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65歳以降 自己統合と絶望

要約

人がもつ防衛反応について言及しています。我々の生存を確保するためには必要な反応ではありますが、行き過ぎてしまうと精神的に不健康な状態になってしまうとも言われています。

この65歳以降の時期になると、記憶力が衰えてきたり、身体が衰えてきたりします。しかし、新しいスキルはこの時期でも身に付けることができます。

年齢的なこともあり、友人などがいなくなっていってしまうこともあります。ですが、新しいコミュニティーに参加するなどして、人と人とのネットワークを広げる事も健康的な精神を維持するためには必要になります。

内容

ここでは、6つの主要な発達理論を紹介し、それぞれの特徴や主張、人が社会で生活する中で、どんな影響を受けて育つのかを伝えてゆきます。今回はそれぞれの理論の各論、付随する理論などを紹介します。さらに、それら理論から考えられうる、人が健康的に成長するために必要なことを考察しながら、具体的な例を挙げてゆきたいと思います。

理論だけ言われても、"で、どうすればいいの?"というのが私自身も経験してきたことですので、できるだけ応用がきくように書ければと思っています。

思い

この時期になると、学びを止めてしまう人が多いかもしれません。しかし、新しい知識やスキルはいくつになっても身に付けることができます。また、それらを通して脳が衰えることのスピードを減らすことができるとも言われています。自分が培った知識やスキルを応用し、新しいコミュニティーで仲間を作ることも大切になるのではないでしょうか。

フロイトという人の発達理論(心理性的発達理論)より

これまでフロイトは人の発達は5つのステージに分ける事ができ、その各段階で人間として、身体の特定の敏感な箇所が満たされるかどうかで、その個人の以後の行動、性格が形づくられることについて話してきました。

今回は、防衛反応について話していきたいと思います。防衛反応とは、自分に取り込みたくない思考や感情に対して抱く不安から逃れ、自分の身を守るための、人間の無意識に生じる心理的対策です。

つまり自分の脅威となるものから身を守るためのものです。これは誰もが持っていて、自然なものです。

しかし、均衡が崩れ、極度にこの反応が起きると、恐怖症やヒステリーを引き起こす可能性があります。

何個か防衛反応を紹介します。


拒否: 現実を受け入れることを拒否し、自分の外部で起きる事象を意識下に取り込むことをやめます。

自分では扱いきれないと感じた時、その事象を知覚することを放棄したり、存在してないものとしてみなします。

例えば、仕事での明らかな準備不足を認めたくないので、そのこと自体をないものとして捉えます。


抑圧: 自分の脅威となる思考が顕在化しないように、無意識で抑圧します。

罪悪感などは抑圧の対象になりやすいです。邪魔な考えや記憶を無理矢理抑え込みます。無意識下に抑え込み隠れてはいますが、不安を生じさせることがあります。

時にふと本音がこぼれるような形で、出てくることがあります。

例えば、エディプスコンプレックスの時の、同性の親に対する攻撃性を無意識下に押し込めることがそうです。


投影: 考えたくないこと、感じたくないこと、持ちたくないモチベーションが生じると、それを他人のせいにします。

攻撃的な自分、自分がもつ性的妄想は投影の対象になりやすいです。

例えば、誰かを嫌いになった時に、人を嫌いになるのは良くない、だから相手が自分のことを嫌いなんだと信じ込むこと。

この例では葛藤が入って、少し複雑なプロセスを自分の内部で行なっています。

相手に投影し、相手のせいにしてたことに気づき、自分が苦しくなった例です。


置き換え: 衝動、多くは攻撃性を力の無い人、もしくはものに対して向けることです。

本能がしたいと言っていても、社会がそれを許さない時に、代替として弱い人、ものにそのエネルギーを向けます。

例えば、会社で上司に対してフラストレーションが溜まり、しかし直接上司に言えない時、家に帰ってから飼い犬を暴力をふるったり、家族に暴力をふるったりすることがあります。


退行: 過去の自分が心理的に安全と感じていた時間に退避することです。

トラブルに直面している時、自身に脅威を感じているときに、私達の行動は子供っぽくなったり、幼稚になったりします。

例えば、会社のプレゼンの時に、自分が子供の時にケラケラ笑っていた時に退行し、コントロールできないほどに子供っぽく笑ってしまうことがあります。


昇華: 置き換えと近いものですが、昇華は不快な感情を建設的、または社会的に認められた方法で晴らすことです。

例えば、アートや音楽制作などです。また、スポーツもそうで、攻撃性などを格闘技などをすることで解消します。


正当化: 直面している脅威的な事実を歪めて認知することで、その状態から逃れることです。私達は無意識下ではなく、薄ら意識下で言い訳をします。これも正当化です。強引に論理的な理由づけをすることもそうです。

例えば、自分が精神的に崩れているときに、悪いのは自分以外の他人のせいなどとします。向き合うことが脅威なので、そうします。


反動形成: 拒否を通り越して、自分が抱いている感情とは逆の行動をとります。

社会的に認められていない感情や考えを、衝動的で、目立つ形の誇張された行動することで埋め合わせをしようとします。

例えば、同性愛者の人は、あえて同性愛を否定したり、非難したりするかもしれません。自分は異性愛者と思い込ませるためです。


攻撃者との同一性: 自分よりも力があり、攻撃的な人に合わせ、適合させようとすること。

自分よりも力がある人に合わせることで、自分がいじめられることを避ける。

例えば、学校で悪いことをする人しかいなかった場合、自分をその人達と同一化し、同じように悪いことをすることで近い脅威から逃れる。

最後の攻撃者との同一性についてですが、小さい頃にいじめを経験してきた人は、将来的に自分がだれか他人を傷つけるなどの攻撃的な衝動、行動を引き起こす可能性があると言われてもいます。

過去に自分をいじめた人を同一化してしまう現象が起こりうるのです。

で、どうすればいいの?

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