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【日本経済新聞要約・考察】第11回 コロナショック沈静化か、ドル余りの珍現象

※本要約・考察は2020年3月27日の日経新聞の記事をもとに書いております。

〈要約〉

外国為替市場では、「有事のドル」が一服し、円買い・ドル売りが強まった。2日には約2週間ぶりの一時1ドル=106円台をつけた。ドル需要がいったん緩んだことによって、ドル余りを示唆する珍しい現象が起きている。

ベーシススワップと呼ばれるデリバティブ取引で異変が発生している。4月に入り円とドルの上乗せ金利(3ヶ月もの)が8年3ヶ月ぶりに逆転した。FRBは3月31日に各国中央銀行へのドル資金供給はレポ取引を使うことを発表したことがきっかけだ。

大量のドル供給により、すでにユーロやポンドではベーシススワップは逆転していたが、さらなる資金供給により日本円にも影響を与えた模様だ。

日米の金利差の縮小は、需給に着目すると円高に触れやすい状況となってきている。

〈考察〉

今回のREITに関する記事では「FRB買いオペ」と「財政出動」について着目することにした。

1. 「FRB買いオペ」

本記事では、ドル供給が続く中、ドル需要が緩んだことが要因だとしている。31日には各国中央銀行は国債を担保に資金供給をしている。それ以前にも、3/18〜4/1までの平日10日間の間、毎日75億ドル規模の買いオペを行なっている。加え、23日には、これまで米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ額は7000億ドルを目安にしていたが、必要量に切り替えた。

動揺する市場を安定させるために必死に量的緩和策を打ち出してきたFRBだが、本日(2日)から1日あたりの買いオペの額を60億ドルに引き下げる。(https://www.newyorkfed.org/markets/domestic-market-operations/monetary-policy-implementation/treasury-securities/treasury-securities-operational-details

株式市場が安定感を取り戻してきたことから、必要量としている7000億ドルの残りの使い道を模索しているのだと考えられる。

急下落後、ダウ平均株価はFRBの無制限の量的緩和策の発表に好感して月末に向けて上昇続けていた。しかし、4月1日より下がる一方となっている。アメリカでは感染者数が21万件を超え、トランプ大統領も「対策とっても10万人超」だと発言していることから、米国経済の悪化を懸念する思考が広まっていると考えられる。

二番底を打つ懸念も今後増える中で、FRBが4日以降の買いオペの額には着目したい。

2. 「財政出動」

各国政府が国民に対し、現金支給や休業補償を行う中、先日安倍首相は布マスク二枚の配布を発表した。まだ、感染者数が少ない中、日本政府がどのような財政出動を行うのかは全国民が気になっていることだろう。

無制限の量的緩和を発表したFRBとともに、3月27日には2兆ドル超の経済対策法がトランプ大統領の署名により成立した。リーマンショックでは7千億ドルだったが、今回のコロナショックでは当時の財政支出の3倍弱となった。アメリカのGDPの1割と同等額の景気対策は直接企業と家計にマネーを注ぎ込む。

金融緩和と財政出動の両輪で今回のコロナショックに対応を試みる米国中央銀行・政府だが、以前コロナの終息の見通しは立たない。

前代未聞の今回のパンデミック、そして対応策として各国で行っている前例のない金融緩和と財政出動の両輪対策。勝るのはどちらなのか見当がつかない。

株式市場二番底を打つ前に米国では最大とも言える体制を整えた。史上最大規模の経済対策も二番底への抑止力が期待されているかもしれないが、昨日のダウ平均株価は -973 と非常に厳しい状況にある。


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