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読書感想文 「行動分析学入門」

UXデザイナーを目指す上で、人の行動原理を学んでおく必要があると感じ、この本を手に取った。

行動分析学というのは、著者 杉山尚子さん曰く心理学のジャンルの一つとのこと。

人の心理と行動の関係が学べるとあれば、行動分析学を学んでおくのは僕の目標にとってプラスになるだろう。


全部読み終わっての感想だが、行動分析学は非常にクールな学問であった。

人の行動をあくまでも"分析的"に捉えて、理論を展開していくイメージ。

行動の原因に、その人の性格や気性などを入れない点が、冷たくも安定した理論展開となっています。

例えば、次の引用

行動の原因は行動の直後にある。

行動の原因って普通、行動の前にあるんじゃないの?と言いたくなるところだが、行動分析学的にはこういう解釈らしい。

雨が降っている → 傘をさす →  雨に濡れない

この場面でいう、行動=傘をさす である。

傘をさした原因は、行動分析学的には、雨に濡れないため であるとされる。


いままで 原因 → 結果 が普通の流れだと思ってきたけど、それを行動に置き換えると 行動 → 原因 となる。

う〜ん、中々概念理解が難しいですね。

時系列で考えた時に 行動 の前にはトリガーとなるある状況が存在していて、その状態が

・好ましくない
・いまより好ましい状況が想定できる

であるときに行動が起き、結果的に、その行動を起こした原因が現れる。

好ましくない状況 →  行動 → ニュートラルな状況

好ましい状況の想定 →  行動 →  好ましい状況

となる感じでしょうか。


つまり、行動分析学的には、"時系列上前後" と ”原因と結果の関係” は
切り離して考えている。

なぜなのだろう。

ダイエットのストレス →  お菓子を食べる →  幸せな気分になる

お菓子が目の前にある → お菓子を食べる → 幸せな気分になる

おそらく、行動分析学は分析学であるため、実際に現れた事象のみを扱うことで理論保証しているのだと個人的には想定した。

その人がぐうたらな性格、という変数を扱い出した途端、分析学としては発散してしまうことから、その事象だけを捉え、固く積み上げた理論で人の行動を見ていくことで、学問を保っているのだと思う。


行動分析学だけで人の行動を語ることは危険だが、人の行動を分析するために行動分析学は確かな理論になるのではないか、と感じた。


冷たいけど確かな学問、そんな印象を持った心理学、行動分析学。

興味深いです。


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