🌷ゼロ年代インターネットの思い出　2

前回（1. HTMLの魔法）

（画像はこの記事からお借りしました）

2.　釘とトンカチの活用法

小6になったわたしは、夜な夜なインターネットをはだしで駆けまわり、いろんな怪我をしながらたくさんのウェブサイトを知った。

◇

（このときはたしかFlashが流行っていた。2ちゃんねるのAAの、流石兄弟がただダベってるだけのやつが好きだった。
Shockwaveってサイトでは、ジップベアのドンジャラと、或る旅人の日記という、つみきのいえの人のアニメーションが好きだった。そこにzoo keeperとかスーパーミルクちゃんもあった気がする。いまはもう閉鎖してしまっている。あんなに夢のようにたくさんあったゲーム達はどこへ行ったんだろう。
シロートのもプロのも、マイナーなのもメジャーなのもないまぜに、同じ世界にあるんだっていうのが新鮮だった。
わたしのインディーゲーム好きのルーツはここと、シフトアップネットにあるのかもしれない。ゲーム界隈の話もまた書きたいな。）

◇

初めてやったSNSは、ぱどタウンだった。

ユーザーはバーチャルな町に住んで自分の部屋を持ち、いろんな暇人の部屋をたずねて交流する。
とはいえ、それはまだホームページとは別物で、チャットルームの延長みたいなものとして見ていた。

記事の画像はぱどタウンの部屋のようす。これはほぼ開始時の状態で、家具とかいろんなものを置けた。部屋のほかに個人のページもあって、掲示板や日記のデザインを自由に変えることができた。

特筆すべきは、HTMLタグを使うことができたということだ。

自分のページに個性をだすために、みんなきそってカワイイタグを使う。

わたしはそれをきっかけにして、タグ屋さんの存在を知った。

タグ屋さん！

そこでは、心やさしい魔法使いたちが、作った魔法を無料でおすそ分けしてくれるのだ。

びっくりした。

コピペってスゴイ！

なにも、イチから創り上げることなんてなかったんだ！

タグ屋さんの角材を、コピペという釘とトンカチで組み立てればいいだけの話。

誰かのつくった魔法を材料として使えるようになって、わたしは魔法使いから大工になった。

◇

（もじたぐというサイトだったか？自動でタグ生成してくれるサイトもよく利用した。
その頃は6〜8ptくらいの小さい文字がはやっていて、薄い灰色の文字にピンクの影をつけたりしていた。dimgrayとかdeeppinkとかヘビロテしてたな…。
世界にはたくさんの色があるって知って、色が好きになったのもインターネット経由だ。
いま思えばコスメオタの芽はここから育っていたんだね…）

◇

タグ屋さんがあれば、テンプレート屋さんも当然あらわれる。

タグ屋さんよりもずっと画期的だった。

ウェブページそのものを配布していたからである。

わたしが角材をつぎはぎして作った、愛着のある小さな家は、とたんにすげえダサくてちゃちな小屋に見えるようになった。

プロの大工さんがつくった豪華で頑丈な家を、「これからすきに使っていいんだよ」と言われているのとおんなじだったから。

わたしは日曜大工になって、よりよい部屋を選ぶことと、家具の配置に熱中した。

中1くらいのときには、かなり充実したテンプレート屋さんがたくさんできていて、「イチから手打ちでつくりました」的ホームページなんて時代おくれだった。

そのころにはもう、おじいちゃんから教わって、夢中になって覚えたはずの呪文は、すっかり使わなくなっていた。

（つづく）

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