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社長のお客様訪問6つのコツ

From 安永周平

伝説のコンサルタントとして名高い一倉定先生の著書『社長の販売学』では、とにかく社長はお客様訪問をやれと書かれてある。事業活動の本質は市場活動であり、社長は社内にいるよりも市場にいる方が圧倒的に多くて当たり前。「社長が社内にいるのは、1週間のうち1日以内とするべきだ」とまで書かれてある。

もしあなたが社長をしていて、社内での仕事ばかりをしているのなら…ぜひ、今日の「社長ならではのお客様訪問6つのコツ」を参考にしてみてほしい。今風のビジネス書とは書いてあることが全く違うかも知れないが、今こそ改めて見直したい&必要なことだと感じる。私も耳が痛い話であるとともに大いに勉強になった。それではいってみよう。

①会社に出社しない

社長がお客様回りをする日は、朝会社に行ってはいけない。これをやると「社長が会社にいるうちに…」と役員が相談を持ちかけてくる。管理職は報告やら指示を受けたがる。社長あての電話がかかってくる。お客様が訪問する…となり、たちまち午前中の時間が潰れてしまう。ともすれば午後までかかり、結局その日は1日会社にいてしまうリスクがあるからだ。

②アポイントは取らない

特別の場合を除き、訪問先の社長や店長などにアポイントは取らない方がいい。訪問の目的は表敬訪問(ハッピーコール)だからだ。相手がいなくともいっこうに構わない。その場合は日付を書いた”置名刺”をする。実は名刺を渡してもらうだけで、効果は面会した場合とあまり変わらない。社長がわざわざ挨拶にきてくれた、ということだけで相手が満足してくれたりする。後ほど「何か用がありましたか?」とわざわざ電話をくれることも多い。

③お客様には一人で会う

社長のお客様訪問は、道案内のための社員や秘書を同行してもいいが、表敬訪問である限り、先方の人には必ず1人で会うことだ。それが社長であっても誰であってもだ。社員の誰かと一緒に会ってはいけない。これは、自分が来訪された時のことを考えればよくわかる。たとえば仕入先の社長が、社員とともに自分の前に座ったら、社長に対して言いたいことが言えなくなってしまうだろう。社長は一人で先方の人と会うのがエチケットというものだ。これを忘れると逆効果になるから注意しなければいけない。

④相手の要望のみ聴く

表敬訪問は、顔を出して挨拶をすることで親近感を醸成するハッピーコールである。だから、平素のお礼の他は、相手の要望、要求事項、苦情や不満をうかがうことだけにする。こちら側の希望や要求を出してはいけない。それは表敬訪問とは切り離して、予め用件を明らかにしてから訪問しなければならない。

⑤繰り返し訪問する

普段、お客様訪問をしない社長が初めて訪問すると、相手の社長は驚いて「何かの目的で来たのだろう、うかつなことは言えないぞ」と警戒し、こちらの訪問目的を探ろうとする。第1回目の訪問では、相手の社長の警戒心を解くことはできない。数回の訪問で表敬以外に意図はないことがわかって初めて心を許してくれる。それには繰り返し3〜5回くらいの訪問をしなければならないと心得よう。こうなればしめたもので、キツいことを言われることもあれば、打ち解けて話をしてもらえることもある。

⑥時間はせいぜい10分以内

相手の社長と会っている時間は長い方がいいのか、短い方がいいのか…これについて話そう。初めての訪問では、相手の方が気を遣って「あまり短時間で追い返すのは失礼だ」と感じ、30分、1時間…となることもある。初回は仕方ないとして、2回目からは事前に表敬訪問であることを明らかにして「10分だけいただきたい」と面会時間を明らかにするのがよい。「面会時間はなるべく長く」と吹き込む人がいるが、相手の社長は忙しいのだ。その忙しい時間を自分のために割いてくれることを考えれば、長時間がNGであることは分かるだろう。せいぜい10分以内、訪問回数が増えてくれば5分でも十分だ。

社長はお客様を訪問せよ

自分が社内にいなくてもいいように、社内を整備してからお客様回りをしようと思っている…私もかつて、そう思っていた。しかし、社長が社内にいる限り、社員は自分で考えることをしなくなり、いつまでも些細なことを社長が判断しなければならない。社内の仕事が整備されることを阻んでいるのは、実は社内に居座っている社長かもしれない。

社内の整備も大切だが、社長が方針を明文化・言語化さえすれば済む問題も多い。会社方針と経営計画を打ち出したら、社員を信じて任せて、お客様の要望を拾うために訪問を続けよう。事業経営というのは、最後は人間対人間の関係だ。お客様とのよい人間関係こそが、お互いにとって何よりの宝であることを覚えておこう。

追伸:
一倉定さんの『社長の販売学』は1991年に刊行されている。30年前の本なのに、今この時代でこそ活きる知恵が本当に多い。まだ成果が出るかどうか分からない新しいものに飛びつくのもいいが、こうした実績ある骨太の販売学を学ぶことに時間を使うことをオススメしたい

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