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【深刻】保育者の「やりがい搾取」について考える

このnoteでは、保育者という仕事における「やりがい」の取り扱いについて考えてみたいと思います。保育者や園長先生、保育者を目指す学生、保護者の方々に読んでいただきたい内容となっています。


保育士の仕事はやりがいがある素晴らしい仕事

保育士の仕事は、子どもたちの成長と発達を支えるという非常に重要な役割を担っています。日々の保育を通じて子どもたちの成長を間近で見守り、その一部を担うことは大きな喜びです。

例えば、まだ言葉をうまく話せない子どもが、初めて「せんせい」と呼んでくれた瞬間は、どの保育士にとっても忘れられない感動のひとつです。また、最初は泣いてばかりいた子どもが少しずつ笑顔を見せるようになり、友達と遊べるようになる過程を見ることは、保育士としてのやりがいを強く感じる瞬間です。

さらに、保護者からの感謝の言葉も大きな励みとなります。「いつもお世話になってありがとうございます」「子どもが先生のことをとても好きなんです」といった言葉は、保育士としての使命感と誇りを感じさせてくれます。

保育士へのリスペクト

保育士は、子どもたちの健やかな成長を支えるプロフェッショナルです。そのため、保育士に対するリスペクトは非常に大切です。私が現場で働いていた頃も、保護者や地域の人々からの感謝と尊敬の言葉を多くいただきました。

また、保育士養成校の教員としても、学生たちが「子どもたちのために頑張りたい」と強い意志を持って学んでいる姿を見ると、彼らに対するリスペクトの気持ちが一層強まります。未来の保育士たちが、熱意を持って子どもたちのために尽力しようとしている姿は、私自身の原動力でもあります。

「やりがい」がありすぎるからこそ、処遇改善が不十分である

しかし、保育士へのリスペクトがありすぎるがゆえに、処遇改善が不十分である現状も見逃せません。保育士の仕事は肉体的にも精神的にも非常にハードでありながら、その労働環境や給与は必ずしも十分ではありません。

ある日、私は一緒に働いていた同僚が「このままでは生活が成り立たない」と涙ながらに話してくれたことがあります。彼女は子どもたちを愛し、その成長を心から喜んでいましたが、経済的な理由で保育士を辞めざるを得ませんでした。このようなケースは決して珍しいことではありません。

また、私が保育士養成校で教えている学生たちの中にも、保育士としての将来に不安を抱えている者が少なくありません。彼らは子どもたちのために全力を尽くしたいと思っている一方で、低賃金や長時間労働といった現実に直面し、不安を感じています。

やりがい搾取の問題

このような状況に関連して、近年「やりがい搾取」という言葉が注目されています。やりがい搾取とは、仕事に対するやりがいや使命感を理由に、労働者に対して低賃金や過酷な労働条件を強いることを指します。保育士の仕事はまさにその典型例と言えるでしょう。

保育士たちは、子どもたちの成長に寄与するという大きなやりがいを感じていますが、その一方で、適切な報酬や労働条件が提供されていない現状があります。これは、保育士がやりがいを感じることを前提に、過度な負担を強いている状況と言えます。

例えば、私が働いていた保育園では、同僚たちがしばしば長時間労働を余儀なくされ、休息を取る時間もままならない状態でした。彼らは「子どもたちのために」という思いで働いていましたが、その結果として自分自身の健康を犠牲にすることになっていました。

このままではよくない。保育士不足は国益を損なう

このままでは、保育士不足という深刻な問題がさらに悪化し、結果として国益を損なうことになります。保育士が不足すれば、保育の質が低下し、子どもたちの健全な成長が妨げられる可能性があります。さらに、保育施設の不足は、働く親たちにとって大きな負担となり、少子化の進行や労働力の減少につながる恐れもあります。

処遇改善をしなければいけない

したがって、保育士の処遇改善は急務です。具体的には、給与の引き上げや労働環境の改善、キャリアパスの充実などが必要です。

まず、給与の引き上げは最も基本的な改善策です。保育士が経済的な不安を抱えずに仕事に専念できるようにするためには、他の職種と比べても遜色のない賃金が必要です。これにより、保育士の離職率を下げ、新たな人材を確保しやすくなります。

次に、労働環境の改善も重要です。例えば、適切な休憩時間の確保や、職場内でのサポート体制の充実が挙げられます。保育士は長時間にわたり集中力と体力を必要とする仕事です。そのため、適切な休息を取ることができる環境が求められます。

さらに、キャリアパスの充実も必要です。保育士が長期的に働き続けられるように、スキルアップの機会を提供し、昇進や専門分野へのキャリアチェンジの道を開くことが重要です。例えば、リーダーシップ研修や専門資格取得のサポートなどが考えられます。

おわりに

保育士の仕事はやりがいがあり、子どもたちの未来を支える非常に重要な役割を果たしています。しかし、その重要性に見合った処遇が提供されていない現状は大きな課題です。「やりがい搾取」によって保育士が不当に低い待遇を受けている現実を直視し、改善することが必要です。

保育士へのリスペクトを形にするためにも、処遇改善を進めることが急務です。保育士が安心して働ける環境を整えることで、子どもたちの健やかな成長を支え、ひいては社会全体の発展につながることを強く願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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