見出し画像

芸能人や政治家を叩く人の心理

From 安永周平

相も変わらず、テレビを見ていると芸能人や政治家のスキャンダルが多い。俳優のわいせつ行為や政治家と宗教団体のつながりなど…こうしたニュースの是非はさておき、報道されたらすぐにネット上に批判的なコメントを書き込む人たちがいる。

SNS投稿のコメント欄に、問題を指摘しながら持論を語りまくる人たちがいる。そこにかける情熱は、もはや尋常ではないレベルに思える。よくインターネットやSNSの普及により「有名税」が上がったと言われるが、上手い表現だなぁと思う。

もちろん腹の立つニュースも多いので気持ちは分かる。ただ「なぜ、そこまで躍起になって書き込むのか?」は、私にとっては疑問であり、興味があった。というのも、その理由がわかれば、ニュースに限らず自分が日頃イラッとする「本当の理由」もわかる気がしたからだ。

そして以前、レス・ギブリン氏の著書『人望が集まる人の考え方』を読んでいた時に、その「答え」を発見したような気がした。

「自己中」の人は、自尊心が低過ぎる?


ギブリン氏によれば、従来は「自己中心的な人は、自尊心が高過ぎる」と信じられてきた。SNSで持論を語りまくる人もその類だろう。だから、そうした人に対応するには、相手を論破したり言い負かしたりして、その人の高慢な鼻をへし折ることがベストだと思われてきた。

実際に「論破」という行為に憧れを持つ若者も多い。しかし、あなたも経験があるかもしれないが「人に動いてもらう」ことが目的の場合、この解決策が上手くいくことはまずない。

理論武装をして、相手を言い負かし論破できたとしよう。あなたは、その時だけは気分がいいかもしれない。ちょっとした優越感に浸っているかもしれない。しかし、論破された相手はいったいどんな気持ちになるだろうか?あなたの理屈に納得して、気持ちよく動いてくれるだろうか?残念ながら、現実は真逆だ

相手は恥をかかされたと感じ、あなたを敵とみなし、態度を硬化させ、もちろんあなたに協力してくれることもなくなるだろう。もし、これが商談や交渉の場で起こったら…あなたにとっていったい何の得があるだろうか?

こうしたやり方が上手くいかない原因はシンプルだ。というのも、臨床心理学の研究において、自己中心的な人は、自尊心が高過ぎるのではなく「低過ぎる」ことが分かったからだ。自尊心の低い人は、自分の間違いを指摘されたり、ちょっとした批判の眼差しを向けられただけで一大事のように思えてくるもの。他愛のない発言を皮肉・嫌味のように捉える人は、自尊心が低いために苦しんでいると見てまず間違いない。

他人を批判・口撃する人の2つの心理


同じように、すぐに感情的になって激昂する人や、相手をこき降ろす傲慢な人も「低い自尊心」のために苦しんでいる。SNSをはじめネット上で批判的なコメントを繰り返し書き込む人も(本音のところでは)こうした悩みを抱え、苦しんでいるのではないだろうか。そして、こうした人の行動を理解するには、2つの心理を知っておく必要がある。

①他人をこき下ろすことで、自分の重要性を高めようとしている
②間違いを指摘されただけで、ただでさえ低い自尊心が崩壊するのを恐れている

こうした人は、いつも心の中でビクビクしながら他人と接している可能性が高い。つまり、自尊心を傷つけられるという不安に耐えられないので、他人にやられる前に相手を攻撃(口撃)することが多い…というわけだ。

時々、誰が見ても明らかに間違っているのに「自分は間違ってない…」と頑なに態度を変えない人がいるけど、多くの場合はこうした心理が働いているはず。そして、このような人は私たちが想像するよりもずっと多いのだろうと思う。

しかし、相手が意固地になったり、口撃してきたりする原因が「自尊心の低さ」であることを理解していれば、あなたも相手を批判して火に油を注ぐようなことはしないだろう。低い自尊心で悩んでいる人に、手厳しい意見を言ってはいけない。

そんなことをすれば、相手はますます態度を硬化させて、こちらが望むように動いてくれることはなくなってしまう。仮に議論に勝ったとしても、相手との人間関係が崩壊し、敵を作ってしまうだけだ。何より、あなた自身の人としてのレベルを下げてしまう。

「人生の成功は対人関係が9割」


ボブ・バーグ氏ががよくそんなことを言う。ちょっと周りを見渡してみてほしい。あなたが知っている経営者、営業パーソンの中で、最も大きな成功を収めているのはどんな人だろうか?その人が持っているのは、優れた頭脳や専門技術だろうか?少し考えてみれば、事業で大成功を収め、家庭でも幸せな人生を送っている人の共通点は、驚くほど謙虚であり「人間関係の技術」に長けていることだとわかるのではないか。

そして、私たちセールスに関わる人間は、このことをよく理解しておかなければならない。いくら正論を振りかざしたところで、自分の発言・行動が相手の「自尊心」を傷付けているのなら、それは私たちが望む結果には結びつかないだろう。相手の発言に対しても、売り言葉に買い言葉で反撃してはいけない。自尊心の低い者同士では「大人な会話」は成り立たない。

人間関係の最重要ポイントは、レス・ギブリン氏曰く「人は大抵の場合、自分の自尊心を満たすために行動する」ということだ。だとしたら、こちらが望むように相手に動いてほしいのなら、あなたは「相手の自尊心を満たす言葉」をかけなければいけない。そして、これは受け身ではなく私たちが先に取るべき行動のはず。あなたの仕事は相手の間違いを指摘して正すことではない。相手の自尊心を満たし、たとえ気難しい相手であっても自分の味方になってもらうことだ。

PS
ちなみに、このレス・ギブリン氏の『人望が集まる人の考え方』は本当に人間関係における名著だと思う。あまり知られていない分、読んでおけばライバルより一歩リードすることができると思うのでぜひチェックしてみてほしい

詳細はコチラ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?