、強引に、力技で実現に持っていく

クリティカルシンキングの研究領域では、5割の未来予測率を改善できる手法を紹介しています。

1.問題を見つけ、自分に立ち位置を知る
2.そのうえで役立つ情報を収集する
3.継続的な情報収集でアップデートをくり返す

手間のかかるステップを何度もくり返して、精度を高めていくという手法。科学的な裏づけをもとに、信憑性ある方法論をスマートにまとめています。これにビジョンや目標設定を合わせて整理してみると以下のようになります。

1.目標を設定する
2.目標までの道のり(課題)を明らかに
3.自分の戦い方を決める(強みを絞る)
4.強みを磨く、情報収集する
5.強引に、力技でやり抜く

最初は誰もが「弱者」です。そして弱者だからこそできる、強者(ライバル)にはできない強みが必ずあるはず。そこに一点集中でリソース(時間)を投下して、同時に勉強や知識のアップデートを怠らず、死ぬ気で戦い抜く。なんか「最後」がいつも、非科学的で精神論的になっちゃいますが、成功者の自伝なんかを読んでいるとこの傾向が多いです。

予測は外れるもの。そう達観するでもいいですが、もう少し解像度を高めると、予測を「遮るもの」が必ず現れることが見えてきます。ということは、予測(目標やビジョン)を立てたら、それを妨げる要因を考えて、対策を講じるという「ネガティブ思考」が必要不可欠。すべて楽観的に考えていたら、行く手を阻む「」が見えてきません。

自分を盛らないことも大事。下手に自信を持ってしまうと、勉強したり自分を律したり、鍛えることをおろそかにしてしまいます。目標は遮られるもの。そして自分はいつまでも未熟であることを自覚して。最悪を想定し、対策を考えたら、そこからは明るく前向きに、ただひたすらに努力をして、強引に力技で夢を実現する。

若者に負けじと、私もがんばります。

久保大輔




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