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 *必読* 肩関節周囲炎(五十肩)のリハビリ 5 STEP

はじめに

この記事は、肩関節周囲炎の患者を初めて見る方でも、明日からすぐに治療ができるように構成しています。肩特有の専門的な難しい話は置いておいて、具体的にどういう手順で評価・治療をしていったら良いかという一連の流れを記載させて頂いています。「肩の経験者の実際の考え方が知りたい」「明日、急に肩関節周囲炎の新患が入った」「明日急に肩関節周囲炎の代行が入った」「実習の担当症例が肩関節周囲炎になった・・・」「症例検討が肩関節周囲炎の患者さんになった」など、これを読めば対応できるように5つのポイントをふまえて構成しました。

5ステップは以下の通りになっています。

肩関節周囲炎のリハビリ 5 STEP
STEP1 :  炎症期か拘縮期かを判断しろ!
STEP2:炎症の早期鎮静と拘縮の予防を図れ!(炎症期リハ)
STEP3:挙上と結帯は別物と考えろ!(拘縮期リハ)
STEP4:インピンジしているかどうかを判断しろ!(拘縮期リハ)
STEP5:拘縮はこうやってとれ!(拘縮期リハ)

肩関節周囲炎は肩疾患の中では代表的で、一番多い疾患ではないかと思います。臨床上においてもであう機会が多いと思います。一方でリハビリにおいては、なかなか一筋縄には行きません。ちゃんと出来ないといつまでも治らないという、人によって治療成績が左右されるところでもあります。世間ではよく「自然に治る」と言います。あながち間違いではなく、治る人は治ります(ただ1~2年ほどかかります。)。しかし、半分程度の方は重症化しこの自然治癒の流れに乗れなくなります。また、痛みだけ取れて拘縮が残ったままになる方も多くいます。拘縮が残っているということは、インピンジメントしやすい可能性がありますから、腱板断裂しやすかったりとか肩の様々トラブルの元になります。したがって、しっかりリハビリをすることが重要であると言えます。

是非、読んでいただければ皆様の臨床の一助になるのではないかと思います。

ご購入ありがとうございます。それでは早速、肩関節周囲炎のリハビリについて語らせていただきたいと思います。

STEP1: 炎症期か拘縮期かを判断しろ!

肩関節周囲炎は3つ病期があります。炎症期、拘縮期、解凍期です。
そしてどの病期であるかによって「アプローチ方法が全く変わる」ことになります。だからこれを把握しないと話が進みません。なんとなく病期があるとわかっていてもそれを見分けるのが難しい時も多くあります。まずはそれぞれの病期の見分け方を記載します。難しそう・・・そんなことはありません簡単です。「痛みの質」だけで概ね判断が可能だからです。

炎症期は必ず「安静時痛」があります。つまり、こう質問してください。
PT「何もしてなくても痛みますか?」
患者「はい、痛いです」
炎症期はだいたい皆さま即答です。
「うずく」「針が指すような痛み」
これも炎症期の決まり文句です

拘縮期は安静時痛はほぼありません。
決まり文句は「動かさなかったら大丈夫です。でも服の着替えとか手をのばしたら痛いですね」これほんと多いです。

あとは余談ですが、座って問診してるときに眉毛を潜めてる人はだいたい炎症期ですね(笑)

あとは雑談してる時に聞いてるようで聞いてない人は炎症期に多いですね。話どころじゃないんです(笑) 「はやくどうにかしてくれ」って表情してます。

こんな感じでまずは安静時痛があるかないかで時期を判断しましょう。

一応図でまとめてみました。

夜間痛も判断基準になりますが、拘縮期にも生じるのであまり参考になりません。論文的には証明されていませんが、私の臨床的な感覚としては炎症期は「痛くて寝付くこともできない。」ことが多いです。またポジショニングなどをしても効果が乏しいです。「夜中寝返りで起きます」や「朝方痛みます」は拘縮期に多いです。

忘れてました、解凍期を。

結構きつめのストレッチをかけても、「動かしたら気持ちいいです。」とか「ストレッチしたら気持ちいい」とか言われます。発症から一年くらい立ってる人に多いですね。少しリハでは出会いにくいです。

ややこしいのはある日突然炎症期から拘縮期になるのではなく、両方が入り交じっている移行期があることです。この時期は炎症期と拘縮期の発言が入り交じるんです。

患者「日によって、違うんです」とかいわれることもあります。はっきりしてくれ!ってなりますよね・・・迷ったときは炎症期でいいです!。悪化させない。それが治療の第1原則ですから。それでは次のステップへ行きましょう

STEP2: 炎症の早期鎮静と拘縮の予防を図れ!(炎症期リハ)

STEP1で患者の病態が炎症期が拘縮期かに分類ができました。初めにお話ししましたが、炎症期と拘縮期ではリハビリの内容が全く変わってきます。炎症期の場合いかにスムーズに拘縮期に移行させるかが非常に重要なポイントなります。患者「五十肩は動かしたら勝手に治るって聞きいたので、動かしています。」と言われる患者さんも多いですが、これは拘縮期の話しで炎症期は動かしたらどんどん炎症が加速していきます。ドクターによっては拘縮期に移行した段階でリハのオーダーを出される場合もありますが、炎症期の段階で処方が出た場合はPTの腕の見せ所の1つです。

炎症期に出来ることはタイトル通り「炎症の早期鎮静と拘縮の予防です」。これがしっかり出来る人ほど患者さんを早く良くできます!

肩関節周囲炎で一番時間がかかるのは拘縮期の治療なんです。なぜなら固いもんをやらかくしないといけないからです。

わかりやすいように「お餅」で例えてみましょう。
炎症期はエンショウ君がせっせとまだ温かくて柔らかいお餅をどこからともなく集めてきます。そしてそれを肩関節の回りにどんどんおいていきます。そして、お餅を集めるという仕事を終えるとどこかに去ってしまいます。そんな頃にはお餅も冷えて固くなり、肩関節にへばりついてしまいます。

この残ったお餅がややこしいんです。つまり、これが「拘縮」でありこのようにして拘縮期に移行していきます。

さて、では炎症期に私たちは何ができるでしょうか?
ポイントは2つです。

1.エンショウ君のエネルギー源をたって、活動を押さえること =  炎症抑制
2.エンショウ君に気づかれないように、こっそりまだ柔らかいお餅をとっていくこと = 拘縮除去

1つずつ具体的に話していきます。

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