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「意味がわからない」への向き合い方

24時間のモニタリングと、濃密な診療体制を可能にする集中治療室(ICU)は、アポロ計画がなければ実現しなかったと言われています。あるいは少なくとも実現が大幅に遅れていたであろう画期的な成果は、実は偶然の産物でもありました。

意味がわからない

歴史を変えるような大発明、大発見に対する最初の評価は往々にしてこうなります。 コペルニクスの地動説が受け入れられるまでには、彼の死後、1世紀以上の時間がかかりました。ニュートンの万有引力も発表以降、半世紀以上の時間がかかってやっと認められています。パラダイムシフトを起こす巨大なイノベーションは、非常に長い時間をかけて受け入れられることを歴史が示唆しています。

ライト兄弟は飛行機を発明しましたが、彼らのビジョンは「戦争の終結」でした。ICUしかり、本来の目的とは真逆の結果になることもあるイノベーション。発明、発見した当事者ですら行く末がわからない場合もあるということです。

オンラインサロンやクラウドファンディングを活用して大きな成果を上げた西野亮廣さんも、数年前まで世間の批判にさらされていたと言われています。「絵本の無料公開」なんかも同様。シャレにならないくらい叩かれたと本人も述懐していました。西野さんは未来が見えていましたが、多くの人は当初「意味がわからない」として評価を避けていました。

しかし新しい考え方や技術は世間で批判を受けているときでも水面下でじわじわと進行します。気づいたときには批判をしていた既得権益者が、地滑り的な大敗を喫するほどの大変革がもたらされることもあります。つまり、今までの常識、過去の経験に頼った視点は新しいことへの評価や判断を曇らせてしまうということ。「意味がわからない」と思ったら立ち止まって、批判したくなるような違和感を抑えて静観することが、歴史的にみても正しい振る舞いだと思います。

Netflixやアマゾンプライムのおかげで私たちはいつでもどこでもほぼタダ同然で映画を楽しめるようになりました。完成品(アウトプット)が非収益化され、「どこでマネタイズするのか」が経営課題に。まいた種をどうやって育てていかに収穫するのか。落とした布石を回収するポイントは「完成品を販売するとき」ではなくその前後にあります。全体を俯瞰して、マネタイズポイントを決めることが成果を左右します。

スポーツビジネスも同じ。コロナによってスタジアムでマネタイズするという常識が一気に崩壊する可能性が高まりつつあります。試合というプロダクトアウトによってチケット、グッズ、そして広告を販売するビジネスモデルは再考を強いられることになるでしょう。そして、この考え方を「意味がわからない」として蓋をするのではなく、真摯に検討することが未来への生存戦略になると思っています。

明日は久しぶりにオフ。論文を一気に書き進めたいと思います。

久保大輔




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