見出し画像

「権威」に惑わされないように


権威」は心を動かす。人は社会的地位の高い人や場所に対して好意的な印象を持つ傾向があります。脳には消費するエネルギーをできるだけセーブするため、認知や判断、思考をショートカットさせる性質が備わっているからです。つまり、頭を使って考えるのが面倒だから、レッテルに騙されやすいともいえますね。

そういえば営業を生業とする私も、無意識レベルで「権威性」を利用している。芸人やアスリートが参加するイベントは、そのキャスティングを売りにスポンサーセールスをしています。前職ではプロサッカークラブという肩書が、リスペクトを獲得することも多々ありました。当人の能力レベルがさほど高くなくても、権威の効果は絶大です。

一方そんな脳の特性は、ときに意思決定を狂わせることもあります。大学受験、就職活動において、複数の候補をならべたとき、けっこうな割合でネームバリューを優先してしまわないでしょうか?偏差値、報酬、将来性、そして権威。肩書を過度に気にしてしまうのは、肩書が力を持つことを自覚しているからです。ですが、「本当に学びたいこと」「心の底からやりたいこと」という心理を一旦脇に追いやる行為は、後々の後悔につながる恐れを秘めています。

ネームバリューを優先したがゆえに、チャンスを棒に振るケースもあるでしょう。有名大学とそうでない大学の受験日が同じで、代替日がないとしたら、前者を優先してチャレンジしたくなるかもしれません。ところが難易度の高さゆえ合格に至らず、結局、浪人の憂き目にあうことも考えられます。

もしくは就職においてせっかくの推薦を得られた地方の無名企業があるにもかかわらず、同時に採用の可能性が高い、誰もが知る大企業の存在が気になり、なびいてしまうことも。就職がほぼ確定となる推薦をもってしても、リスクの高い「権威」を優先したがゆえに、後者の話がまとまらず、推薦も受けられず、職を得られないという悲劇も考えられます。

肩書や権威を気にするのは、「自分に自信がないことの表われ」なのかもしれません。有名大学や企業に入れば、それだけで尊敬されたり、異性にモテたり。でも実態は「やりたいことができず苦しむ自分」 金メッキはしばらくの間、周囲を欺くことができますが、メッキがはがれたときにあらわになるのは悲惨な「贅肉」です。肩書をいいことに筋トレをサボると、劣化が進行するのは当然です。

そんな悲劇を味わわないためにも、周囲の忌憚なき意見を受け入れる姿勢を絶やしてはなりません。とあるサッカークラブの監督は、「自分に意見する人しかスタッフにいれない」と言いきり、数々のタイトル奪取を実現しています。イノベーションを起こすのはいつも年齢が若い人か、その業界での歴が浅い人。ですがリーダーが威厳をまきちらしていれば、周囲の貴重な意見を得られず、裸の王様に成り下がってしまいます。冠(権威)によって自分があがめられているように勘違い。チャンスを逃し、能力や将来性が徐々にに逓減しているとも知らずに、自己満足に陥ります。

常に謙虚さを忘れず、もちろん取捨選択はしますがいろんな意見を聞き入れ、肩書を盲目的に信用せず。

自戒を込めて、備忘として。
人生は学びの連続です。

久保大輔




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?