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変わり者の父にもらった宝物は、たった14文字のe-mail


3月4日。今日は父の誕生日です。誕生日というものにあまり興味がない(っぽい)父でして、誕生日プレゼントもそういえば長らく渡していません。

今日も例年通りとくに何も渡さずに終わりそうなのですが、改めてnoteを始めた今年は、せっかくなので父をテーマに記事を書いてみようと思います。



「私、よくお父さんみたいな人と結婚したと思うよ」

と母がよく言います。それに対し父は「あんたがよく言うわ」と返します。(2人は仲良しです、ちなみに昨日は2人の真珠婚でした)この母の言葉が表す通り、うちの父は結構な変わり者です。1つ上の兄も、僕も、母に同意です。年を取ったからか、最近はその「変わり者度合い」がちょっとずつ弱くなってきた感がありますが、昔はだいぶ変わっていたように思います。

変わり者な父の(主に過去の)特徴をいくつか書くと...

口癖は「宿題なんかするな」「テストで0点取ったら褒めてあげる」。
お菓子のたぐいを「毒」と呼ぶ(けど自分もたまに食べる)。
ほとんど喋らない日もあれば、めちゃくちゃ喋る日もある。
『ああ言えば、こう言う』の権化。
息子に興味がない(感じを出す)。
「いつ死んでもいい」と言い、たぶん本気でそう思っている。

どうですか、変でしょう。

それと、昔の父は単純にとても怖かった記憶があります。幼少期から青年期にかけて、父と他愛もない会話をした記憶が正直あまりありません。お酒を飲むようになってから親子の会話にもかなり変化があったように思いますが、こないだ兄とお酒を飲んだときも「父さん昔怖かったよな〜」という話で盛り上がりました。ちなみに、そう言う兄も弟からすると怖かったです。

息子歴27年ですが、父という人間を未だにちゃんと理解できている気は、あまりしません。


父の名誉のために尊敬ポイントも書いておくと...

何でも自分でつくる、めちゃ器用。
ずーっと勉強熱心(壁一面、本がズラリ)。
息子たちの友人・知人の面倒見がすごく良い。
超物知り(クイズ番組で父さんに勝ったことない)。
社会のため、人のためを思い、行動し、生きている。

といった感じです。それと、サービス開始と同時に『ホームタップ』を家に置いたり、贔屓にしている山形県の酒蔵さんから毎月日本酒を送ってもらったりなど、自分の嗜好を理解してお酒を楽しんで暮らしている父を見ると、僕の「ビール好き」はDNAにプログラミングされてたやつなんだなぁと思います(母も兄も大酒飲みです)。


基本スタンスは「勝手にしろ」

そんな父は、超がつくほどの放任主義者でした。習い事、部活動、高校受験、大学受験、就職活動、転職など、人生における重大な決断はもちろん、恋愛や交友関係などその他ありとあらゆる意思決定に関して、父から何かアドバイスをもらったり口を出されたことは、一度もありません。そんなこともあってか、こちらから父に相談をするようなことも滅多にありませんでした。たまに相談したとしても、返ってくる言葉は決まって「勝手にしろ」でした。

でも、ただ1つ、「知識や経験」には、いつも惜しみないサポートをしてくれました。おもちゃやゲームの類いは、他のお家とくらべるとあまり買ってくれませんでしたが(他は他、うちはうちですけどね)、小さいころから本だけはいくらでも買い与えてくれました。毎週木曜日は『テレビ禁止の読書Day』というちょっと変わった独自の慣習もあったほど。活字を読んだり文章を書いたりするのが苦じゃないのは、間違いなく父のおかげです。

また、大学4年の年に、留学に行きたい(たくさんお金が使わせてください)と父に伝えたときの第一声は「やっとか」でした。


世界一かっこいい、14文字のメッセージ

(画像は公式HPから拝借)

父の許しをもらって、2014年、僕は父のスネを大かじりして、カナダのアルバータ大学に留学しました。(ちなみに、留学を経て形成された僕の人生指針についてはこちらの記事に書いてます↓)

留学プログラム自体は5月から12月の8ヶ月でしたが、プログラムの半分を過ぎたくらいから、「もっと英語を上達させたい」「カナダで年を越してみたい」「年明け以降も大学でやりたいことがある」などの理由で、カナダでの滞在期間を延ばしたいと思うようになりました。

ですが、上にも書いたようにカナダの滞在費用は父のお金を使わせてもらっています。留学プログラム自体大金がかかっているにも関わらず、滞在期間を伸ばすというのはさすがにやりすぎかな...と思いつつ、2014年10月18日、カナダ時間の13:36(日本時間は翌19日の朝5:36)、「相談事」という件名で父に「プラス2ヶ月カナダに滞在させていただけないでしょうか」という旨の結構な長文メールを送りました。

すると、ものの1時間後には返信の通知が届き、メールを開くとそこに書かれていたのはたったの1文、14文字のメッセージでした。


「納得のいく迄居ればよろしい。」



父の放任的な性格とそこに内包された優しさが、たった14文字にぎゅっと詰め込まれたこのメールが、ありがたくて、かっこよくて、大学の寮で泣きました。

父のおかげで、一生糧にできるほど濃密で学びの多い10ヶ月の留学を経験することができました。



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今でも相変わらず、「父さんって変わった人だなぁ」とよく思います。一方で、「変わっている」という"人の特徴を形容する言葉"に対する自分自身の考え方も大きく変わった気がします。歳を重ねるほどに父の偉大さにも気づくようになりました。変わり者の部分は別として、父のような父親にいつか自分もなりたいとも思います。


新卒のときからあまり僕の仕事に関心を持っている様子はありませんでしたが、「醸造場の立ち上げ」という直近の目標については父も楽しみにしてくれている気がします。自分のつくったビールを父がおいしく飲んでくれる喜びは、さぞ酒の肴になるんだろうなぁ、と今から妄想します。素直に「おいしい」って言ってくれないでしょうけど。

もう少し時間はかかりそうですが、自分のブランドのビールで父と乾杯できる日を楽しみに、明日も修行、頑張ります。


最後の最後で無理やりビールにつなげた感。

おわり。


最後に

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