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15キロの減量は意外とイケる

ダイエットを始めて1年半で約15キロ痩せた。

目的意識を持って積極的にダイエットに取り組むのは初めてだったが、美容目的ではなく「適正な体重」を目指す減量は思っていたほど難しくないということがわかった。

気を付けたのは主にPFCバランスのみで、きつい運動や食事制限、ダイエットサプリは試していない。だが、実感として「適正体重を超過した分」はこれだけで落ちる。

逆に適正体重を下回って更に痩せようとするなら食事だけではまず健康には痩せられない。私の目的はあくまで健康維持だったので、標準的な体重まで戻ってきた時点でひとまずの目的は達成しているといえるだろう。

今後リバウンドしないために、今の生活が身に付くまでに考えたことや実践したことを書き残しておこうと思う。


きっかけ


2年前の健康診断でBMIが「肥満(1度)」の範囲に突入し、医師との面談で今日からでも減量を始めるよう強く勧められた。体重はその1年前からずっと増加していて、そのときは特に生活を改めたりしなかったのだが、その年は医師が怖い顔をしていたのでさすがに危機感を覚えた。

近年体重が増加の一途を辿っていた原因には心当たりがある。転職だ。

今も昔も職種は変わらずデスクワークだが、前職では往復1時間程度の距離を毎日徒歩で歩き回っていた。しかし、転職を機に車の免許を取得してからというもの、移動はほとんど車になって歩くことさえなくなってしまった。

出不精で休日は家に籠もりがち、食べるのが大好きな人間が、漫然と食う寝るを繰り返していて太らないはずがない。

毎日自分の姿を見ていると気づきにくいものの、意識してみると確かに昔買った服は軒並み合わなくなり、横になったときには寝返りを打つたび背中の肉が分厚いクッションのようになっている感覚があった。

痩せるかぁ。

自分が生きているうちは少しだって痛みも苦しみも感じたくない。指先を紙で切っただけでもなぜこんな目に遭わなければならないのかと絶望的な気持ちになるのに、病気になったらもっと最悪だ。このままの生活を続けていれば間違いなく健康ではいられない。

この世の痛みと苦しみを少しでも遠ざけるため、翌年の健康診断ですべての数値を正常な範囲内に収めることを目指すことにした。

方針を決める


ダイエットと言うと真っ先に「とにかく食べない」「たくさん運動」が思い浮かぶが、それができれば太ってない。1年後の健康診断を目標にしていることもあり、劇的な効果はなくとも簡単で続けやすい方法が望ましかった。

そもそも適正体重を超えてしまうのは一日に必要とする以上のカロリーを摂り続けて余剰が積み重なっているからだ。今の自分に必要な範囲に収めればこれまで余分に摂っていたカロリーは丸々カットされる。一日一食だけとかもやしだけとか、そこまで極端に減らさなくても、「普通の量」を食べているだけで充分減らしていることになるし、体重も自然と適正に戻っていくはず。そう考えるといくらか気楽に取り組めるような気がしてきた。

そこでまずダイエットアプリを導入し、今現在の食生活でどれくらいの余剰カロリーが発生しているのか現実を見ることにした。

正直に一日の食事内容を入力すると、厳しい採点結果と共に何がそんなに悪いのかがグラフで可視化される。私の場合はカロリー過多に加え、脂質と飽和脂肪酸のゲージが大きく振り切れていた。手をつけるならここだ。

エネルギーを構成するたんぱく質、脂質、炭水化物のうち、脂質は1gあたりのカロリーが他の栄養素の約2倍あるらしい。単純に考えると脂質が主体の食事は倍速で太るということだ。それほど量を食べているわけではないのに体重が増え続けていることにこのとき初めて納得がいった。

やったこと


運動量はあまり意識しない

今日から運動しよう!と思ってできていれば苦労しない。志を高く持ってあれもこれもやろうとすれば挫折するのは目に見えているので、まずは食生活の改善のみに集中することにした。そのため、運動量の記録はiPhoneのヘルスケアと連動させ、歩数のみ自動で登録するようにした。

高得点を目指そうとしない

ダイエットアプリ「あすけん」では一日に推奨される運動量を満たすとそれだけでぐっと得点が上がる。逆に運動を意識しなければ摂取カロリーがちょうどよくても70点前後が限界のように感じた。

複数の栄養素をバランスよく摂ることでも点数は上がるが、そのためにはどの食材にどれくらいの栄養素が含まれているかを知り、それらをうまく組み合わせた献立を毎日考えなくてはいけない。これもまた心理的ハードルが高い。

そこで、PFCバランスにだけ気を付けることとし、得点は40~50点程度でよいという基準を自分の中に設けた。これはPFCのいずれかが多少超過しても極端な偏りがなければ充分取れる点数だ。その他の足りない栄養素はサプリメントで補えばいい。サプリメントは加点の対象外だが、現実として栄養は補えるし、得点に振り回されて挫折してしまうことの方が避けたかった。

PFCバランスを適正範囲内に収める

PFCバランスが適正な範囲内であれば一日に必要なカロリーも過不足なく摂れているということになる。

私の食生活は脂質が多い傾向にあったので、脂質の多いメニューの代わりにたんぱく質と炭水化物の割合を増やして「食べ足りなさ」をカバーした。グラム単位で同じだけ食べてもカロリーは脂質の約半分。つらくない!

あすけんでは身長と体重、目標体重を入力すると、今の体重から見た適切な目標カロリーを随時計算してくれる。私は減量方法を「食事中心」、ペースを「すごくがんばる」に設定していた。食事中心でも一定程度は運動による消費が織り込まれているため、運動を意識しないぶん摂取カロリーはやや厳しめにしたほうがいいだろうという判断だ。実際、摂取カロリーだけ守っていても体重の落ちるペースは「がんばる」並みだったので、運動量が少ないならこれがちょうどいいように思う。

無理のない範囲で食材を置き換える

しっかりめに食べても痩せられるんだ、という事実はモチベーションにかなり大きな影響を与えた。そうすると今度は「おいしいものをしっかり食べつつ、如何に設定された範囲内にカロリーを収めるか」を考えはじめる。

特に効果があったのは食材の置き換えだ。私の場合はロースカツをヒレカツに、豚バラを豚ももに、牛豚ひき肉を鶏ひき肉にした。

脂質の多い食材はそれだけジューシーで旨みがあるということなので、置き換えによってやや淡白になってしまうのは否めないが、「具材としてちょっとお肉も入れたい」くらいの場面ならほとんど満足感を損なわない。

とんかつ、豚汁、肉じゃが、ピーマンの肉詰め……。ダイエット中にそんなもの食べていいのかと思うようなものでも食べられるので、これらのメニューを一切断つよりも我慢している感がないところが良かった。

やらなかったこと


「食べない」は避ける

元々「一日一食」など食べるのが好きな人間には向かない方法を試すつもりはなかったが、ちょうど去年の今頃、酷い風邪を引いてせっかくの盆休みを丸々潰してしまったことがあった。食欲が湧かず、その間に口にしたものといえば栄養ドリンクかゼリーくらい。体重は1週間で2キロ近く落ちた。

大変だったのはそれからだ。落ちた体重は食事がとれるようになってすぐ元に戻ったが、それから約2ヶ月、これまで順調に落ちていた体重にまったく変化が見られなくなった。おそらく急激に体重が落ちたことで体が省エネモードに切り替わり、痩せにくい状態になっていたのだと思う。

ここで更に摂取カロリーを減らすのは悪手な気がしたので、めげずに今まで通りのやり方を続けたところ、10月頃から再び体重が落ち始めた。私はこの経験を経て「食べないダイエットは瞬間的にはいいが、実のところまったく意味がない」ということを強く実感したのだった。

ダイエット向けレシピの活用

これさえ食べていれば痩せる!といわれるダイエットレシピはたくさんあるが、これも食べるのが好きな人間には向いていないと思う。

高タンパク・低カロリーで手に入りやすい食材は定番がある程度決まっているし、同じもの・似たようなものを毎日繰り返し食べるのはつらい。元々大好物で毎日でも食べられるという話ならまったく問題ないのだが、「痩せたいから食べる」という義務感が伴うと途端に心がささくれてくる。

そのため、おいしそうだから作ってみる・食べてみることはあっても、ダイエット食ばかりを選んで食べることはしなかった。量と組み合わせにさえ気を付ければ毎食好きなものを食べてもいい、くらいのほうが長く続けられる気がする。少なくとも私はそうだった。

今後の目標


現在、BMIはダイエット開始時の27.3から21.2まで下がった。

体重は適正体重を2キロほど下回ったところで安定しており、直近の健康診断でもすべての検査項目が正常値の範囲内に収まっている。

右肩下がりの体重グラフ。時間はかかるが確実

ただ、摂取カロリーのコントロールによる減量は体脂肪率の面では効果が弱い。同じ体重でも運動して減量した人に比べると見た目の印象が全然違うと思われる。

体重の減少ペースは適正体重を下回った辺りからかなり鈍化しており、食事だけでこれ以上見た目を変えようとするなら食事制限の域に踏み込まなくてはいけないだろう。

食生活の改善が無理なく定着した今、次は軽い運動の習慣を身につけたいと考えている。ここまで来たら見た目もすっきりしたい。

手始めにこの盆休みは毎日ラジオ体操をしているが、どれほど効果があるのかは未知数だ。

良い変化があれば経過をまた記録しようと思う。