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開業するまで② 再投稿とあとがき

昨日の続き。

3.7坪の物件を始めて見た時は衝撃でした。

まず、1階と聞いていたのですが、行ってみると半地下で。

想像を超える狭さと圧迫感。

窓はあるけど入らない光。

低い天井に凸凹の床。

この状態で店舗物件としてよく貸し出してるな。

そりゃ不動産会社の人もオススメしてこないわ。

こんなネガティブな印象しかありませんでした。

でも、ここしか物件がないので、腹をくくるしかありません。

この悪条件でどうするかを話し合い、出来上がったのが今のお店で、以下がコンセプト。


3.7坪の小さな複合型コンセプトストア「 INN(イン)」
狭小空間にインダストリアルなU字カウンターのみを設け、都市の普遍性を追求する2つの “ パーマネント・ストア(=常設店)” と様々なジャンルのポップアップ・リテールを迎え、都市の創発性を生む “ プロジェクト・ストア(=企画店)” を展開。
奥渋谷からインディペンデントな面白さを発信します。


これは全て甲斐が考えました。

ちなみに店舗設計も。

一方僕は、業務用機器の発注、営業許可の申請など、カフェラテスタンドを運営する為に必要な事をしていました。

この時に思ったのはインターネットの偉大さで。

検索すれば欲しい情報が手に入り、必要な物が足を運ばなくても手に入る。

この時の経験があるせいで、何でも聞いてくる人が苦手になったのです。

自分で調べろ。

物件の契約、内装の見積もり、機材の発注、これら全てが終わった時、お店をオープンする前で一番憂鬱になりました。

なぜかと言うと、かかる費用の全容が見えたからです。

この経験から学べた事は、どんなに想像をしていても、現実を突きつけられると精神的にダメージをくらうという事。

あと、貯金は大事。

続きはまた明日。

〜あとがき〜

今では3.7坪にも慣れ、なんならしっくりきているぐらいです。

人の慣れって凄いものがあるんだな。

この時書いたように、お店としては絶望的な条件でしたが、なんとか9年目まで来れました。

ただ、9年目を迎えても、この条件の悪さは足を引っ張っていて。

「営業してますか?」「席はありますか?」「フードはありますか?」

暗さ、狭さ、分かり難さよ。

あと、この時も書いていたけど、人って調べないんです。

もう、自分の前提を変える事にしました。

お店の前までは来れるけど、半地下に降りてこれない人が毎日いて。

ただ、前提は変えたけど、優しくは出来ないので、一生辿り着けないんだろうなと、お店の中から眺めてたりします。

なんて性格が悪いんだ。

あと、そうだ。

この時にかかった総額。

たかだか3.7坪のお店なのに、こんなにもかかるのかという経験。

いや、トラウマ。

これのせいで、お店を増やすとか、今のお店をやめた後にまた自分でやるという選択肢が無くなりました。

お店にうんびゃくまんえんをかけるなら、インデックスファンドを買う。

そんなつまらない大人になってしまったのです。


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