見出し画像

BRICSにサウジアラビア、UAE、イラン、エジプトが正式加盟

8月22-24日に南アフリカで開催されたBRICS首脳会合において、2024年1月から新たに6カ国の加盟を正式に認めることが発表された。新たに加盟するのは、サウジアラビア、UAE、イラン、エジプト、アルゼンチン、エチオピアであり、中東地域から4カ国(エジプトも含む)が選ばれている。

ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)で構成されるBRICSは、2010年に南アフリカが加盟して以来、現在の5カ国体制で続けられてきた。しかし、グローバル・サウスの影響力の高まりに合わせて近年は加盟国の拡大についてBRICS会合の場でも公に論じられるようになっており、中東諸国では今回加盟が認められた国の他、アルジェリア、バーレーン、クウェート、モロッコ、パレスチナが加盟意思があることを公式に表明しているようである

加盟国の頭文字が組織の名称になっていることにも示されているように、BRICSは加盟国を拡大させていくことを想定していた枠組みではなかったため、加盟手続きの制度は十分に整備されておらず、加盟の条件をめぐっては加盟国間でも意見の相違があると見られてきた。Ruetersの報道によると、今回の首脳会合においても当初は8月23日に加盟国拡大の決議が採択される予定であったが、直前にインドが新規加盟への新たな条件を提示したことにより、23日中の採択は見送られることになったようである。米国と対立するロシア・中国に対し、米国と一定の関係を保っているインド・ブラジル・南アフリカは、BRICSが「反米連合」と見なされることを強く警戒してきた。

今回、中東諸国から加盟が認められた4カ国は、サウジアラビア、UAEといった伝統的な親米国もあれば、核開発問題に関連して米国の制裁を受けるイランも加盟が認められており、政治的にバランスが取られた顔触れになったと言えそうである。

もっとも、今回選ばれた4カ国は以前からBRICSとの協力を公に進めており、この4カ国が選出されることにサプライズはなかった。6月1-2日に開催されたBRICS外相会合にはサウジ、UAE、イランの外相がそれぞれ参加しており、その場でも加盟国拡大について協議されている。

また、BRICS銀行と呼ばれる新開発銀行(NDB: New Development Bank)については、2021年にUAE、バングラデシュ、ウルグアイが、2022年にエジプトの加盟が認められている。6月のBRICS外相会合の前後ではサウジアラビアのNDBへの参画が協議されているとも報じられており、今回加盟が認められた国は他の国々と比べても一歩抜きんでた立場にあった。サウジアラビアとUAEの豊富な資金力はNDBの運営の安定化に大きく貢献すると考えられており、加盟を歓迎する声が大きい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?