読書感想文『The First Penguins』
きっかけ
松波晴人さんの著書を読み、すっかり松波さんイズムに共感し、ちょくちょく氏の情報を調べていたところ、大阪大学フォーサイト株式会社なるものを立ち上げたことを知った。
ビジネスマンのための「行動観察入門」(感想文)
「行動観察」の基本(感想文)
その流れで、どうやらこの本の自体がその会社の姿勢を体現しているような雰囲気であることを知って、ポチった記憶がある。
ファーストペンギンというのは、元々知っていたし、メタファーとしても用いられることを知っていた。
それをなぜ、行動観察の専門の方々が?という引っ掛かりが、ひとつ興味深かった。
(それは、松波さんとお話させて頂いて、よくよくわかりました。)
また、現時点ではあまり知られていない事実のように思えるが、この本は物語形式で、絵も多く、装丁も含めて読書体験をデザインされている本である。
気づき
この言葉を理解しようとしていく中で、”確かに!” と思う部分と、”果たして自分はどうだろうか?”、とやや不安に感じる部分があったことを覚えている。
僕は、若干仏道の読み物などに触れて、相反するものが存在する状態にだんだん慣れてきていると、実感しているものの、じゃあその後どうする、というところにはまだアプローチしている経験が少ないことを覚った。
一方だけが良くそれ以外は悪い、というのはある一つの価値観から出てくるもので、価値観や立場が変われば、その意見は180度反対になることもある。
それを踏まえて考えるというのは、非常に難しいと体感している。
例えば、子供や赤ちゃんと向き合う際、出発時間に遅れないように、食事・着替え・支度を済ませなければいけないが、大人の思惑通りにいかないコトが往々にしてある。
着替えをしたくない子供 vs 着替えをして欲しい僕
その際、怒鳴ったりすることで、恐怖心によって子供をコントロールできる場面もあると思うが、それは何か違うと感じていた。(一応、僕は怒鳴ったことはない)
僕は相手の言い分を聞き、なるべく丁寧に着替えてほしい理由を論理的に説明しようとするが、それでも状況は変わらない。
そこでの妻の行動は強い。着替えは一旦置いておいて、その先にあるイベントや楽しいことと今を結びつけて対話している。
相反するものを、相反していないものに変化させている。
正直、現時点の僕はこれが全然得意ではないが、得意になりたいと思っているし、なんなら得意になれると思っている。
人間の不和が解消されていく姿は、僕にとっては美しく映るし、それが僕の美意識の一つなのではないか、と感じた。
意志、というのがキーワードだ。
意志、というのは ”あることを行いたい、または行いたくないという考え” と国語辞典に書いてある。
ここには、”したい” という欲求がベースになっている。
欲求というと、あくまで個人の主観的なもの、として捉えられて、会社においては、欲求抜きの客観性100%のものが求められたりする。
その個人の主観はチームにおいては、人数の分だけ存在することになるが、どうやってチームの主観、部署の主観、会社の主観まで統合していくか、それを考えるのが、優れた知性、の役割なのではないかと思う。
また、意志を発揮するには、個人の心理的状態がまず整っていないとできないことだと思う。
与えられた仕事を完璧にこなす、というベクトルの他に、自分だったらどうしたいのか、という視点が必要になり、それが新規事業をするものにとっての種であるといえそうだ。
思わず笑ってしまった部分だ。
確かに自分の身にも同じようなことがあったことを思い出して、笑ってしまったのだろう。
提案者と受領者のやりとりのプロセスについて語られており、むしろネガティブな側面が押し出されていることがミソだ。
ネガティブな側面を敢えて、提示しておくことにより、新価値創造者の覚悟を促し、その場面になっても打たれ強くすることが著者の狙いだったのだろうと思う。
そう思うと、このメッセージは、現実を生き抜いていくために必要な盾を授けているものだと感じた。
やること
相反する状況になった際、解決する価値があると感じたならば、それが同時に機能するとすれば、どういう考え方があるだろう、とバックキャストで考えていく。
また、同志に出会った際には、新しい価値が実現するプロセスを共有していって、覚悟と勇気を持ってもらうようにしたい。
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