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「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」を読んで(読書感想文#54)

子育ての本って、本当に色々なものがありますよね。何が本当なのか分からなくて混乱してしまうから、私は逆に読まないようにしてきたように思います。

この本は、PCIT(Parent Child Interaction Therapy:親子相互交流療法)の理論に基づいた、精神科医の方の本です。なにかと理論を知った上で取り入れたいタイプの私には、とても面白い本でした。

▼1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て/加茂登志子著

PCITとは?

プレイセラピーとペアレント・トレーニング(行動療法がベース)の組み合わせが中心となった療法です。

アタッチメント理論(ボウルビィ)、行動科学(スキナー)、社会的学習理論(バンデューラ)が基礎になっています。

アタッチメントの話はやっぱり興味深い部分で、いくつか本を読んできましたし、スキナーやバンデューラの理論も有名なので、なじみやすく感じました。

ECBI簡易テストというチェックリストが掲載されています。「やんちゃ度」と「困った度」が分かります。PCITは問題行動がある子どもに特におすすめの療法ではあります。でもそれ以外の家庭でも、信頼関係の形成の観点で取り入れる価値があると思います。

1日5分子どもとの特別な時間をつくる

PCITでは、CDIといって「子ども主導で遊ぶ」時間を5分取ります。
その中では、親は命令など「してはいけないこと(Don’t)」、「すること(Do)」があり、これが十分できるまで最低3週間は練習します。

ある程度できるようになれば、PDIという「親が命令し子が従う練習をする」フェーズに入ります。

●Don’t
①命令しない(提案もしない)
 →〇〇した方がいいんじゃないなどの間接的な命令もしない。
②質問しない(会話のリードをとらない)
 →否定が含まれることも多いため。
③批判しない(親の意見を言わない)
 →自尊心を下げる。否定するだけで、正しい行動が分からない。

●Do
①賞賛する(具体的にほめる)
②繰り返す(伝え返し)
③真似をする(行動でついていく)
④行動を実況する(親の注目を集めている喜びになる)
⑤楽しむ(笑顔、明るい声、アイコンタクト、ボディタッチ)

●命令のルール
①直接的に命令形で(〇〇してください)
②肯定形で(〇〇してはいけません、は批判)
③1回に1つずつ(〇〇して、次に△△してと続けて言わず分ける)
④具体的に(お行儀よく、ではなく、椅子に座ってください など)
⑤命令の前後に説明をいれる(〇〇するので、これをしてください)
その他にもいくつか記載がありました。

「親が命令し、子が従う」この言葉自体がちょっと怖かった。

多分、自分が被支配側だったために、子を主導するのが怖かったのだと思います。
でも、それでは「放任」のスタイルであり、適切に主導することは「エンパワメント」で「支配」とは違う。この辺をしっかり整理して、子に関わっていかないといけないなと強く思いました。

それと、子が癇癪を起こしたときなどに、愛着や神経系の話から考えれば、一旦落ち着くまで抱きしめたりしなくてはいけないと頭では考えるけれど、なかなか難しいなと思ったことがありました。
でもこの本では、行動強化の観点で負の行動は「無視」、いい行いは「正の強化をかける」ということが述べられていました。シンプルだなぁ。それでいいんだ、と驚きました。

私はエッセンスを日常に取り入れていく

PCITは1日5分なんだけれど、真剣にやると結構大変だとは思います。その分、「子どもが言うことを聞かない」など困り感が強いご家庭などでは、効果があると思うのでおすすめです。

専門機関に行けない場合も、この本を5回くらい読んで、毎日実施→振り返りすれば行動変化は起きると思います。専門家に一度介入してもらって練習した方が、楽にできそうだけれど。本でも方法自体は分かりやすく説明されているので、自力でも大丈夫そうです。

私は普段これを全部しっかりやるのはちょっと難しいけれど、要所で意識していけば確実に行動が変わると思うので、そんな風に取り入れてみたいと思います。「おわりに」にあった、PDICSという方法も気になるのと、逐語みたいにして検証するコーディングの手法というのが自分が好きそうなお話だったので、また調べてみたいです。

ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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