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【2倍会津】ARDKを使って会津をARで大都会にしてみた(Lightship ARDK+Unity)

会津をARで大都会にしてみた

はじめまして、株式会社デザイニウムインターンのasaginu(@four_a_two_i)と申します。

突然ですが大都会、憧れますよね。私の住んでいる会津若松市は、福島県西部の山間に位置する、人口11万人強の中規模な都市です。さほど不自由しない生活と、きれいな空気にのどかな自然。豊かな観光資源にも恵まれた歴史ある会津若松市ですが、大都会と決定的に違う部分があります。建物が低いのです。

会津には高い建物はまずありません。ニトリもTSUTAUAも平屋です。ひらけた空がきれいです。というわけで、会津の建物を2倍に高くすることにしました。(ARで)

作ったもの

2倍にしてやりました。これで会津の都会レベルが3段くらい上がったことでしょう。選定した特定のスポットで3Dモデルを用意し、ボタンをタップするとアニメーションが起動するようにしています。地道な会津2倍化計画の第一歩となりました。

制作手順

使用ツール・開発環境

  • ARDK2.4.1

  • Unity2021.3.16f1

  • Android12

ARDKセットアップ

AR開発にはNiantic社のLightship ARDKを使用しました。
VPSはLightship VPSを使用しています。
💡 ビルドに際し、公式のARDKの開発要件とランタイム要件の書き方ではAndroid11以前のバージョンでも動かせそうですが、ビルドが失敗するのでAndroid APIレベル31(Android 12)で開発した方が良いです。
また、ビルド後実機で起動すると自分の環境ではGoogle Play開発者サービス(AR)の更新を求められました。Understanding ARDK Android Dependenciesを試したら解消しました。

使用スポット


2倍になる前の写真
空が広い

位置合わせのためのプライベートのWayspotとして、画像の手前にあるポストと、円形のモニュメントを設定。その前方にある建物のモデルを作成しています。
💡 Wayspotとは、Niantic社が運営するゲーム内などで使用される、地域の目印となるような場所や建物のこと。

建物の3Dモデル作成

会津の建物が高さ2倍になる世界を作る手法として、既存の建物の3Dモデルを実際の建物に被せて、そのモデルを変形させることにしました。もしPLATEAU(国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデル)が会津にも対応していたらあまり苦労せずに済んだかもしれませんが、残念ながら対応していませんでした。どうにか自分で準備することにします。

今回作成する必要がある3Dモデルは実寸大の建物。手持ちのiPadに付属したLiDAR(対象物との距離を測る技術)を使うのは難しそうです。また3DキャプチャツールのLumaAI(NeRF)の活用も検討しましたが、3Dモデルに書き出す際に建物が背景としてクリップされて書き出せなかったり、テクスチャが欠けたりしてしまいました。

そこで今回はVPSのローカライズ地点から建物を写真撮影し、それをテクスチャとした簡易的な3Dモデルを作成しました。
詳しいやり方は次の記事を参考にしてください。
https://horohorori.com/blender-note/modifiers/modify/about-uv-project-modifier/

テクスチャにする画像


Blenderで制作したモデル

正確な形状にはできないものの、おおまかな再現ができました。


位置を調整

画像だけで建物のサイズや位置を正確に再現することは難しいため、Unity Editorでの配置にはMapbox等のマップを利用して、位置調整を行ないました。
結果として、冒頭の動画を見ていただければ分かる通り、形状や位置を正確に再現することは難しかったです。一方で、一定の視点から見た場合には、視覚的な違和感は少ない結果となりました。

アプリ制作の様子

アプリをUnity Editor上でテストした様子です。Unity Editorだけでもローカライズ後のテストができます。

2倍化しました

ローカライズ後、建物が3Dモデルに置き換わり、2倍化が可能になります。
ついでにビルが生えています。より都会的ですね。
建物を見上げるあの感覚を会津で感じられたことで、都会度が増したことを実感しました。

改善点など

  • オクルージョンは現実の建物と競合してちらつく場合があり、すべて切ることにしました。距離などをうまく使って処理できると良さそうです。

  • 建築物の3Dモデルについて、できる範囲でもう少しマシな方法を探しています。差し当たってはNeRF技術あたりを探ろうと思います。いつか会津のあらゆる建物のデータが手に入って市内総2倍化計画が実現できることを願っています。

  • ARDKの仕様上、ローカライズに使えるスポットは「Wayspotとして登録されていて」かつ「VPSに使うための十分な量のスキャンが行われている場所」に限定されます。今回制作したアプリではすべてプライベートで撮影したロケーションを使用しているので、アプリとしての公開はできません。公開する場合には使う場所を精査する必要がありそうです。

まとめ

初めてARDK/Lightship VPSを使用してアプリを作成しました。街中に無数にあるWayspotを利用した大規模なARコンテンツを制作することで、よりLightship VPSのポテンシャルを引き出せるのではないかと感じました。
これからAR開発を始める方のヒントや、地方でのAR事例として、この記事を参考にしていただけたら幸いです。

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