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起業準備家になるくらいなら、まずレモネードを売ろう!!

「ビジョンって大事ですよね。」

こういう時のビジョンって何かというと
会社でいえば「自分たちが企業活動を通じて実現させたい未来像」、個人にとっては、「自分が将来どうなりたいか、あるいは自分が豊かな人生を送るためにめざす指針」という意味合いになるでしょう。

ね?やっぱり、ビジョン大事ですよね。

でも若いうちからビジョンなんて持ってないのが普通だと思うんですよ。

社会人経験がなければ、そもそも社会をよく知らないですし、人間ってどん存在についてもイマイチよくわかってないし、自分がどんな人間なのかの理解も曖昧だったりします。少なくとも僕はそうでした。

でもそれってごく当たり前のことだと思うんです。

ビジョンは大事なんだけど、若いうちからビジョンを持って行動できる人なんて本当にレア。ではビジョンを持ってない大勢の人はどういう行動をとるべきか?
ということについて、僕が思うことを書いてみたいと思います。

1.企業の共通の課題、新規事業をつくれる人材がいない

先日、大企業で新規事業創出プログラムを統括していた方にお話を聞く機会に恵まれました。
そのプログラムは2年ほど実施されたものの、あまり大きな実績が出せずに終了したそうです。
これについて「なぜうまくいかなかったと思いますか?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

「新規事業をつくれる人間がいなかったからだよ。これは、うちだけでなく多くの大企業共通の課題。そもそも企業には会社がもともと持っているマネタイズエンジンを回せる人間しかいないんだよ。例えばリクルートは新規事業をつくるのが上手いというけど、彼らだって根っこは同じで、リクルートがもともと持っているマネタイズエンジン、つまり、ある特定の属性をもった情報を大量に収集してコンパイルすると広告価値・お金が発生するという「現象」を発見し、それをマネタイズエンジンとして、突っ込むパラメータ・集める情報を様々に置き換えているだけ。このマネタイズエンジンを作り出すという能力は企業で普通に働いてても絶対手に入らない。こうすればお金が発生するという「現象」を自分で発見した経験がなければ身につかない。

このお話は、深く心に刺さり、僕自身何度も心の中で反芻しました。

2.「とりあえず自分でやってみる」姿勢

僕はフィラメントという、新規事業創出をサポートする会社ーアイディエーションファームと自称していますーを立ち上げて経営しているのですが、起業する前は地方公務員をやっていました。しかも20年もの長きにわたって。

でも起業してみるという冒険に出たんですよ。安定した仕事を捨てて。

どうやったら儲かるか、なんとなくの仮説はありましたが、まあまあ出たとこ勝負で退職して(しかもその時は生まれたばかりの乳児を含むこども二人抱えた状態でしたが)、とりあえず起業してみたんです。

起業後の僕の仕事は、電話帳に載ってる(昔は職業別電話帳というものがあったんですよ)ような既存の業種、普通の仕事で儲けるイメージではなかったので、まさに毎日「お金が発生する現象」を発見するために時間を使っている感じでした。
起業して最初の頃は、イベントの企画支援や集客のサポートなど、僕がもっていた様々な方々とのつながりやこれまでのイベント開催経験を、ハッカソンやアイデアソンなどの開発系イベントの隆盛という当時の時流にあわせてマネタイズエンジンとしていたわけです。

でもイベントには流行り廃りがあります。
だから、早晩、事業の方向性は転換する必要があることもわかっていました。
そして、紆余曲折を経て今の事業ー新規事業創出支援する伴走コンサルティングーに落ち着いているわけですが、これが事業として成立しているのは僕がとりあえず自分でやってみるのが好きな人間であり、日常から行動と思考を組み合わせることを学んでいたからだと思います。

僕は今言った「とりあえず起業した」こと以外でも、多くのとりあえずやってみることを実践してきました。
普通の人だと、誰か専門家に依頼するようなことでも、できる限り自分でやってみる、何か本を読んでやり方を学んだことは一回自分で試す機会を作ってみる。
例えば、プレゼンテーションの指南本を読んだ後には、自分で新規事業のアイデアを考えてスライドをつくって応募してみるとか、親が亡くなったときには自分で相続の手続きをしてみるとか、家を建てるときには専用ソフトを買って自分で設計してみるとか、そういうことを日々実践するようにしてきました。そうやって、行動を通じてものごとの本質を解像度高く理解し次のアクションを考える姿勢が身についていたことが今の事業のマネタイズエンジンとなっているんじゃないかと思います。

3.大事なのはまずレモネードを売ってみること

僕のこれまでの経験を通じて、まだビジョンが見つかっていない方に対して、助言をするならば、「まずレモネードを売ってみなはれ」とお伝えしたいです。

レモネードを売るというのは、アメリカのこどもの定番のお小遣い稼ぎだそうですが、何でもいいから自分でお金を稼ぐことをやってみることはとても大事だと思います。

なんとなく想像できると思いますが、最初は全然売れないと思います、レモネード。

そして考えるはずです。なぜ売れないのかを。
必死で考えて、売れるためにいろんなアイデアを出すでしょう。

例えば…
・売る場所を変えてみる。
・売る時間を変えてみる。
・ビラを撒いてみる。
・接客を工夫してみる。

いろんな試行錯誤の末、歓喜の瞬間がやってきます。
「やった!!売れた!!」

そしてその後、また考えるわけですよ。
なぜ売れたのか、売れた理由を。

・場所が良かったのか?
・販売時間帯が良かったのか?
・接客で何か特別なことしたっけ?

色々考えた末に「売れるという現象」の再現に成功する瞬間がやってきます。
そして気づく
「これがポイントだったのか!!」と
例えば、そのポイントが「接客時の笑顔」だったとすればそれがマネタイズエンジンであり、その事業のコアなんです。

だとすると、次にやるべきことはマネタイズエンジンー接客時の笑顔ーをいかに高頻度で大量に再現するかになってきます。
そのために必要なことは「魅力的な笑顔の作り方」を研究して再現できるようにマニュアル化することかもしれない。
そしてそれを他の店員さんに配ってトレーニングしてもらったりすることかもしれない。

こうして「お金が発生する現象」を再現・量産する仕組みが出来上がっていきます。
これこそが「企業」です。

企業をつくるということは試行錯誤を繰り返しながらお金が発生する現象ーマネタイズエンジンーを発見し、それを再現できる仕組みをつくること。
これは実際にそれに成功することで初めて自分のものにできる
ものなのだと思います。
そして、その能力は本当に希少で、多くの企業の中にも創業者くらいしかいないのではないでしょうか。

4.お金を回すということは感謝を回すこと

ところで、「お金」ってなんでしょうか。
正確に答えようとすればいくらでも難しくなりそうな問いですけども、僕が自分のこどもたちに「お金って何?お父さん?」って聞かれたときにこう答えようと用意している言葉があります。

お金ってのはね、感謝のしるしなんだよ。君が誰かにすごく良いことをしてあげるとするだろ?それに対して相手の人が本当に感謝したら、なにかお返しをしたいと思うはず。その感謝の思いが返ってくる仕組み、それがお金というものなんだよ」

自分のこどもたちに僕はそう伝えたいのです。

自分で商売をつくるということは、人間の行動原理と向き合い、感謝の流れを生むべく格闘すること。

商売をする中で、仮説を作り、トライ&エラーを繰り返し、気づきを蓄積し、やがてマネタイズエンジンが見いだされ、結果、事業となっていく。そして、その事業によって発生するお金がどんどん回っていく中で、様々な人々の多くの感謝の気持ちにも触れていく。

もし、今、ビジョンをもっていないのであれば、まずはそんな機会を自分でつくってみてはどうでしょうか。

もしビジョンなくはじめた事業であったとしても、様々な努力を積み上げ、知恵を絞る中で多くの学びが蓄積されるでしょうし、その結果として事業が成功すれば、普通に生活していたら絶対に触れることができないほど多くの感謝の思いに触れることができるでしょう。

そうした体験を通じて、事業をつくるというレアなスキルを獲得できるだけでなく、自分とはどういう人間かー何に喜びを見出し、何を恐れ、何に苦痛を感じるのかーを深く理解できるでしょうし、また、人間とはどういう存在なのか、自分が社会に対してどういう貢献をしていきたいか、社会にどうあってほしいのかといったことにも答えが見いだせるかもしれません。

そう、その答えとはつまりビジョンそのものです。

世の中には起業を目標にしている人がいるという話を聞いたことがあります。そしてそういう方は得てして起業準備に時間をかけて行動するまでの腰が重い、起業家ではなく「起業準備家」というべき人だそうです。(実際にはそういう人に僕はあったことがないので大げさに言われているだけかもしれません。)

起業することが目的になったり、ビジョンを見つけることを目的に時間を過ごすのもよい(実際、それが必要なこともあると思います)ですが、まず行動と思考を通じて社会に貢献することを実践してみてもよいのではないでしょうか。

僕自身、まだまだ経営者としてもひよっこで至らぬところ、学ばなければいけないことだらけだし、これからどうなるかも全然わかりませんが、それでも起業してから今まで一度も一ミリも後悔したことはないですし、面白さしか感じていません。

「レモネードを売ってみたら」というのはいささか極端ですが、まず自分にできそうなこと、やれそうなこと、それでいて社会に必要そうなことから、アクションしてみられてはどうでしょうか?

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最後までお読みいただきありがとうございます。
僕が経営する会社、フィラメントのサイトもちょっと面白いと思うので、よかったらのぞいてみてください。

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