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明日を考えない
「遅くまで馬鹿騒ぎしてる人を見ると、少しだけ羨ましく思えるんです」
お客さんがそんな事を言っていて。
僕も、その人も、静かな時間を好むんですが、この憧れみたいな感情はなんですかねと。
昔から馬鹿騒ぎをしてこなかった反動なのか。
若さに対する嫉妬なのか。
色々なそれっぽい答えが頭の中で巡ったのですが、多分、正解はこれ。
「明日を考えてない所」
これは確かに憧れる。
羨ましい。
ふざけんな。
ずるいぞ。
俺にもよこせ。
羨望からの憧れ、そして嫉妬からの妬み。
全ての感情を網羅したのです。
今日、いや、今が楽しければいいという考えは、昔から無く。
今はもうそれが出来ないとなると、嫉妬もするか。
過去もしてなければ、これから先も出来ないので。
毎日明日の仕事がある。
これが重しであり、支えでもあり。
仕事だけではなく、体力の喪失、生活リズムの崩れ、それ故の後悔が目に見えているので、もし休みがあったとしても22時には解散するでしょう。
これが大人になるという事で。
感情よりも理性が勝ってしまうのです。
ただ、この生活が物凄い我慢の上で成り立っているのかというと、そんな事も無くて。
羨ましいとは思うけど、割合でいうと二割ぐらい。
残りの八割は今の生活で良かったと思ってます。
馬鹿騒ぎよりも、静かな生活を。
大人数よりも、二人でお話を。
そんな時間の過ごし方が性に合っているので。
ただやっぱり、翌日を気にしなくていいってのは、気が付かなければよかったな。
もうすぐ9年。
毎日翌日を気にする生活は。
いや、いいんだけど。
まだもう少しは頑張れるとは思うけど。
ただ、気が付かなければよかった。
約束のネバーランド
もしくは
トゥルーマン・ショー
知らないほうがよかったのか、知ったほうがよかったのか。
答え合わせは数年後の自分に。
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